SHEINのポップアップストアをグリーンピースが視察したときの様子。ドイツ・ミュンヘンにて。(2022年9月29日)© Maria irl / Greenpeace
SHEINのポップアップストアをグリーンピースが視察したときの様子。ドイツ・ミュンヘンにて。(2022年9月29日)© Maria irl / Greenpeace

最近よく耳にする中国初のブランドSHEIN(シーイン)をご存知でしょうか。超低価格でトレンドの洋服が購入でき、若年層の女性たちの間で人気になっており世界中に展開しています。SHEINはファストファッションを超えて、超高速ファッション(ウルトラファストファッション)と呼ばれています。
SHEINのようなウルトラファストファッション企業は、人や環境に有害な条件下で洋服を生産しています。今回、グリーンピース・ドイツがSHEINが生産する洋服に含まれる有害物質などを調査しました。ウルトラファストファッションSHEINの衝撃的な事実を紹介します。

環境に負荷をかけるリアルタイムファッション

SHEINは、毎日なんと6,000近くの新しいデザインを出品し、他のどのファストファッションブランドよりも多く、安価なファッションアイテムを生み出しています。 いまや月間3億6,300万人以上の訪問者を持つ世界最大級のファッションプラットフォームです。

しかし、安いということは、他のファストファッションと同様に、販売されている衣類の多くがポリエステルやナイロンなどのプラスチック繊維で作られているので、SHEINが生産する服は、低品質で長持ちしない、使い捨てファッションアイテムであることが多いです。

SHEINの服は流行を追っているので、ファッションアイテムが一時的な流行の短い寿命を超えて長持ちする必要がないということなのでしょう。

ファッションブランドは1980年代以降、流行の移り変わりを加速させ続け、服が使い捨てられるペースをどんどん速めてきました。ファストファッションが生まれた15年前と比べると、購入する衣料品の点数は 一人当たり平均して60%増えた一方、 手元に置いておく期間はおよそ半分になっています。

有害化学物質の使用

グリーンピースの委託を受け、SHEINのファッションアイテムを、ブレーメン環境研究所
グリーンピースの委託を受け、SHEINのファッションアイテムを、ブレーメン環境研究所
(Gesellschaft für Schadstoffanalysen und Begutachtung mbH)が有害物質検査を行いました。
(2022年10月26日 ドイツ)

グリーンピース・ドイツは2022年、オーストリア、ドイツ、イタリア、スペイン、スイスのSHEINのウェブサイトから 、男性、女性、子ども、幼児向けの衣服や靴など47点を購入し、 独立研究機関で分析しました。 

その結果、靴には非常に高いフタル酸エステル類(注1)が検出され、子ども用の衣類には、発がん性のあるホルムアルデヒド(注2)が含まれるなど、 EU規制値を超える有害化学物質が検出されました。

さらに2025年に実施した2回目の調査では、検査した商品56点のうち18点(32%)からEUの規制値を超える化学物質が検出されました。中にはPFAS(有機フッ素化合物)(注3)が規制値の3300倍を上回るケースも確認されたほか、フタル酸エステルも規制値の100倍を超える量が検出されました。

SHEINが利益追求のために危険な化学物質を使用し、環境と人に与えるリスクへの考慮が欠けていることが明らかになりました。

注1) フタル酸エステル類:内分泌攪乱作用、生殖毒性、発達毒性、組織障害などが報告されている。
注2) ホルムアルデヒド:毒性があり皮膚炎や呼吸器障害を引き起こす。発がん性も報告されている。
注3) PFAS・有機フッ素化合物:永遠の化学物質とも呼ばれ、体内に長く残留する。発がん性などの健康影響が指摘されている。

工場の過酷な労働環境

SHEINが、ミュンヘンのフォーラムに5日間のポップアップ・ショップをオープン。
グリーンピースのスタッフが素材をチェックする様子。(2022年9月)
SHEINが、ミュンヘンのフォーラムに5日間のポップアップ・ショップをオープン。
グリーンピースのスタッフが素材をチェックする様子。(2022年9月)

イギリスのテレビ局Channel4が放送したドキュメンタリー「Untold: Inside the Shein Machine」はSHEINの中国のサプライヤー工場に潜入調査を行い、その内容を公開しました。

SHEINの生産現場では、1日11時間、1カ月に29日間働くことが頻繁にあり、休日は月にたった1日であることや、2つの縫製工場では1日18時間勤務という長時間労働を強制していることが報告されました。

また、ある工場では基本給がなく、服を1着を作るごとにわずか0.27元(約6円)、ミスをすると罰金が課されるなど、劣悪な労働環境が明かされ、物議を醸しています。

大量のプラスチック素材の使用

SHEINが、ミュンヘンのフォーラムに5日間のポップアップ・ショップをオープン。
グリーンピースのスタッフが素材をチェックする様子。(2022年9月)
SHEINが、ミュンヘンのフォーラムに5日間のポップアップ・ショップをオープン。
グリーンピースのスタッフが素材をチェックする様子。(2022年9月)

SHEIN商品の生地の76%を占めているのは合成繊維のポリエステル、つまりプラスチックです。このポリエステルは、衣服を洗濯した際などに、マイクロプラスチックとして環境中に放出されることで知られています。

とある研究では、海を汚染するマイクロプラスチックの35%が洗濯物から流出しているという結果も報告されており、品質の低い、使い捨ての洋服を大量に売り続けることは環境への大きな影響が懸念されます。

SHEINはリサイクル素材の使用などサステナブルな素材の使用を広告でアピールしていますが、実際には、5万5,000の女性服のうちリサイクルされたポリエステルを使用した商品はたった237点のみでした。

その他にもナイロン、アクリルなど石油由来の素材を使用した製品が多くありました。

SHEINの見せかけの安全対策

グリーンピースの2025年の調査で基準値を超える化学物質が検出されたサンダル(2026年2月)

さらに問題なのは、基準値を超える化学物質が指摘されたにも関わらず、SHEINが実質的な対策をとっていないことです。

グリーンピースは2025年の調査報告書の公表後、SHEINが自社製品に含まれる有害化学物質にどう対処しているのか追跡調査しました。追跡調査では、報告書の公表から約4週間後に前回問題とされた18商品が今も購入できるか確認しました。すると、同一または類似した商品がいまだに販売されていたのです。

例えば、有害化学物質である鉛が高い値で検出されたサンダルは、グリーンピースが指摘した特定のカラーだけがその後削除されており、別のカラーは同じ販売店から引き続き購入が可能でした

SHEINは指摘された特定の商品IDだけを削除するという表面的な対処を施し、同じ有害化学物質を含む同一または極めて類似した商品を販売し続けていたのです。同社は2024年に製造制限物質リスト(MRSL)を導入し、違反のあったサプライヤーを排除したとしていますが、これらの措置は実質的な対策になっていないことを証明しています

規制の抜け穴を利用した悪質なビジネス

ドイツの独立検査機関で有害化学物質の検査を行ったSHEINの商品(2026年2月)

グリーンピースは問題が指摘された類似商品31点の化学物質についても再検査しました。

その結果、25点から基準値を超える化学物質を検出し、中にはEUの基準値を大幅に上回る物もありました。具体的にはPFASが最大3115倍、フタル酸エステル類は最大70倍と、SHEINの「対策」がいかに形だけのものかを示す結果となっています。

それでもなぜSHEINは責任を問われていないのでしょうか。

それはSHEINが商品を直接消費者に届けるD2C(direct-to-consumer)というビジネスモデルを採用しているためです。SHEINの商品は中国で生産され、EU域内の中間業者や物流センターを介することなく直接消費者に届けられるため、安全基準や化学物質法令の遵守に関する法的責任を逃れることができているのです。

SHEINは製品の安全性に関する責任を個人に委ね、自社は一切の責任を免れているのです。

先進国から送られ「大量廃棄」される古着

ケニア・ナイロビのダンドラごみ捨て場での繊維とプラスチックのごみ(2022年4月)
ケニア・ナイロビのダンドラごみ捨て場での繊維とプラスチックのごみ(2022年4月)

SHEINのようなウルトラファストファッションの流行によって、低品質で長持ちしない衣服が大量に生産されるようになりましたが、これらの衣服が「大量廃棄」され、深刻な環境問題を引き起こしていることも問題視されています。

こうした衣服は古着として経済先進国から経済後進国へ輸送されていますが、その多くが最終的にごみとして捨てられています

世界最大の古着輸入国の1つであるケニアでは、米国、ヨーロッパ、中国などから大量に古着を輸入していますが、そのまま売れる古着は2~3割程度とも言われます。

売れない古着は、捨てられたり、燃やされたり、埋め立て場に送られるのです。大量の古着が捨てられている現状から、ケニアなど古着を輸入している経済後進国は「衣類の墓場」とも言われています

アフリカなどの経済後進国に輸送される大量の繊維廃棄物を止めるには、ファストファッションアイテムの生産・販売を大幅に減少させる以外に方法はありません。

グローバルなファッションブランドは、生産する数を減らし、より高品質で長持ちし、修理や再利用が可能な服を生産するビジネスモデルに完全に変わる必要があります。

SHEINのグリーンウォッシュ

SHEINの衣類を検査したドイツの独立環境研究所で掲げられた「ファストファッションに立ち向かおう」という横断幕(2025年9月)

2022年6月、SHEINは、ガーナの繊維廃棄物労働者と協力しているNGOに、1,500万ドルを寄付すると発表しました。 

また、環境正義、教育、ファッション開発の分野で活躍する環境NGOであるOr Foundationと生産者責任基金を設立しました。 

SHEINは地球の貴重な資源の浪費に依存し、持続可能性とは程遠いビジネスモデルを確立しながら、 寄付や基金団体の設立など環境へ配慮していると見せかけることで現在のビジネスモデルを維持しようとしています。

SHEINのような生産者は、サプライチェーン全体を通じて引き起こされた環境と健康への問題を解決するために、金銭的な責任も検討しなければなりません。

私たちにできること

私たちも、ファストファッションに頼らずに、お金をかけなくてもおしゃれを楽しむ方法はあります。安いからという理由で安易に購入するのではなく、持っている服を捨てる前に直したり、誰かと交換したり、新品を購入する前にセカンドハンドでお気に入りを見つけたりしましょう。

洋服の寿命を1年から2年に伸ばせれば、温室効果ガスの排出を年間24%削減することができます。*

グリーンピースはアパレル産業に対して、有害物質の使用と排出を撤廃するよう呼びかけるキャンペーンを2011年から実施、2018年までに、ユニクロやナイキやリーバイスなど、世界シェアにして15%を占める80社からの合意を獲得しています。詳しくは以下の記事で解説しています。

(※この記事は2026年4月に更新されたものです。)

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