プラスチックはほとんどが自然に還らず、ただ細かくなっていき、海洋環境に堆積します。現在5兆個ものプラスチック片が存在し、これは地球を400周以上できる量です。
海に流れ込むプラスチックごみは、海の生きものたちにも大きな影響を与えています。例えば、レジ袋をクジラやカメなどがエサと間違って誤飲する例が世界中で報告されています。国連環境計画(UNEP)によると、プラスチックごみは毎年数十万もの海洋生物の死を引き起こしています。
細かくなったプラスチック(マイクロプラスチック)は、食物連鎖を通して人間もからだの中に取り込んでおり、多くの研究者が健康への影響について警鐘を鳴らしています。
使い捨てプラスチック地球のプラスチック汚染を、
今止めよう
使い捨てプラスチックの5つの問題点
大量に製造され、捨てられ続けるプラスチック。その問題点はどこにあるのでしょうか。改めて整理して考えてみましょう。
生産にも廃棄にもCO2が排出される
一般的に使用されるプラスチックの多くは、石油由来の原料によって製造されています。限りある化石燃料を原料とするうえ、採掘・生産・廃棄、自然への流出も含め、全ての段階でCO2を発生させ、環境に負荷をかけています。
生態系を壊す海洋プラスチック問題
ほとんどが埋め立て・投棄で処分されている
廃棄の環境負荷も大きな問題です。1950年以降世界で製造されたプラスチック製品のうち、63億トンが廃棄物になったと考えられていますが、その約79%、49億トンは埋め立てや投棄により処分されています。12%にあたる8億トンは焼却処理され、当然CO2が発生しています。
リサイクルの限界
長年期待されてきた解決策はリサイクルですが、根本的な解決手段にはなりそうもありません。これまで世界で廃棄されたプラスチックのうち、材料として再生されているものは9%程度。その内、複数回再利用されているのはその中の10%、つまり全体で換算すると、わずか0.9%にも満たないのが実情です。そればかりでなく、プラスチックはリサイクルの過程で有毒な化学物質の含量を増加させることがわかっています。
他国を汚染する使用済みプラスチック
先進国のプラスチックごみが、リサイクルを名目に途上国に輸出されています。そうしたプラスチックごみの中には、資源化できないものや有毒性のあるものが混入している場合もあります。結果的に、多くのプラスチックごみが再利用されずに放置され、環境汚染や現地の人たちの健康被害を引き起こしています。日本は世界で一番多くのプラスチックごみを非OECD諸国に輸出しています(2021年)。2017年末までは中国へ、中国が生活由来の使用済みプラスチックの輸入を禁止してからは、タイ、マレーシア、ベトナムなど東南アジアを中心に輸出してきました。
日本とプラスチックの現状
いつのまにか日本は、世界でも有数のプラスチックごみ大国になっています。日本では、1年間に850万トンものプラスチックが廃棄されています(2019年)。そのうち、約47%を包装や容器類が占めますが、これらはほとんどが使い捨ての用途です。2018年6月に発表された国連環境計画(UNEP)の報告書「シングルユースプラスチック」によると、日本人1人当たりのプラスチック容器包装廃棄量は、アメリカに次いで世界第2位となっています。過剰包装や利便性を重視したライフスタイルが、プラスチックごみを増やし続けるひとつの要因になっています。
世界で進むプラスチック規制
プラスチック問題を解決していくために、国や地方自治体の立場からできることのひとつが法律による規制です。都市レベルでの規制に始まり、現在は世界各国で急速にルールづくりが広がっています。日本でもようやく、2020年7月からレジ袋有料化が始まりました。しかし、対応は大きく遅れていると言わざるをえません。世界有数のプラスチックごみ大国として、日本が果たすべき責任が問われています。
フランス
2021年より使い捨てプラスチック容器、カトラリーの使用を禁止*。2022年よりほぼすべての果物と野菜のプラスチック包装を禁止*。2023年よりファストフード店で使い捨て容器の使用を禁止*。
ドイツ
使い捨てプラスチック容器を禁止*。
アフリカ25カ国
プラスチック製の使い捨て買い物袋の輸入・製造・販売を禁止*。
インド
トレイ、カップ、カトラリーを含む19品目の使い捨てプラスチック製品の生産や使用の禁止。レジ袋をはじめとした持ち運び用プラスチックバッグやプラスチックシートの規制*。
スリランカ
使い捨てプラスチックの輸入、生産、販売、使用を禁止*。
インドネシア
バンジャルマシン市が使い捨てプラスチックを利用禁止*。
素材を変えた使い捨てではなくリユースな社会へ
近年、プラスチックごみを減らそうと、バイオプラスチックや紙を使った使い捨て容器が注目されています。しかし、こうした代替品が過剰生産されると、環境負荷がかかる場所を、海から森へと移動させるだけに終わる可能性があります。木材パルプの生産量は増え続けていて、すでに森林資源を枯渇に向かわせています。
企業には、使い捨てに依存したモデルからの脱却と、繰り返し使えて長持ちする製品の開発こそが最優先で求められています。そして私たち生活者自身が使い捨て文化から脱却することは、プラスチックごみ問題を解決する最も有効な手段です。
プラスチック問題を止めるための具体的な目標
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目標1
国際条約でプラスチックの生産量を大幅に減らす
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目標2
代替品やリサイクル推進せず、使い捨てごみの総量を減らす
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目標3
リユース・リフィルが当たり前の社会をつくる
私たちが今すぐできること
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マイボトルやマイカップを習慣に
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量り売りショップなど、リユース容器を使える店舗やサービスを利用する
© Dennis Reher / Greenpeace -
ネットショッピングもできるだけ簡易包装で
© Mitja Kobal / Greenpeace -
「自分で作る」を増やしていく
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グリーンピース・ジャパンの活動に参加する
© Kazuya Hokari / Greenpeace -
「ゼロエミッションを実現する会」の活動に参加する
「国際プラスチック条約」で使い捨てにさよなら
リユースの時代を始めよう
グリーンピース・ジャパンのアクション
グリーンピース・ジャパンは、地球規模で起きる環境問題の解決に向けて、世界55の国と地域にあるオフィスと連携する日本支部として、活動を続けている国際環境NGOです。
「地球に良いこと」が当たり前のように実践されていく社会を実現するため、グリーンピース・ジャパンは“行動するNGO”として、気候変動への科学的根拠に基づく対策と日本の持続可能な未来を構築することに取り組んでいます。