ネスレとダノン商品からマイクロプラスチック検出——プラ容器入り乳幼児向け食品にリスク
この投稿を読むとわかること

グリーンピースの最新調査で、日本でも馴染みの深いキャップ付きプラスチック製パウチで販売されるベビーフードから、マイクロプラスチックが検出されました。対象となったのは、ネスレ、ダノンという世界的ブランドの商品です。調査結果からプラスチック容器包装のリスクについて掘り下げ、問題解決のためにはどうすれば良いのかを考えます。
キャップ付きパウチベビーフード商品からマイクロプラ——新調査で衝撃の結果
多くの親が赤ちゃんに食べさせるものの安全性に気をつかっています。「人工香料、着色料フリー」、「非遺伝子組み換え」、「オーガニック」そんな表示を確認してベビーフードを選ぶ人もいるでしょう。
しかし、グリーンピースの最新調査によって、キャップ付きプラスチック製パウチ(以下、スパウトパウチ)入りベビーフードの安全性に物議をかもす衝撃的な事実が明らかになりました。安全性を示すラベルの裏側で、何が起きているのでしょうか。
グリーンピース・インターナショナルがノルウェーの海洋技術開発機関SINTEFオーシャンに委託し、2025年に実施した調査で、ネスレ、ダノンという世界的ブランドのスパウトパウチ入りベビーフードを分析した結果、食品サンプルから1グラムにつき、最大54個(ネスレ)および99個(ダノン)ものマイクロプラスチックが検出されました。

この結果からは、プラスチック包装がもたらす健康リスク、そして世界にプラスチックがあふれる現状について、改めて見直す必要性が浮かび上がります。
ネスレとダノンの育児用食品からマイクロプラスチックを検出
調査対象となったのは、日本でもよく知られる大手食品企業ネスレとダノンのベビーフード。ネスレおよびダノンは、あわせて世界のベビーフード市場の40パーセントものシェアを占めており、中でもネスレは業界を牽引する存在として知られています。
商品としては、ネスレ「ガーバー」ブランドのヨーグルトベースのピューレ、ダノン「ハッピーベビーオーガニックス」ブランドのフルーツベースのピューレ、どちらもプラスチック製のキャップ付きパウチ(スパウトパウチ)入りのベビーフード商品(日本からも入手可能)です。

調査の結果、1円玉程度の重さ(1グラム)の内容量につき、ネスレ「ガーバー」ブランドのパウチに平均で最大54個のマイクロプラスチックが、ダノン「ハッピーベビーオーガニックス」ブランドのパウチに平均で最大99個のマイクロプラスチックが検出されました。
これは、小さじ1杯あたりに換算すると最大で270個(ネスレ)、または495個(ダノン)のマイクロプラスチックに相当し、パウチ1袋あたりでは、ネスレ商品で推定5,000個以上、ダノン商品で推定11,000個以上ものマイクロプラスチックが含まれている計算になります。
子育て中の親たちは、我が子の生育と健康を考え、製品の安全性を信じ、こうした乳幼児向けの食品を使っています。しかし今回の調査で明らかになったのは、ネスレとダノンは製品の安全性を保証できていないということでした。
身近なプラスチック容器に潜むリスク
グリーンピースの調査で明らかになったのは、ネスレとダノンの対象製品のスパウトパウチの内側に使用されているプラスチック(ポリエチレン)と、検出されたマイクロプラスチックの一部の間に関連性があるということです。
また、ガーバーのヨーグルト製品には、体内に取り込まれた場合に、ホルモンの正常なはたらきを乱す(内分泌かく乱)疑いのある物質が含まれていることもわかりました。
日本の乳幼児向け食品の分野でも、缶詰や瓶詰の商品を経て、プラスチックパウチ入りのベビーフードが登場しています。現在では、今回の調査対象となった容器形態であるスパウトパウチだけでなく、パウチごと電子レンジで温められる商品も多く販売されています。

プラスチックに蝕まれる食品流通システム
近年、プラスチック混入や汚染による商品のリコール(自主回収)を報じるニュースがますます頻繁になっています。サプライチェーンのあらゆる段階がプラスチックに依存する現在の食品流通システムでは当然のことといえるかもしれません。

リコールは通常、業界側の主導で行われます。私たち消費者は不審な点や明らかな問題を見つけた場合にだけ企業に知らせ、その後は公的機関との連携で行われる一般消費者への通知を待ち、企業が対策を講じるのを見守るばかりです。
しかし、混入や汚染の原因が、機械の故障や人為的なミスではない場合にはどうなるのでしょうか。どの時点でどのチェック機能が不足しているのかすらわからない、あるいはそもそもチェック機能自体が存在していない可能性もあるのです。
企業は、自社商品にマイクロプラスチックが含まれていることをすでに承知しているのでしょうか。それともプラスチックに依存したビジネスモデルの限界など考えもしないのでしょうか。
ネスレとダノンは、自社製品がプラスチックの問題を抱えていることを認識しています。ただ、プラスチックよりも人の身体を優先させる方法が分からないのです。そして、政府や公的機関はそうした企業に責任を課しません。
プラスチックが地球と健康にもたらす危機
プラスチック容器やプラスチック包装が、その製造から廃棄に至るまでを通じて、生物多様性と気候の危機を悪化させていることはもはや疑いようのない事実です。
プラスチック容器包装は、世界のプラスチック生産および廃棄物の約40パーセントを占め、これにより、ゴミ処理システムには絶え間なく過重な負荷がかかり、多くの場所ではすでに機能不全が起きています。

身体に取り込まれるマイクロプラスチック
企業がプラスチックを生産すればするほど、マイクロプラスチックによるリスクも高まります。
いまや多種多様となったプラスチック製品がマイクロプラスチックや化学物質を介して私たちの身体に影響を及ぼす危険性は、これまで多くの科学文献で指摘され続けてきました。今回のグリーンピースの調査結果は、そうした警鐘を裏付ける最新の科学的根拠として連なることになります。
恐ろしいことに、私たちがマイクロプラスチックやプラスチック由来の化学物質を体内に取り込む経路は、容器や包装を介した直接的な摂取に限られません。
環境中に流出したプラスチックはやがて劣化してマイクロプラスチックとなり、生態系を循環し、空気、水、あるいは食べものを通じて食物連鎖をたどり、体内に侵入します。

プラスチックがもたらす危機から脱却するには、当たり前になってしまったプラスチック容器包装への依存を見直す必要があるのです。
国際条約でプラスチックに依存しない暮らしの実現を
プラスチックによる汚染を止められるかもしれないまたとないチャンスがめぐってきていることをご存じでしょうか。現在、世界各国の政府が、プラスチック問題に取り組むために法的拘束力のある国際条約「国際プラスチック条約」の締結に向け、交渉を進めています。
この条約で、プラスチックの生産量を削減し、有害化学物質の使用を禁止し、リユースとリフィル中心の使い捨てない社会のルールをつくることができれば、地球をおびやかすプラスチック問題を解決できるかもしれません。

しかし、プラスチックの大量生産で儲ける大手企業は、条約の実効力を削ごうと大規模なロビー活動を展開しています。今こそ、世界の政策決定者たちにプラスチック問題の根本解決を求める声を届け、実効的な条約のための交渉を後押ししましょう。
仕組みを変えれば、心地よく安全に環境にも健康にも優しい暮らしは実現します。各国の政策決定者に力強い国際プラスチック条約の実現を求める署名にぜひ参加してください。
