【森林火災と気候変動】山火事はなぜ起きる?気候変動で悪化するの?
アメリカ、韓国、スペイン、そして、日本でも。世界中で大規模な山火事が発生しています。
住民は避難を余儀なくされ、野生動物たちは住処を奪われました。悲惨な映像を目にして、心を痛めた人が多いのではないでしょうか。
大規模な山火事が発生している背景と気候変動の影響について明らかにされていることをお伝えします。
この投稿を読むとわかること
そもそも山火事はなぜ起きるの?
山火事の発生メカニズムは地理的条件の違いで発生要因も様々ですが、高い気温・乾燥・強風などの自然条件が重なると発生しやすく、大規模な火災に拡大する場合もあります。
発生原因は、おもに自然の要因と人為的な要因によるものに分けられます。自然によるものには、落雷や乾燥(枯れ葉や木の枝の摩擦熱など)、火山の噴火などがあり、人為的なものには、たき火、火入れ(野焼きなど)、放火、たばこ、火の不始末(キャンプなど)があげられます*。
林野庁によると、日本では落雷など自然現象による山火事はまれで、山火事の原因はほとんどが人間の不注意などによっています。一方、海外では、落雷や乾燥による自然発火の山火事が多くなっています。この背景には、日本は湿潤な気候であることや樹木の種類の違いがあります。
なぜ気候変動が悪化すると、山火事の被害が広がる?
「山火事は気候変動が悪化する前から存在し、森林管理の一環として野焼きがされることもあったが、近年はとにかく規模が拡大している」と、英ガーディアン紙の環境編集者は語ります*。深刻化する山火事の背景には、気候変動による気温の上昇と、森林開発などによる生態系の乱れがあげられます。
米国の独立調査機関は、気候変動は、山火事のリスクや規模が拡大している主な要因であり、山火事がどれほど燃え広がるかは、気温、土に含まれる水分、木の種類などに左右されるとしています*。
米国で行われた分析によると、温暖化による気温上昇が土壌の水分を蒸発させ、地表の乾燥や干ばつを引き起こすことが分かっています*。こうした大地が乾燥している状態が、山火事を発生しやすく、また被害を深刻化させているのです。

土壌の湿度の他に、山火事がどれほど燃え広がるかは、森の生態系の状態に左右されます。
英ガーディアン紙によると、植物や動物、苔や藻、小川など、多くの要素が複雑にからみあって森の生態系はできており、こうした生物の多様性が豊かな森では、山火事が起きても燃え広がりにくく、災害に強い傾向があります。

一方で、プランテーションなど一種類の木が一定の間隔で並んでいるような森では、山火事が広がりやすいとされます。それは、木の根が深く張られておらず、苔なども増えにくく、森全体の水分量が少ないためです。最初に起こった火がとても小さくても、急速に燃え広がり大規模な火災へとつながってしまいます。

実際に山火事は増えている?
Nature誌掲載の研究論文では、今世紀に入ってから、世界全体で焼失面積が減少していると報告されていますが、この傾向はおもにアフリカの草原やサバンナにおける低強度の火災の減少によってもたらされたものです。

森林火災の件数が減少傾向にある一方で、焼失面積は拡大傾向にあります。世界資源研究所(WRI)によると、過去20年間で世界の森林火災の焼失面積は約2倍、2020年~2022年の年間平均焼失面積は831万ヘクタールで、2001年~2003年の387万ヘクタールの約2倍にあたります*。
2025年は過去最大規模の山火事が発生

2025年は世界各地で大規模な山火事が発生した年になりました。
1月7日から31日にかけて米国カリフォルニア州南部で大規模な山火事が発生。カリフォルニア州消防局によると、鎮圧までに24日かかり、東京都(約219,405ヘクタール)のおおよそ3分の1にあたる約80,000ヘクタールが焼失し、30人が死亡しました*。
韓国では3月から4月にかけて各地で同時多発的に発生した山火事で、韓国山林庁によると歴史的な寺院も含む104,545.21ヘクタールが焼失し、78人の死傷者を出して韓国史上最大の山火事被害となりました*。
とりわけ韓国内陸部に位置する慶尚北道・義城市(ケイショウホクド・ウイソンシ)で発生した山火事では死傷者数が60人にものぼるなど、史上最悪の被害をもたらしました。

現地のグリーンピース韓国は、災害後に避難所を訪問し、物資の支援を行いながら被害の状況を記録しました。現地の人は「裏山に火が見えてから自宅が火に包まれるまであっという間だった」と話します。火が燃え広がるスピードがいかに速いか、その恐ろしさを物語っています。
山火事の要因は土地が乾燥していたことに加え、高温が続いたことがあげられています。グリーンピース韓国は大学の教授らとも協力し、気候危機の深刻さをメディアに訴えるなどの行動を起こしました。

夏にヨーロッパ各地で発生した山火事は過去最大規模となりました。火災による焼失面積は欧州大陸全体で183万ヘクタールにも及び、過去最大の焼失面積となりました*。観光客を含む数万人が避難を余儀なくされ、命を落とした人もいます*。
最も深刻な被害に見舞われたのがスペインです。スペインでは40以上の地点で同時多発的に火災が発生し、焼失面積は40万ヘクタールにも達しました。
こうした大規模火災が発生した背景には、一部で放火などの人為的な原因の可能性も指摘されていますが、気候変動により激しさを増した熱波と干ばつが火災を悪化させたと言われています。
日本では山火事は起きていない?
日本でも、規模の小さいものから規模の大きいものまで、さまざまな森林火災が発生しています。
林野庁によると、昭和時代には年間5,000件以上も発生した年もあった林野火災も、近年は長期的には減少傾向にありますが、焼失面積は増加傾向にあります。
2019年から2023年までの5年間に、年平均約1,300件の山火事が発生し、約700ヘクタールの面積が焼失しました。これを1日に換算すると、毎日全国で4件の山火事が発生し、約2ヘクタールの森林が焼失していることになります。
2025年冬から春にかけて、岩手県沿岸部や岡山県、愛媛県など全国各地で山火事が頻発しました。発生から41日目でようやく鎮火宣言が出た岩手県大船渡では、3,000ヘクタール以上の山林が焼失しました。発生と延焼の経緯を追うと、あらためて山火事の消火活動がいかに困難か、また延焼の恐ろしさを再認識させられます。
2月19日、「山から白煙が」という通報で始まった岩手県大船渡の大規模火災は、延焼したものの2月24日にいったん鎮火されました。しかし、翌25日にまた山林火災が発生、さらに複数の場所で延焼、近隣の住民に避難指示が出されました。延焼はなかなか止められず、建物221棟が被災し、1人死亡という大きな災害になりました。3月半ばには避難も解除されましたが、長期間、残り火が再燃する危険性があるため、慎重な確認作業の末、4月7日に鎮火宣言にいたりました。
7月15日発表された調査報告書によると、これほど大きな山林火災のはじめの出火場所は、大船渡市赤崎町合足の建物近くにある切り株付近と特定されました。切り株から山林に燃えていった跡が確認されています。
出火原因は特定に至らなかったものの、報告書では、切り株近くの建物の薪ストーブの煙突から火の粉が切り株付近に飛び火した可能性を示しています。建物などには出火の可能性はありませんでしたが、人為的原因による山火事ということで、あらためて火の管理が課題になります。延焼拡大の原因として、記録的な少雨(雪)、乾燥と強風、それから、消火活動を難しくした複雑な地形と変わりやすい気象条件があげられています。
山火事で気候変動が悪化する、さらなる悪循環

大規模な山火事により、たくさんの木が燃えると、木が蓄えていた二酸化炭素が大気中に放出されてしまいます。それによって気候変動が進行し、さらなる山火事が起きるという悪循環が起きているのです。だからこそ、なるべく早く温室効果ガスの排出を抑え、同時に森林の生物多様性を回復させていくことが重要です。
世界資源研究所(WRI)、他の研究所などの報告によると、2024年に世界で約67,000平方キロメートルの熱帯原生林が森林火災で失われ、焼失規模では過去最大であったことが明らかになりました。森林の消失原因の約半分が「火災」によるまでになりました。
その要因として、2024年は観測史上もっとも暑い一年であったことと、南米沖の太平洋で海面水温が上昇するエルニーニョ現象により火災は一段と勢力を増し、制御が困難になったことがあげられています。さらに、気候変動をもたらす二酸化炭素(CO2)が火災によって大量に大気中に排出されるとともに、森林消失でCO2の吸収力も低下するため、「世界の非常事態」と警告しています。
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(※この記事は2026年3月に更新されたものです。)
