日本のエネルギー自給率は約16%(2024年度)と先進国の中で最低水準にあり、電力の約7割を化石燃料に依存しています。一方、世界では再生可能エネルギーが世界最大の電源となりつつあり、特に太陽光による発電量が急激に増加しています。その設備容量は10倍近く拡大し、コストも7割以上低減しました。本記事では、再生可能エネルギーのメリット・デメリットから、日本のエネルギー自給率が低い理由、今後に向けて何が必要かをグリーンピースの視点で解説します。

再生可能エネルギーとは? なぜ今、世界は「再エネ」を求めるのか

中東情勢の悪化により、世界は再び深刻なエネルギー危機に直面しています。 特に日本は石油や天然ガスの多くを海外輸入に依存しており、ホルムズ海峡封鎖はエネルギー安全保障における大きな脅威となっています。

さらに今年は記録的な猛暑となることが予測され、冷房需要の増加による電力ひっ迫が懸念されています。こうした状況に対応するためには、再生可能エネルギーの導入拡大が急務です。世界ではすでに、燃料価格の高騰や国際情勢の影響を受けにくい「安定した電源」として、再エネへの転換が進んでいます。

再エネとは「枯渇しない」エネルギー

私たちが日々使う電気の多くは、自然界に存在する資源を利用して生み出されています。その中でも、石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料は「使い切り」のエネルギーです。

一方で再エネは、太陽や風、水など、自然によって繰り返し補充される「枯渇しない」エネルギーである点が大きな特徴です。

国際エネルギー機関(IEA)は「自然のプロセスによって補充され、消費速度より速く再生されるエネルギー」と定義しています。

代表的な再エネには、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどがあります。
※「どこまでを再エネに含めるか」は国際機関や各国の制度によって異なります。

再エネは発電時にCO₂をほとんど排出せず、国内で生み出せる国産エネルギーです。気候危機の深刻化とエネルギー供給の不安定化が進む中、世界は再エネへの移行を加速させています。

2025年、再エネが世界最大の電源に

英国のシンクタンクによると、2025年、再エネはついに世界最大の電源となりました。太陽光や風力、水力などを合わせた再エネの発電量が石炭火力を初めて上回り、世界の総発電量の約34%を占めました。

特に太陽光発電の伸びは著しく、年間発電量は過去最高を記録。前年比で30%増加しました。設備容量は2015年の226GWから2025年には2,392GWへと約10倍以上に拡大しています*。 風力発電も416GWから1,291GWへと3倍超に成長しています*

背景には、これまで世界の化石燃料需要を押し上げてきた中国とインドの、化石燃料による発電量が今世紀に入って初めて減少したことがあります。

中国は石炭火力の比率が高い国である一方で、世界最大規模で太陽光・風力発電の導入を進めている国でもあります。再エネ拡大を牽引する存在として、世界のエネルギー転換を後押ししています。

太陽光のコストは10年で70%下落―世界で何が起きたか

世界の太陽光発電の導入コスト (左)、設備利用率 (中)、発電コスト (右) の推移
出典:国際再生可能エネルギー機関(IRENA)

「再エネ革命」が予測をはるかに上回るスピードで進んでいる最大の要因は、発電コストの劇的な低下です。

すでに世界の多くの地域では、再エネが最も安価な電力源となっています。特に太陽光発電は技術革新と大量生産によって価格が劇的に下がり、1キロワット当たりのコストを約70%低減しました。

再エネは一度設備を設置すれば燃料費が不要であり、化石燃料のように国際価格の高騰リスクを受けにくいという強みがあります。長期的に見れば、経済合理性と価格の安定性に優れた電力源なのです。

日本のエネルギー自給率はなぜ低いのか:世界との比較

鹿児島県の鹿児島七ツ島メガソーラー発電所 ©Greenpeace

日本の再エネ比率と2030年エネルギー基本計画

日本でも太陽光発電はこの10年で約3倍に増加しました。

しかし日本の電源構成に占める再エネの割合は2割程度にとどまり、残りの7割近くを石炭や石油といった化石燃料に依存しています。化石燃料依存度は世界平均やアジア平均よりも高い水準です*

そのため日本は、エネルギー資源の供給が途絶えるリスクを常に抱えています。日本のエネルギー自給率はたったの16.4%*と、OECD加盟国の中で最低水準にあります。

これだけの導入余地があるにも関わらず、政府は2030年までの再エネ比率目標を36~38%としており、欧州主要国と比べてかなり消極的です。

欧州では、ドイツが2030年までに電力の80%*を再エネにする目標を掲げ、スペインも2030年までに81%*を目指しています。世界でエネルギー転換が加速する中、日本もより大胆な再エネ拡大政策が求められています。

日本のエネルギー自給率が低い理由

日本では再エネ発電設備の導入ポテンシャルが非常に大きいことが分かっています。環境省の試算では、国内電力需要の最大2倍に相当する再エネの導入余地があるとされています*

それにも関わらず、日本の再エネ比率が低いのは、以下のような理由があります。

  1. 国内に化石燃料資源がほとんどなく、石油・LNG・石炭のほぼ全量を輸入に依存。
  2. 1970年代の石油危機後に原発を拡大したが、2011年の福島事故後に多くが停止。
  3. 送電網の整備や系統連系の課題から普及が遅れている。

導入課題の1つは「送電網」の整備

再エネ導入における大きな課題の一つが、電力を送るための送電網(系統)です。

日本では国内の発電設備容量の約75%を占める大手電力会社が、電力を送る送電網(系統)を地域独占的に運営してきました*。送電網の容量は決まっているため、後発の再エネ事業者が送電網へ接続できない状況が課題となっています*

それだけでなく、太陽光や風力などの再エネは、天候によって発電量が変動します。発電量が需要を上回った場合に、送電網が電気を受け入れきれないという問題もあります。

欧州では送電網を社会インフラとして位置づけ、整備費用を社会全体で負担する仕組みが進んでいます。一方、日本では送電網整備費用の多くを発電事業者側が負担しており、再エネ導入コストを押し上げる要因ともなっています。

さらに、日本は山地が多いため大規模な太陽光・風力発電の設置が難しい地理的制約も抱えています、こうした背景から、日本での再エネの発電コストは国際水準と比較してまだ高い状態にあります。

再エネは日本のエネルギー安全保障の答えになるか

中東情勢の悪化により、世界は再び深刻なエネルギー危機に直面しています。 特に日本は石油や天然ガスの多くを海外輸入に依存しており、ホルムズ海峡封鎖はエネルギー安全保障における大きな脅威となっています。

エネルギー安全保障を強化するには、海外からの化石燃料依存を減らすことが欠かせません。その有力な選択肢が、国内で生み出せる再エネです。

太陽光や風力は輸入燃料を必要とせず、国際情勢や資源価格の影響を受けにくいため、エネルギー供給の安定化につながります。また、地域で発電・消費する仕組みが広がれば、大規模災害時のレジリエンス向上にも貢献します。

本当に環境にいいの? 再エネへの懸念

再エネに対しては、環境面での懸念の声もあります。

特に太陽光発電や風力発電では、景観への影響、生態系への影響、森林伐採、土砂災害リスク、廃棄・リサイクル問題などが指摘されています。実際に、一部では山林を伐採して太陽光パネルを設置するケースや、風力発電による野鳥への影響・騒音を懸念する声があります。

こうした課題に対応するため、自治体による規制や条例制定が進んでいます。重要なのは、環境や地域社会と共存できる形で再エネを導入することです。

最近では太陽光パネルの「廃棄・リサイクル問題」も大きな課題になっています。

パネルの寿命は一般に20〜30年とされ、今後は大量廃棄が見込まれます*。適切に処理されなければ、不法投棄や有害物質の流出といったリスクも懸念されます。

すでに回収・リサイクル制度が整備された欧州に続いて、日本でも5月29日に太陽光パネルリサイクル法(「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」)が可決、成立しました。

グリーンピース・ジャパンは太陽光発電の本質的価値を伝えるために関連する施設にうかがい、わかりやすくお伝えする「太陽光の現場を歩く視察シリーズ」を始めました。ぜひご覧ください。

個人でできる再エネ推進のアクション

最も安い価格を記録したイギリスの洋上風力発電

パリ協定では、世界の平均気温上昇を1.5℃に抑える努力目標が掲げられています。日本も2050年カーボンニュートラルを目標としており、その実現には化石燃料依存からの脱却が不可欠です。

気候危機を一刻も早く止めるため、適切なルールと技術で再エネの課題を解決し、環境や地域社会と共存できる形で導入していくことが急務です。私たち一人一人の選択が社会を動かす力になります。

今日からできるアクション

グリーンピース・ジャパンでは、再エネ100%の社会を目指し、行政や企業への働きかけを行っています。深刻化する気候危機を止めるためには、エネルギー効率の向上と、地域や自然にねざした再エネ移行が不可欠です。あなたも気候危機とエネルギー問題について、知るところから始めてみませんか。

よくある質問