【2026年6月】3分でわかる世界の環境ニュース
この投稿を読むとわかること

日常からは見えにくいところで何が起きているかを知ることは簡単ではありません。しかし、見えないところでこそ、見逃してはならない変化が多く起きています。6月の環境ニュースでは、「見えないところで何が起きているか」を調べる調査活動によって前進した世界の最新環境情報をお知らせします。
オランダ:誰のものでもない海を守れ! 深海採掘計画の違法性を指摘
グリーンピース・オランダが、深海採掘企業ザ・メタルズ・カンパニー(以下、TMC)と大手海洋工事企業オールシーズ社が5月に締結した採掘計画が国際法に違反していることを指摘、オランダ政府に即時介入を求めました。

オールシーズ社は米国の許可の下で、TMCの採掘重機を運用する契約を結んでいます。しかし、国際法の専門家は、この商業契約の内容は、深海資源の開発を国際的に管理する国際海底機構(ISA)に承認されておらず、明白に国際法に違反すると結論づけています。
深海は、人にとって地球上で最も謎に包まれた生態系のひとつです。深海に生息する生物種の最大90パーセントがいまも謎に包まれたままです。また、近年の研究では、TMCが採掘対象とする多金属団塊(マンガンや鉄を主成分とした鉱物の塊)が、深海の生態系を支える酸素を生成している可能性が指摘されました。
グリーンピースは23万人以上の深海採掘に反対する署名をオランダ下院に届け、5つの環境団体とともにオランダ政府に即時介入を求めています。
ブラジル:アマゾンで違法採掘された金のロンダリングを告発
グリーンピース・ブラジルが、アマゾンで違法に採掘された金のロンダリング(資金洗浄)の実態を明らかにしました。発表された調査報告書では、カナダなどの輸出ルートも具体的に示されています。
金は宝飾品や金融資産としてもよく知られる鉱物です。しかし、それがどこから、どのようにもたらされたものなのかを知っている人はほとんどいません。

グリーンピースの調査が明らかにしたのは、アマゾンの先住民族の土地や保護区で違法に採掘された金が、書類上の操作によって産地を偽装され、合法的なものとして国際市場に流通している実態です。
違法採掘は金を得るためだけでなく、森林破壊と水銀汚染を引き起こし、先住民の地域コミュニティと生態系を破壊します。サプライチェーンの不透明さが、こうした違法行為を見えにくくしています。
デンマーク:飲料水の安全基準値を大幅強化へ
デンマーク政府が、EUで初めて飲料水に含まれる硝酸塩基準値を大幅に強化する計画を発表しました。科学的根拠に基づいた重要な政策転換です。
蛇口をひねれば出てくる水の安全性を疑う人は少ないかもしれません。ところが、科学者たちは長年にわたって、工業型農場や大規模畜産によって肥料や家畜の糞尿から溶け出した窒素が飲料水に混入し、硝酸塩濃度が上がっていることを指摘。グリーンピースも、健康リスクを訴えてさまざまな活動に取り組んできました。

デンマーク最大の農業ロビー団体であるデンマーク農業理事会の屋上で、大規模養豚が飲料水に与える影響を訴え、豚のマスクを被ったスーツ姿のグリーンピースの活動家がパフォーマンスを行なった(2026年3月19日)
270万人を対象としたコホート研究では、硝酸塩の摂取と大腸がん等のリスクの関連が示されています。それにもかかわらず、これまでEUの硝酸塩基準は数十年にわたり変更されてきませんでした。デンマークの今回の決定は、科学的根拠が政策を動かした事例として、EU全体への波及効果が期待されます。
スペイン:子どもたちが過ごす学校で温度測定
グリーンピース・スペインが、公立学校の教室の温度を実際に測定し、地球温暖化が子どもたちの学習環境に与えている影響を数値で示しました。

サーモグラフィーを使ってスペイン国内各地の高校で行われた測定の結果、アリカンテ、バルセロナ、マドリード、オウレンセ、セビリアの公立学校で推奨レベルをはるかに超える気温が記録されました。アリカンテの中学校では、正午時点の教室内温度が屋外の最高気温(28度)に迫り、校庭の温度は40度近くに達し、一部の屋外の運動場は50度を超えていました。
グリーンピース・ジャパンも2024年に、東京、神奈川、埼玉、三重の4つの学校で教室温度の測定を行なっていますが、その際には、エアコンが設置されているにもかかわらず、すべての学校の教室で、長時間にわたって室温が28度を超えていたことが明らかになっています。
生徒や教員の方を対象にしたアンケートでも、約7割が「教室の温度の基準(18℃以上28℃以下)が守られていない」と感じていました。
学校は、子どもたちが日常を過ごす大切な場所であると同時に、実態が見えにくい場所のひとつでもあります。グリーンピースは、気候の変化から子どもたちの学び場が守られるよう、学校断熱の取り組みを進めています。
科学的調査で見えない問題に解決の糸口を
世界には、実際に調べなければ見えてこない隠れた問題が多く存在します。「何かがおかしい」と感じていても、数字を示さない限り、改善を求めることが難しい場合も多いです。
しかし、科学的調査や測定活動が、見えない問題を可視化し、是正のためのコミュニケーションを可能にします。深海の底で、アマゾンの森で、子どもたちの教室の中で起きていることを、調査し、記録し、公表することで、目が届かなかった場所の問題も動かすことができるのです。

調査で問題点を可視化し、解決の道を探るためには、いかなる利害関係からも自由である必要があります。グリーンピースは、政府や企業から一切の資金援助を受けず、個人からの寄付のみで活動しています。
その独立性によって、見えない問題にも光をあて、専門家とともに科学的知見をもって指摘することができています。あなたの寄付が、こうした活動を支えています。