【2026年5月】3分でわかる日本と世界の環境ニュース
この投稿を読むとわかること

5月3日は「世界報道自由デー(World Press Freedom Day)」でした。世界では、大きな富を持つ大企業や権力を持つ機関に、責任を果たさせることがますます困難になっています。それは国際NGO「国境なき記者団」が4月30日に発表した「報道の自由度ランキング」にもあらわれており、初めて世界の半数以上の国が「困難」または「非常に深刻」なカテゴリーに分類されました。日本は調査対象となった180の国と地域のうち62位となり、報道機関による自己検閲が広まっていることが指摘されました。5月の環境ニュースも報道の重要さを感じさせるトピックが多く集まっています。
日本:太陽光発電に関する全国意識調査を発表
グリーンピース・ジャパンは2026年5月12日に、全国1,032人を対象とした太陽光発電に関する意識調査の結果を発表しました。
調査では、多くの市民が太陽光発電そのものを否定しているわけではなく、現行の進め方に不安を感じていることが明らかになりました。環境問題への関心や、再エネへの賛否にかかわらず、「自然環境への影響」を懸念する声がほぼ全層で最多となり、太陽光パネルの設置場所としては「公共施設、住宅、工場の屋根」への支持が多数を占めました。
一方で、課題が見えたのはメディア環境です。環境問題に無関心な層の約半数が「情報に触れる機会がほとんどない」と回答し、また全層で、ネガティブなニュースに接触する頻度がポジティブなものを大きく上回っています。

グリーンピースは調査結果を踏まえ、屋根置きの優先普及、適正な導入プロセスの確立、パネルのリサイクル体制整備、そして正確な情報発信を柱とする提言を行っています。
グローバル:労働者の権利のために世界各地で「メーデー」デモ
5月1日の国際労働者の日(メーデー)に、世界中のグリーンピースのアクティビストとボランティアが各地のデモに参加し、労働組合や市民たちとともに労働者の権利や平和を訴えました。

「グリーンピースがなぜ?」と思う人もいるかもしれません。しかし、環境保護活動と労働運動はいま共通の課題に直面しています。化石燃料企業をはじめとする大企業が、長年かけて積み上げてきた地球環境のための取り組みや労働者の権利を後退させる動きを強めているからです。
グリーンピースは労働運動をはじめ環境保護活動以外の市民運動に連帯します。環境を守ることと、働く人々の権利や暮らしを守ることは、切り離せない問題です。メーデーに街頭に集まった人々の姿は、連帯が着実に広がっていることをはっきりと示しています。
オランダ:食肉大手JBS社のアフリカ事業拡大を受け情報開示を請求
グリーンピース・オランダが、世界最大手の食肉企業JBS社に対して、気候、自然、人権への影響に関する情報開示を求める書簡を送付しました。同時に、JBS社がオランダへの移転後、初めてアムステルダムで開催した株主総会に乗り込み、総会を中断させました。

JBS社は25億ドルもの巨額を投じてナイジェリアでの食肉加工事業拡大を計画していますが、環境アセスメントや地域住民との協議が行われた形跡はありません。JBS社は2025年に本社をブラジルからオランダに移転し、その際にオランダの法律に従う必要性について警告を受けています。また、グリーンピースは、JBS社がこれまで行ってきたアマゾン熱帯雨林での違法な森林伐採に反対し続けてきました。
JBS社は5月下旬頃までに情報開示に応じる必要があります。開示が行われない場合、グリーンピース・オランダは裁判所を通じた情報開示請求に踏み切る方針です。
イギリス:電気料金とガス価格の切り離しへ第一歩
イギリス政府がグリーンピースをはじめとする市民団体の訴えや、6万人以上からの嘆願書など、市民による長年の働きかけを経て、電気料金を化石燃料ガス価格から切り離す新政策を発表しました。
イギリスには、日本と同様に最も高い発電単位(ほぼいつも化石燃料ガス火力)と卸売電力価格が連動する仕組みがあります。そのために、安価に発電できる再生可能エネルギー由来の電力が主力であっても、ホルムズショックで現実となったように、地政学リスクで容易に高騰する化石燃料ガスの価格に電気代が左右される現実がありました。
グリーンピースは、火力発電所での抗議活動のような大規模なものから、地道な草の根運動、報告書の発表などを行い、価格切り離しを求めてきました。電力価格の切り離しを求める声の切実さは、請願書にイギリス全土から6万人以上の署名が集まったことを見ても明らかです。

新政策は、まだガス会社が自由に電気料金を設定できる抜け穴を残しているため、十分とはいえないまでも、市民が連帯して行動したことで勝ち取った大きな勝利です。グリーンピースUKは引き続き100パーセント再エネの未来を目指し、政府に再エネ移行の加速を求めています。
報道と情報が変化を生む
ホルムズショックで改めて示されたように、化石燃料への依存は、価格の不安定さというリスクを家計に転嫁し続けます。人々の訴えが政策を動かしたイギリスでは、化石燃料依存の課題は残しつつも、2024年には再エネが発電量の37パーセント(バイオマスのぞく)となり、化石燃料(35パーセント)を初めて上回りました。
一方、日本を見ると、再エネ比率は20.7パーセント(バイオマスのぞく)にとどまり、化石燃料は65.2パーセントを占めています。私たちは化石燃料のリスクを家計で負わされ続けているのです。

しかし、「報道の自由度」で世界62位に位置する日本では、統計や科学に基づくエネルギー情報や、世界のエネルギー動向の最新ニュースを得ることはそれほど簡単なことではありません。グリーンピースが実施した太陽光発電に関する全国意識調査では、太陽光発電にまつわるネガティブ情報が、テレビ報道やYoutubeなどのSNSを中心にひろまっている現実も明らかになりました。
それでも、イギリスの市民が声を上げて政策を動かしたように、私たちが主体となってより理想的な未来への変化を起こすことは可能です。国際的な最新情報へのアクセスは変化への一歩です。グリーンピースは、世界55以上の国と地域のネットワークを通じ、科学的データと事実に基づく情報発信を続けています。