グリーンピースのボランティアたちがかたちづくった「NO WAR」の人文字
グリーンピースのボランティアたちがかたちづくった「NO WAR」の人文字。ドイツ、ベルリン(2022年5月15日)© Sascha Göttsche / Greenpeace

米国とイスラエル政府によるイランへの大規模軍事攻撃以来、中東の戦火が拡大を続けています。世界をみると、ガザでは7万人を超えるパレスチナ人が犠牲となり、侵攻から4年が経つウクライナはなお砲撃下にあります。米国の経済封鎖下にあるキューバでは、電力不足のために市民の命と健康が脅かされています。「戦争反対」と声を大にして言わなければならない理由が、今世界を覆っています。

グリーンピースのボランティアたちがかたちづくった「NO WAR」の人文字
グリーンピースのボランティアたちがかたちづくった「NO WAR」の人文字。ドイツ、ベルリン(2022年5月15日)© Sascha Göttsche / Greenpeace

イラン攻撃から1カ月2,000人以上が犠牲に

米国とイスラエルの政府が2月28日にイランへの大規模攻撃を開始しました。以来、イラン、イスラエル、そして中東の多くの国で爆撃による犠牲が発生しています。

米、イスラエル政府は、核施設、軍事施設、民間施設を含むイラン国土への攻撃を行いました。イラン保健省によると、それによって2月28日以降、2,076人が死亡(共同通信 3月29日時点)、2万4,800人以上が負傷しました。犠牲者には生後8か月の赤ちゃんから88歳の高齢者、240人の女性が含まれていました。

少なくとも175人の子どもらが犠牲となったミナブの女子学校への爆撃のニュースは世界に大きな衝撃と悲しみをもたらしました。イランの報復によってもまた、多数の死傷者が発生しています(アルジャジーラ 3月27日時点)。

▶︎イラン攻撃の即時停止に向けた外交努力を求める共同要請 
グリーンピース・ジャパンはピースボートを呼びかけ団体とする18のNGO・市民団体とともに、米国に攻撃の即時停止を求めること、自衛隊派遣や軍事費の財政支援を含むいかなる協力もしないことなどを求め、高市早苗首相宛の共同要請を送付しました。

私たちは何を目撃しているのか

中東の情勢は日に日に緊迫し、この戦争がいつ収束するのかは未だに不透明です。その中で戦火はペルシャ湾岸地域全域に拡大しつつあり、石油価格上昇を含む国際経済やインフラへの影響も膨らんでいます。そして、現在起きている人々の命の危機はそれだけにとどまりません。

グリーンピース・イタリアの活動家たちによる「Stop Genocide(ジェノサイドを止めろ)」アクション
グリーンピース・イタリアの活動家たちによる「Stop Genocide(ジェノサイドを止めろ)」アクション。イタリア、ローマ(2025年6月6日)© Greenpeace / Stefano Montesi

ガザ、ウクライナ、ベネズエラ、キューバ 同時多発する「命の危機」

イスラエルによるガザ地区への軍事攻撃で、2023年10月以降、最低でも7万2,000人を超えるパレスチナ人の命が失われたことがガザ保健省から発表されていますアルジャジーラ 2026年2月18日時点)。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が独自に検証した死亡者のサンプル内訳では、約7割が子どもと女性で、最も多かったのは5〜9歳の子どもでした

ロシアによるウクライナへの全面侵攻の開始からは4年以上を数えます。2026年1月末時点で、少なくとも1万5,172人の民間人が命を落とし、そのうちの775人以上は子どもでした国連ニュース)。

2026年1月の米国によるベネズエラへの軍事介入は、民間人を含む100人の死亡者(朝日新聞)を出しました。

さらに、米国からの圧力を受けたベネズエラ新政権がキューバへの石油輸出を停止、主要な供給国からの石油が絶たれたキューバに深刻な電力不足をもたらしました。数万人もの人々が、実施できない手術を待つ状況です。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、電力不足が日常生活のほぼあらゆる面に影響を与えていることを報告しています(CNN)。

グリーンピースが戦争に反対する理由「平和なき環境保護はありえない」

奪われてよい命はない。当たり前のことが踏みにじられ、国際社会はそれを止められずにいます。傍観者でいることはできません。声を上げずにいることが、状況の容認に繋がってしまうからです。

戦争は最大の環境破壊です。爆撃は生態系を破壊し、有害物質を拡散させ、土壌や水を汚染し、莫大な温室効果ガスを排出します。人の命を一瞬で吹き消す戦火は、長年かけて育まれた自然環境をも根絶やしにします。

どのような理由の下においても、人の命を奪う武力で解決はもたらされず、命が蔑ろにされる中で、地球環境が守られることもありません。

米軍による広島と長崎への原爆投下から80年の節目に、追悼のためにグリーンピースが制作した千羽鶴の塗り絵
米軍による広島と長崎への原爆投下から80年の節目に、追悼のためにグリーンピースが制作した千羽鶴の塗り絵。ドイツ、ハンブルグ(2025年8月9日)© Jewgeni Roppel / Greenpeace

平和で、緑豊かで、あらゆる命が平等に守られる社会の実現を目指すグリーンピースは、暴力の究極のかたちである戦争に反対します。

一隻の漁船に集った平和への願いから

グリーンピースの歴史は、1969年にカナダのバンクーバーに集った核実験に反対する12人の小さな市民グループから始まっています。以降その活動は徹底した非暴力の哲学のもとで行われてきました。

創設者の数人は、アラスカのアリューシャン列島、アムチトカ島で、米国が予定した核兵器実験を止めるために、漁船をチャーターし、核実験海域へと向かいました。航海のためにその漁船に掲げられたのが「グリーンピース」、現在の団体名です。

後にグリーンピースとなる「Don't Make A Wave Committee(波を立てるな委員会)」のメンバー。右から弁護士のアーヴィング・ストウ、林業科学者兼エンジニアのジム・ボーレン。セーリングでオリンピックメダルを獲得したポール・コテ
後にグリーンピースとなる「Don’t Make A Wave Committee(波を立てるな委員会)」のメンバー。右から弁護士のアーヴィング・ストウ、林業科学者兼エンジニアのジム・ボーレン。セーリングでオリンピックメダルを獲得したポール・コテ。カナダ、バンクーバー(1971年9月15日)© Greenpeace / Robert Stowe

有名アーティストも名を連ねたチャリティロックコンサートの開催で船出資金を集め、グリーンピース号は出航しました。残念ながら、悪天候と米海軍に進路を阻まれ計画は失敗に終わります。しかし、その年の核爆弾実験は実行されたものの、彼らの行動が世間の大きな関心を呼び起こし、翌年の中止判断をはじめ、その後の核実験への大きな歯止めとなったのです。

グリーンピースの根底にあるのは一隻の漁船に集まった、地球上に息づくあらゆる命への想いと、それを灰にし分断する核兵器反対の強い意志です。一隻の漁船が物語るように、信念に基づく行動は波紋のように社会を動かす力になります。

心が砕けそうになる時

理不尽な暴力によって失われた命の数を前に、痛みと喪失の重さに心は引き裂かれそうになります。次々と入ってくる惨禍を伝えるニュースには、居ても立っても居られないような気持ちになります。

心の痛みをどうか軽視しないでください。心の痛みは健康と暮らしを蝕むからです。そして、決して一人で立ち向かう必要はなく、いつでも手を取りあい、助け合えるということを思い出してください。

東京タワーの前で「戦争反対」のバナーを掲げるグリーンピース・ジャパンのボランティア
東京タワーの前で「戦争反対」のバナーを掲げるグリーンピース・ジャパンのボランティア。情勢の激化にともない、日本各地で数万人規模の反戦・護憲デモが起きている。(2026年3月29日)© Takashi Yashiki / Greenpeace

あなたが行動できない時には、今動ける誰かがそれに代わり、それが相互に繰り返されて、社会をかたちづくっています。戦争に反対するあなたの横に、グリーンピースはともに立っています。

グリーンピースの長い歴史は常に平和と環境を守りたいと願う人々に支えられてきました。世界に300万人以上いる想いを同じくする仲間の存在をグリーンピースを通して感じてください。そして、手を取りあった市民の声で、人の命を奪い去るあらゆる戦争を止めるその時まで、一緒にNOを言い続けましょう。