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こんにちは。エネルギー担当の柏木です。
昨日は、神戸まで行ってきました。関西電力の株主総会に出席するためです。
株主総会は、株主として会社に対する提案や意見をしたり、経営陣に直接質問ができる機会。グリーンピースは、2012年から東京電力と関西電力の必要最低限の株式を購入し、毎年の株主総会に参加しています。
28日には、全国で大手電力会社の株主総会が開催され、エネルギーチームのリーダー高田は東京電力の総会に、わたしは関西電力の総会に、出席しました。

八木関電社長、安倍首相の危険なギャンブル  


小雨の降るなか、実施された関西電力の株主総会。

関西電力は、福井県に11基の原発を保有していて、そのうち7基の再稼働を目指しています。 
なかでも、高浜1、2号機・美浜3号機は運転開始から40年を超える老朽原発。原子炉は、東京電力福島第一原発事故の教訓から、原則として運転期間を40年とするルールがありますが、高浜1、2号機はその例外としてさらに20年の延長が認められました。 
古い原発を動かすことは事故のリスクを増やし、地域の住民の健康と安全、環境をかけた危険なギャンブルです。
世界の老朽原発が次々にトラブルで止まっていることから学べば、せっかく大金を投資したのに稼働できないことは、関西電力にとって、そして株主にとって、大きな投資ギャンブルとも言えるのです。
グリーンピースは、株主総会に株主として出席、提案をするとともに会場前で「やめて!危険な老朽原発ギャンブル」とアピールを行いました。

経営状況見通せず、無配。再稼働頑張る。

関西電力の2015年度の売上高は3兆2,954億円、純利益は1,408億円という結果でした。黒字ではありますが、高浜3、4号機の再稼働が見通しが立たず、今期以降の収支の状況もわからないことから、今年度の株主に対する配当は無配となりました。
関西電力は4月に中期経営計画を発表、一つの柱である「総合エネルギー事業の競争力強化」では、再稼働はメインに位置付けられています
高浜3、4号機は、裁判で運転差し止めになっているので再稼働の見込みがついておらず、また老朽原発の安全対策費用が膨らんでいますが、それでも原発は「競争力の源泉」と位置付ける関電。
『安全確保』を大前提に、『エネルギーセキュリティの確保』、『経済性』および『地球環境問題への対応』の観点から、引き続き重要な電源として原発を活用する。そして原子力規制委員会において安全性の確認された原発は地元の理解を得ながら「早期に再稼働」し、「電気料金を低下」させる・・・
総会では、定型文のように、何度も八木社長は繰り返しました。

京都・大阪・神戸市長も。脱原発の声、続々。 


会場内の様子 

関西電力からの経営について説明の後、会場に出席した株主が意見・質問し、経営陣が答えていきます。
指名された株主は全部で13名、うち9名が脱原発に関わる質問をしました。(わたしも挙手をしましたが、残念ながら指名されませんでした)
今回の総会は、電力自由化と高浜3・4号機の差止め決定が出て以降、初めての総会。競争が激しくなるなか、あくまでも原発に依存し続ける関西電力に、見直しを迫る質問が多くありました。

大株主、大阪市からの原発依存の見直し提案

実は、関西電力の大株主は大阪市。8.9%の株式を保有しています。自治体では、その他に京都市、神戸市も株主になっています。会場には大阪市の吉村市長、京都市の門川市長、神戸市の久元市長が出席、3市長とも東京電力福島第一原発事故の教訓から学び、原発依存の経営を見直して自然エネルギーへの転換するよう経営陣に訴えました
なかでも、吉村大阪市長は4分以上にわたって、再稼働一辺倒を改め自然エネルギーへの方針を出すこと、外部の専門家の視点を取り入れた経営体制にするべきだと迫りました。
3分を過ぎると議長の森会長からは「3分を越しています。簡潔に発言ください」とのコメントが入ります。
それに対して、吉村市長は「大阪市は8.9%の大株主。意見を言わせて欲しい。年に一度の株主総会で、なぜ十分に意見が言えないのか?」とぶつけました。
関西だけではなく日本を代表する経済・観光都市の首長からの意見・質問の背後には、市民の思いがあります。
関西電力は真摯に受け止めるべきですが、回答は定型文を繰り返すのみ

原発の安全性についての主張を、理由もなく無視された


また、質疑のなかで「高浜3、4号機の差止命令を予測できていたのか?」という株主からの質問に対し、勝田取締役は「原発の安全性についての主張を、理由もなく無視された」と答えました。裁判所の決定を尊重せず、自分たちの方が正しい、という関西電力の姿勢が見えました。
このような姿勢で原発の安全性を、「規制が求める以上に取り組む」と言われたとしても、信頼はできません。総会の中で、関西電力が気にしているのは「今だけ・金だけ・自分だけ」だと批判した河合弁護士(大阪市代理人、全国各地の原発訴訟の弁護も担当)の表現は、まさに関西電力の姿勢を言い当てています。
多くの株主が手を挙がっているなか、議長は次の議事へと進行したため、株主からは質問を受け付けるよう動議の声があがりましたが、押し切られるように終了となりました。

脱原発の株主提案はすべて否決 


株主の皆さんにお渡しした、グリーンピースの提案についての説明

続いて、総会に提出された提案の趣旨説明に移りました。
今回の総会に提出された提案は全部で24。うち、2つは会社からの提案(取締役の変更など)で、22議案が株主からの提案でした。情報の透明性を高めること、自然エネルギーへの転換も含め、脱原発を願う株主からの提案でした。 
グリーンピースは株主運動に参加し、原子力発電所の廃炉の速やかな決定と安全な廃炉のために原子力発電所廃炉検証委員会を設置することを提案しました(第13号)。
これまで、同僚の鈴木がブログでもお伝えしてきた通り、関西電力は多額の費用を投じて、運転開始から40年を超えた原発を再稼働しようとしています。
しかし、世界の原発の平均寿命は24.7年。一番最高齢の原発も47歳。このような状況を考えれば、原発を40年以上動かすことはそもそも非現実的で、過酷事故のリスクも高くなります。訴訟によって、運転が止められる可能性もあります。総会の中で、関電の役員は「世界から学ぶ姿勢が足りなかった」と反省の弁を述べていましたが、まだまだ足りていません
「高浜3、4号機の再稼働の見通しが立たない」ことを認めているのに、それでも「原発は競争力の源泉」として数千億円も投資するのですか?合理的な判断なのでしょうか?ということを株主の皆さんに訴え、「1基の原発も動いていない今だからこそ、廃炉の決断を」を提案しました。
でも、グリーンピースからの提案、そして大阪市・京都市からの脱原発提案を含め、すべての脱原発議案が反対多数で否決されました

みんなで、裁判で、とめよう

高浜3、4号機の運転差し止めによって、原発がいつ止まるかわからない「不安定な電源」であることがはっきりしました。いま、高浜1、2号機についても運転差し止めの裁判が進められており、グリーンピースのスタッフ2名も原告となっています。
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