今年2021年の夏、私たちは空前の猛暑に見舞われています

日本の6月の平均気温は約22.7度*でしたが、緯度の高いカナダで、49.5度の気温が記録されました。カナダ*からアメリカ*、ロシア*から北極圏*まで、記録的な熱波が私たち人間はもちろん、動植物の命を脅かしています。

気温の上昇が健康に悪影響を及ぼすだけでなく、頻発する山火事で動物たちの生態系が破壊され、送電網の故障がますます起こりやすくなって地域社会全体が危険にさらされています。

地域社会が最悪の気候危機に直面している今、化石燃料企業やCO2を大量に排出する企業は、気候変動の原因となっている石炭、石油、天然ガスの利益目的の開発を一刻も早く止め、自然エネルギー100%へ向けて動き出すことが必要です。

カナダ・ブリティッシュコロンビアで49.5度:500人が死亡

2021年6月、カナダでは史上最高の気温を記録しました*。西海岸のブリティッシュ・コロンビア州リットンでは3日連続で記録を更新し、6月29日には49.5度を記録しました。 記録的猛暑と強烈な熱波の影響で、500もの人が命を落としました*

2021年6月末、北米に出現したヒートドーム。気温が49.5度に達し、気候の異変を示している© NASA Earth Observatory

ブリティッシュコロンビア大学の海洋生物学者は、10億匹もの海の生物が、この異常熱波で命を落としたと推測しています*

英紙ガーディアンの報道によれば、バンクーバーの海岸の様子は一変し、一面がムール貝の殻で覆われ、周囲はムール貝が腐敗した匂いが漂っているそうです。高い海水温で、貝が「調理」されてしまい、死んでしまったというのです。

米オレゴン州で46.1度:山火事で620平方キロが焼ける

6月28日、アメリカ・オレゴン州のポートランド国際空港の気温が46.1度に達しました。 天気予報によると、この時期の空港の平均気温は例年22.8度程度です。 

この地域では、猛暑の前にすでに干ばつに見舞われていて、猛暑によって発生した山火事が広がり、再び住民の安全が脅かされました。オレゴン州では、7月12日の報道時点で、東京23区とほぼ同じ620平方キロメートルほどが焼けてしまいました。山火事は、カリフォルニア州とオレゴン州を結ぶ送電線に沿って広がり、何千もの家庭やオフィスに、電気が届けられなくなることが懸念され、午後4時から午後9時まで節電に協力するように、住民に呼びかけられました*

さらに、7月11日には、カリフォルニア州のデスバレーで、54度を記録。これは、地球上で観測された最も高いレベルの気温です*

各地を熱波が襲い、気候非常事態のアラームが鳴っています。

2020年9月、山火事による煙と灰が充満し、オレンジ色に包まれたカリフォルニア。

なぜこれほどまでに猛暑が続くのか?

石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料を燃やすと、大量のCO2が排出され、地球の熱が逃げずに、地球温暖化が起こります。気温が上がることで、熱波や山火事、そして大雨などが通常よりも頻繁に、そして大規模に発生しやすくなり、これまでの気候パターンが変化しています。

2021年7月2日、メキシコ湾の地下で天然ガスパイプラインの炎上事故が起きました。

「火の眼(Eye of Fire)」のような火災・爆発の様子は、SNSで拡散され、私たちは目を疑いました。火災の鎮火には5時間を要し、高温とCO2排出の影響で、周囲の海洋生態系への被害は計り知れません。

気候変動と異常気象による深刻な被害を世界中が経験しているというのに、まだ、化石燃料がこうして開発され、燃やされているのです。

国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、私たちが暮らし続けられる環境を維持するには、平均気温の上昇を1.5度以内に抑えることが必要だと強調しています。そのためには、日本は2030年までに温室効果ガスの排出量を62%削減しなければなりません*。日本政府が掲げる「2013年度比46%削減」は十分ではなく、最低限の削減目標です。

カーボンニュートラルを宣言したり、自然エネルギーの割合を増やすことを政策に含めたり、国や産業がさまざまな戦略や解決策を打ち出していますが、このままの対策だけでは、2030年には1.5度を超えてしまう危険があるという研究も出ています*

気候危機に対して私たちは何ができるのか?

世界中の人々や政府が、新型コロナウイルスの流行の拡大を食い止めるために協力しているように、気候や環境のリスクに対しても同じ姿勢で臨まなければなりません。 気候の悪化を食い止めるには時間がありません。

投票する権利や声を上げる権利を持つ市民として、どんな企業からどんな商品を買うか選ぶことができる消費者として、ぜひ、グリーンピースと一緒に行動し、政府や企業に対し、抜本的な対策を要請しましょう。

  • エネルギー転換を加速させ、石炭火力を早期に廃止し、化石燃料依存からの脱却に向けた道筋を示す
  • より​野心的な温室効果ガス削減目標と行動計画の策定と早急な実現
  • 「2050年実質ゼロ」を目指した自然エネルギーを主力電源とするエネルギーシステムの構築
  • 使い捨てプラスチック製品の廃止を加速し、リユースを主要なビジネスモデルとする
  • 肉類の消費を減らし、地産地消の野菜を多く食べることで、食品のCO2排出量を減らし、廃棄物を出さないようにする
  • 2030年までに、少なくとも30%の海洋と陸地を人間の干渉や破壊から守ることを推進する

これらはすべて、CO2の排出を削減し、気候と生態系のバランスを維持し、環境をより安全にすることで、社会の発展と生活の安定を目指すものです。

近い将来、私たちが次世代のために住みやすく、安全な社会を作ることができるようになることを願っています。

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