【2026年7月】3分でわかる世界の環境ニュース
この投稿を読むとわかること

世界を猛暑が襲っています。日本では、気象庁が新しく定めた最高気温40度以上の日を指す「酷暑日」が7月21日に初めて愛知県と岐阜県で観測されました。ヨーロッパでは1万人を超える熱波による「超過死亡(平時に予測される死亡数を超えた死亡)」が報告されました。気候変動が、夏の暑さを命をおびやかす危険なものに変えています。いま、暑さへの対策だけでなく、社会の仕組みを変える動きこそが必要です。7月の環境ニュースをお届けします。
トルコ:石炭火力発電所の拡張計画が中止に
グリーンピース・トルコが地域住民とともに起こした訴訟の結果、トルコの裁判所が、同国最大級の石炭火力発電所への2基の増設計画について、環境影響評価の承認を取り消す判決を下しました。

増設計画が持ち上がっているアフシン・エルビスタンA発電所では、燃焼時の環境負荷が特に大きい低品質石炭(褐炭)を使用しており、近隣住民は、数十年にわたり、石炭火力発電と褐炭採掘によって健康と環境への悪影響を受け続けてきました*。今回の判決は、グリーンピースと市民による粘り強い訴えが、石炭への回帰を食い止めた重要な勝利です。
トルコでは今も電力の約3分の1を石炭火力が占めており、現在も脱石炭の期限が定められていません。日本も同様で、非効率な石炭火力の「フェーズアウト」方針はあるものの、石炭火力全体の廃止期限は未設定のまま。現在も165基が稼働しています(2026年3月時点)。自然環境に配慮した地域共生型の再生可能エネルギーへの移行が必要です。
スペイン・ポルトガル:失われゆく海岸線を報告書で示す
グリーンピース・スペインとグリーンピース・ポルトガルが、海面上昇と沿岸開発によって各国の海岸線が蝕まれている実態を検証した報告書をそれぞれ発表しました。

スペインの報告書によると、海岸線の36パーセントが開発によって人工的な防波堤や建物に置き換わっているアンダルシア州では、砂浜や砂丘が持つ自然の衝撃緩和機能が失われ、砂が流失しやすくなっており、2026年だけで、砂の補充などのビーチ修復に4,830万ユーロが費やされました。スペイン全体では100以上のビーチが修復を必要とし、砂の補充や遊歩道の修復に約2億4,600万ユーロが使われています。
ポルトガルでは、海面が年3.7ミリという世界平均を上回るペースで上昇を続けています。本土の海岸線の約25パーセントが後退している中、リスクの高い沿岸部地域には10万人以上の人々が暮らしています。
両報告書が共通して訴えるのは、人工的な開発の悪影響です。その場しのぎの砂の補充ではなく、砂丘や砂浜、湿地帯の再生といった「自然に基づく解決策」への転換が求められています。
フランス:輸入化石燃料の広告禁止へ
フランス政府が、輸入化石燃料の広告を禁止する政令を2026年内に発布することを発表しました。2021年に公布された気候対策パッケージ「気候レジリエンス法」の抜け穴をふせぎ、化石燃料の広告規制をさらに一歩進める措置です。

フランスは、2022年に化石燃料の広告を禁止するヨーロッパで最初の国となりました。その後も、輸入化石燃料は規制対象に含まれていませんでしたが、今回の政令は、そのグレーゾーンを埋めるものとなる予定です。
グリーンピースは他の環境団体とともに、たばこやアルコールに適用される広告規制と同じように、気候変動を加速させる商品やサービスへのより広範な広告規制を求めています。
オランダ:世界最大の食肉加工企業JBS社を提訴
グリーンピース・オランダが2026年7月22日、食肉大手JBS社に対し、ナイジェリアでの事業拡大に関する情報開示を命じるようオランダの裁判所に申し立てました。

グリーンピース・オランダは4月30日に、アムステルダムで開かれたJBS社の株主総会で、情報開示を求める書面を経営陣に手渡していました(5月の環境ニュース)。しかし、JBS社が、責任を否定し情報開示を拒んだため、グリーンピース・オランダが訴訟に踏み切りました。
JBS社は25億ドル(約4,000億円)規模のナイジェリア事業を進めています。サハラ以南のアフリカに初めて工業型畜産モデルを持ち込もうとしているにもかかわらず、環境および社会影響評価は一切公表されていません。さらに7月初旬、JBS社は、サプライチェーンから森林破壊をなくすという公約と、2040年までの実質排出ゼロ目標を撤回していることがわかっています。
イタリア:溶けゆく氷の彫刻で化石燃料企業を批判
2026年7月15日、ローマのコロッセオ前で、農業従事者、自転車配達員、建設作業員をかたどった3体の氷の彫刻が、夏の日差しの下で耐えかねるように溶けていきました。グリーンピース・イタリアとイタリア労働総同盟(CGIL)による共同アクションです。
「化石燃料企業は儲け、私たちは溶ける」というメッセージを掲げ、化石燃料からの脱却と石油ガス企業への課税強化を求めました。

ヨーロッパでは5月下旬から厳しい熱波が続いており、6月には気温が40度近くに達し、ローマ市がコロッセオ周辺に散水車やミスト装置を配備する事態となりました。屋外で働く人々は、気温上昇の厳しい影響を直接的に受けています。
災害級の暑さの犠牲になっているのは
記録的な暑さが生活を襲っています。消防庁の発表によると、日本では7月13日からの1週間で10,857人が熱中症により救急搬送されました。
暑さの影響は数字だけにあらわれるわけではありません。屋外で働く人たちは日常的に健康と安全をおびやかされています。子どもたちの夏季の部活動や、外遊びは安全に行うことがますます難しくなっています。夏のあり方はすでにこれまでとは大きく変わってしまいました。

今月お伝えしたニュースは、いずれもこうした危機的な状況が加速していくのを食い止めるために社会の仕組みを変える動きです。暑さに耐える方法を探すだけでは、犠牲が増え続けてしまうからです。
破局的な気候危機をくい止めるためにはシステムチェンジが不可欠です。そのためには仕組みを変える力を持つ政府や企業に対等な立場から提言や交渉を行う必要があるため、グリーンピースは政府や企業からの資金援助を一切受けていません。すべての活動は市民一人ひとりからの寄付だけで支えられています。
未来の夏に希望を持つために、独立した科学的調査と政策提言によって仕組みを変えていくグリーンピースの活動をぜひ寄付で応援してください。