【2024年9月】3分でわかる日本と世界の環境ニュース

記録史上最も暑かった日本の夏がようやく終わろうとしています*。気候科学者たちは、すでに2024年が昨年の記録を破り、これまでで最も暑かった年になるだろうと予測しています。気候変動をこれ以上加速させないために、地道な粘り強い活動が必要です。2024年9月に達成した環境活動の成果をお知らせします。
日本:夏休み前の学校教室の温度を調査測定
グリーンピースは夏の学校教室の温度を実際に測定し、不十分な断熱が、子どもたちに快適とはいえない学習環境を強いていることを発表しました。
調査は7月1日より19日間、東京都、神奈川県、三重県の小学校と埼玉県の高校の計4校で行われました。その結果、測定したすべての教室の室温が調査の半分以上の期間、文部科学省推奨の28度以下を維持できていなかったことがわかっています。

調査時間のうち、東京都で56.1%、神奈川県で53.7%、埼玉県で73.1%、三重県で64.6%が28度を超えていました。特に7月8日には、学校の活動時間帯について、4校すべてで室温はずっと28度以上を記録。特に東京都と埼玉県の学校では30度、神奈川県の学校では32度を下回りませんでした。
また、今回の調査から断熱施工のある教室も断熱材の厚さが足りないなどの理由で、適温を維持できていない場合があることもわかっています。子どもたちの健やかな学習環境を気候変動の影響から守るために、学校の断熱改修が必要です。
イギリス:石炭火力発電所ゼロを達成
イギリス最後の石炭火力発電所ノッティンガムシャーのラトクリフ・オン・ソア発電所が9月30日に閉鎖され、石炭火力発電所ゼロが達成されました*。石炭火力の全廃はG7で初めての快挙です。

グリーンピースはイギリスの電力の少なくとも3分の1が石炭火力で賄われていた時期から、化石燃料の使用に反対する活動を続けてきました。2015年にはイギリス全土の環境活動家、環境団体と連帯して、為政者に石炭火力の廃止を約束するよう働きかけました。そのかいあって、政府は気候変動対策の目標を達成するため2025年までに石炭火力発電所をすべて閉鎖する計画を発表していました。
遡ること250年、石炭利用で産業革命を起こしたイギリスでいち早く石炭からの卒業が実現したことは、気候にとって重要な分岐点です。対して、今も電力のおよそ3割を石炭に依存する日本では、未だ廃止時期すら決定できていません。化石燃料脱却の努力が求められています。
ガーナ :ファストファッションによる汚染
主に北半球から輸入される古着類が、ガーナの環境や公衆衛生に甚大な被害を引き起こしています。
ガーナには毎週1,500万点もの衣類が届けられています。しかし、そのうち約半分は販売に適さず、非公式のゴミ捨て場に捨てられたり、焼却されたりしています。その結果、空気や土壌、水が汚染され、地元の人々の健康が危険にさらされていることをグリーンピースが調査、報告しました。

アジア、北米、ヨーロッパから毎年12万トンもの古着がガーナに流れ着き、その多くがファストファッションに分類されます。調査では、ガーナで廃棄された衣類の約90%がポリエステルなどの合成繊維で、マイクロプラスチックの拡散に寄与していることがわかりました。
グリーンピース・アフリカは、廃棄物の輸入禁止、着用可能で再利用できる衣類のみを輸入することを求めています*。輸出する側のルール設置も必要です。
頻発する洪水、災害支援と環境活動
ようやく厳しい暑さの夏が終わろうとする中、気候変動の影響は9月に入ると洪水の頻発となって地球を襲いました。アフリカ、アジア、ヨーロッパで大規模な洪水が発生し、1,500人以上の命が失われ、150億ドル以上の損害が発生しています*。

台風ヤギは、東南アジアを中心に、ベトナム北部、ラオス、タイ、ミャンマーなどで洪水と土砂崩れを引き起こしました。これまでに500人以上の命が失われています*。
低気圧ボリスによる集中豪雨は、オーストリア、チェコ共和国、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、スロバキア全土に被害をもたらしました。過去30年で最悪の洪水が発生し、少なくとも8人が死亡、数十万人が被災しています*。
そして、日本では、石川県で21日から22日にかけて記録的な大雨となり、河川の氾濫や土砂崩れが相次ぎました。能登半島地震の復旧途上にあった各地での被害は甚大で、現在も捜索救助活動や孤立解消のための作業が続いています。
命綱となる災害支援活動は以前にも増して重要です。また、同時にこれ以上の気候災害の悪化を食い止めるため、さらに力強い環境活動を続けなければなりません。