地中海でグローバル・スムード船団に合流したグリーンピースのアークティック・サンライズ号
地中海でグローバル・スムード船団に合流したグリーンピースのアークティック・サンライズ号(右)。イスラエルによる包囲を破り、支援を届けるために航行する船団の安全な航海をサポートする(2026年4月15日)© Max Cavallari / Greenpeace

戦争や紛争のニュースが絶えない今、世界の不平等がかつてないほど色濃くなっています。戦争だけでなく、環境や経済、社会の問題にも不平等はいつも潜んでいます。しかし、日本で、そして世界中で、そんな不平等に抵抗するかのように「戦争をやめろ」と訴えるデモが毎週のように起きています。歴史を振り返ると、地道に粘り強く上げ続けられた声によって改められた不平等の数は決して少なくありません。2026年4月の環境ニュースをお届けします。

地中海:ガザへの支援船団グローバル・スムードに参加

グリーンピースは、パレスチナのガザ地区に向かう「グローバル・スムード船団」を技術面と運航面で海上サポートするため、この船団に参加しています

地中海を航行するグローバル・スムード船団の一隻で作業する乗組員
地中海を航行するグローバル・スムード船団の一隻で作業する乗組員(2026年4月18日)© Max Cavallari / Greenpeace

イスラエル政府による封鎖下にあるガザの人々は、現在も命と健康、安全を脅かされています。2024年の10月に停戦合意がなされた後も、イスラエル軍による攻撃は頻発し、生活に必要な食料や医療支援へのアクセスは組織的に遮断されたままです。

グローバル・スムード船団は、海路から実際に援助物資、食糧、医療資源を届けることで、ガザ地区に課された違法な包囲を破り、援助物資の海上ルートを確立することを目的とした有志の船団です。グリーンピースは「アークティック・サンライズ」号で船団に参加し、ガザに向けた安全な航行のために、数十年に渡って培ってきた海事専門知識や経験を役立てています。

アフリカ:気候変動の不平等な影響は人権侵害

グリーンピース・アフリカが、気候崩壊はアフリカの人々への人権侵害にあたるとしてアフリカ人権裁判所(AfCHPR)に意見書を提出しました。搾取型の経済モデルが、同地域の人々の生命と健康、食料、水、健全な環境に対する権利を不当に脅かしているという指摘です。

南アフリカで行われた気候正義を求めるデモ。「一線を引け。地球を守り、私たちの未来を守ろう」と書かれたパネルを掲げる参加者
南アフリカで行われた気候正義を求めるデモ。「一線を引け。地球を守り、私たちの未来を守ろう」と書かれたパネルを掲げる参加者(2025年9月18日)© Greenpeace / Tumelo Mohlamonyane

アフリカの化石燃料由来の二酸化炭素排出量が世界全体で占める割合はわずか4パーセントでした(2010〜2018年)。それにもかかわらず、アフリカは気候変動の影響を世界で最も強く受けている地域の一つです。グリーンピースは意見書を通じて、各国がアフリカ人権憲章に基づいて、被害防止や透明性と市民参加の確保、そして被害者への救済を講じる義務があると訴えました。

ニュージーランド:大手乳業会社がラベルのエコ偽装を認める

世界最大の乳製品輸出企業フォンテラ社が、バターのパッケージに使用していた「100%ニュージーランド産 グラスフェッド(牧草飼育)」という文言をラベルから削除し、今後使用しないことを約束しました。

問題となったラベルがついたバターに、実際は輸入パーム核油粕(PKE、アブラヤシの種子から油を搾った後の搾りかす)で飼育された乳牛の乳が使われていることをグリーンピース・アオテアロア(ニュージーランド)が突き止め、訴訟を起こした結果です。パーム核油粕は、乾燥した砂利状の飼料で、パーム核油を搾油する際に生じる副産物です。原料のアブラヤシの多くは、東南アジアの熱帯雨林を伐採してつくるプランテーションで栽培されています。

スマトラ島の森林地帯で孤児になってしまったオランウータン
スマトラ島の森林地帯で孤児になってしまったオランウータン。アブラヤシのプランテーションをつくるために、大規模な熱帯雨林の伐採が行われている。インドネシア(2009年8月4日)© Greenpeace / Oka Budhi

グリーンピースはかねてから、集約型酪農モデルが熱帯雨林の破壊を引き起こしていることを指摘してきました。ニュージーランドはパーム核油粕の最大輸入国であり、フォンテラ社はその輸入パーム核油粕を使用する筆頭企業です。フォンテラ社は、4月1日に、ラベルのごまかしについて、消費者を誤解させる可能性があり、公正取引法に違反していたと認める声明を発表しています。

東ヨーロッパ:環境影響の大きいメタンガス焼却処分実態を明らかに

グリーンピース・クロアチアとグリーンピース・ハンガリーが、独自の調査によって東ヨーロッパの一部地域で、化石燃料事業者が日常的にメタンガスのフレアリング(石油ガス生産過程の余剰ガスを燃焼処理すること)を行なっていることを突き止め、公表しました。

グリーンピースが設置した定点観測カメラが収めたメタンガスのフレアリング
グリーンピースが設置した定点観測カメラが収めたメタンガスのフレアリング。クロアチア、イヴァニッチ・グラード(2026年2月)© Greenpeace

EUでは、2024年8月に新しいメタン削減規則が発効しており、エネルギー浪費と環境への悪影響のため、恒常的なフレアリングが禁止されています。しかし、グリーンピースが行なった調査の結果、規則が守られていない地域があることがわかりました。

調査は、クロアチアのドゥゴ・セロとイヴァニッチ・グラードへの定点観測カメラ設置といった現地モニタリングと衛星分析を組み合わせて行われました。観測用カメラには、フレアリング用の煙突(フレアスタック)から頻繁に炎が上がる様子が捉えられていました。住宅街に近いドゥゴ・セロでは住民への健康影響も懸念されます。衛星データの分析では、2月から3月の間に、クロアチアで71回、ハンガリーで205回のフレアリングと見られる記録が確認されました。

フレアリングは効率が悪いことが多く、燃焼しきれなかったメタンを大量に放出します。余剰ガスを回収・再利用せず、リスクの高い方法で処理することは企業利益を優先させた無責任な行為です。メタンの温室効果は二酸化炭素の28倍にも上り、フレアリングは地域住民を有害なガスに晒す可能性も指摘されています。グリーンピースは各国政府に対し、化石燃料業界による気候環境や市民の安全を脅かす行為を規制するよう求めています

公正さは難しい、それでも意味がある

不平等をただすためには、「間違っている」と声に出さなければなりませんが、そうした声は必ずしも理解されるとは限りません。誰かの目に「正義を振りかざしている」、「理想論にすぎない」と映ってしまうこともあります。

しかし、不平等な被害を受ける人が自ら声を上げることはそれ以上に困難です。公正さを求める主張をする余裕がない場合もあるでしょう。まして、植物や動物は、異議を申し立てる手段すら持っていません。

今動ける人たちが力をあわせ、外側から働きかけることには大きな意味があります。自分自身に理不尽が降り掛かった時、もし「それは間違っている」と言ってくれる誰かがいれば、事態が変わるのに時間がかかったとしても、それだけで前を向くための力になるはずです。公正さのためのあなたの勇気ある選択や行動は、いろいろなかたちで見知らぬ誰かを勇気づけています。