リユース容器を使ってランチを購入してみたら…?
この投稿を読むとわかること
映画『マイクロプラスチック・ストーリー』で知るプラスチック問題。まずは問題について知ることが大切
プラスチック問題は気になるし、使い捨てではなくリユースが大切なことも知っている。でも、いざ行動に移すのは難しいと感じている人は少なくないかもしれません。そこで、11月30日に、リユース食器を使った買い物を体験するイベント、「親子でリユース買い物体験 ~使い捨てプラ時代からリユース時代へ~」を開催しました。中目黒の会場には、0歳の赤ちゃんから小学生までの子どもたち、ママやパパなど32人の参加者が集いました。
イベントは、プラスチック問題に関するドキュメンタリー映画『マイクロプラスチック・ストーリー ぼくらが作る2050年』の上映からスタート。ニューヨークの小学生たちが、プラスチックごみを減らすためにさまざまな取り組みに奮闘する様子が生き生きと映し出されます。自分たちでプラスチックごみの調査をし、その結果に基づいて声をあげ、市議会でも発言する小学生の姿に、環境問題だけでなく、市民運動の大切さも伝わってくるようでした。
吹き替え版の声は、プラスチック問題の解決に意欲を燃やす日本の子どもたちが参加。オーディションや録音の様子を映したメイキング映像も含めた上映時間は90分と、小さな子どもたちにはちょっと長めでしたが、会場にはキッズスペースを設け、保育士も常駐することで、小さなお子さまでもイベントを楽しめるような体制をとりました。元気いっぱいに過ごす子どもたちと一緒に、イベントは進行しました。
その後は、5つの班に分かれ、映画の感想を共有。各班からはさまざまな感想が飛び出しました。
- 小学生が社会を変えるために行動を起こしていることに驚いた。
- 化学繊維の洋服を洗濯すると、マイクロファイバーが出ていると知らなかった。
- プラスチックごみをできるだけ出さないように、気をつけて買い物したい。
- 空気中にもマイクロプラスチックがあるぐらい、地球が汚れていると知ってビックリした。
続いて、グリーンピースのプロジェクト・マネージャーの高田久代から、補足説明として映画の解説を行います。高田が強調したのは、使い捨て以外の方法を選ぶこと。もちろんリサイクルは大切ですが、日本でマテリアルリサイクルされているプラスチックは、わずか2割。その多くが海外に輸出されています。そして中には適切に処理されないまま放置されたりするケースも。
そういったプラスチックごみを少しでも減らすには、使い捨てをやめリユースを活用すること。この日はちょうど、韓国で国際プラスチック条約のための国際会議が開催中でしたが、グリーンピースはオブザーバーとして会議に参加しつつ、使い捨てプラスチックの生産そのものに規制をかけることを求めました。
映画の次は、いよいよリユース体験。各自が用意したリユース容器を使用するか、リユース容器レンタルサービスを利用して、実際にランチを購入します。グリーンピースが作成した中目黒駅周辺グルメMAPには、中華や洋食、おにぎりやラーメンなど、さまざまなお店が掲載されています。
どのお店に行くか、地図を見ながら相談する参加者の皆さんは、そろそろお腹もすいてきたのか真剣な表情。お店が決まった人から、会場を出て中目黒の街へ繰り出します。もちろん手にはマイバッグも忘れずに。さて、お買い物は順調に進むでしょうか?
リユース容器を使ってみる。まずは試してみることが、プラスチック問題を解決するための大きなアクション!
「買えました!」
手にマイバッグを持った参加者の皆さんが笑顔で会場に戻ってきます。
「何を買ってきたの?」
「ケーキも入れてくれたんだ!」
お互いのランチを見ては、質問したり、驚いたり。会場はだんだん賑やかな雰囲気に包まれて行きます。
目黒区在住でお子さま二人とママとパパで参加したご一家の手には、エビがきれいに乗せられた炒飯と、細長い容器に行儀よく並べられた小籠包。2店舗に断られたものの、その次の中華屋さんでは快く、準備した容器に入れてくださったとのこと。ほかにも、「面白い試みだね」と、このイベントに興味を示してくださったお店もあったとか。「これまでリユース容器は使ったことがなかったので、今日はいいきっかけになりました」という笑顔に、一度体験してみることの大切さを感じました。
リユース容器のレンタルサービスが利用できるお店では、どこもスムーズにお買い物できたようで、試してみれば手軽に利用できることが実感できた様子。レンタルサービスであれば、容器を準備する手間もいらないだけに、もっと活用しやすいかもしれません。
「買い物できたー」「できなかったー」と、同じ体験をしてから一緒にランチを囲むことで、参加者同士の距離もぐっと縮まったようです。マイ容器やマイボトルの情報交換をしている人たちもいて、プラスチック問題という共通の関心事を持つ人たちの交流の時間となりました。
食後は、再び班ごとにリユース体験の感想を共有します。参加者の体験から生まれた言葉には、これからリユースを始めたい人にも役立つ情報がたくさん詰まっていました。
- 店員さんが衛生面を気にして、自己責任でと言ったうえで、マイ容器に入れてくれた。
- お願いすると店員さんの表情が曇って、ちょっと気まずい思いをした。
- リユース容器のレンタルサービスは、使い勝手がよくて大満足。
- 持っていく容器のサイズを考えたほうがいい。(ピザが大きすぎて入らない、ラーメンは汁と麺で二つ容器が必要、などの声があった)
- お店の混雑具合によって対応できないときがあるのかもしれない。(同じ店でも対応が違うときがあった)
それから、作成したマップに体験の結果を書き込んでいきます。新たなお店の情報も加えられ、充実したマップが仕上がりました。この地図の情報は、目黒区に共有することにしています。続いて実施したアンケートでは、全員一致で「もっとリユース容器が広まってほしい」という回答に! リユース容器は初体験の参加者が多かったようですが、体験を通して、プラスチックごみ問題に対して一歩踏み出せたという実感を得られたようです。
映画『マイクロプラスチック・ストーリー』では、小学生の子どもたちがさまざまな行動を起こしていましたが、いつも利用しているお店で、「リユース容器使えますか?」と尋ねてみるのも、大きな行動のひとつです。まずは自分の身近なところから、行動を起こしてみませんか。イベントを通して、自分から行動を起こしてみることの大切さが伝わっていますように。そして次はこのブログを読んだあなたも、ぜひ行動に移してみてください。
写真撮影 ©︎ Taishi Takahashi / Greenpeace