アゼルバイジャン・バクーで開催中の国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)で11月21日、これまでに各国の間で合意に至っていない重要議題についての合意草案が発表されました。これについてグリーンピースは同日、以下のコメントを発表しました。

グリーンピース・ジャパン シニア政策渉外担当、小池宏隆

「発表された合意草案のうち、新しい気候資金目標に関する草案(注1)では、途上国において気候変動対策のために数兆ドルの資金が必要であるとの認識が明言されているものの、具体的にどれほどの資金供与・動員がなされるのかは明記されていません。これは気候危機の影響を直接受ける何百万人もの人々にとっては全く不十分です。気候変動対策には資金が必要ですが、その資金は化石燃料を生産または大量に消費し続け、気候危機を加速させている企業が支払うべきです。それらの企業にカーボンプライシング等を通じて負担を求め、資金ギャップを埋める道筋が含まれていることは、期待される成果の一つです。

一方、温室効果ガス排出量を削減する『緩和』については、気候変動資金をめぐる交渉の停滞を受け、進捗がほとんど見られませんでしたが、発表された草案(注2)では、重要な選択肢として、特に、グローバルストックテイク(GST)の実施に関するUAE対話において、化石燃料からの脱却を含むエネルギートランジションの実施について、随時進捗状況を報告し、必要な決定を行うという選択肢が残されています。

これらは、あくまで現時点では選択肢の一つに過ぎず、実際の合意内容は各国の最終盤の交渉にかかっています。今回のCOPで達成しなければならない成果は、昨年のCOP28の成果をより加速させ、達成が困難になりつつある1.5度目標の軌道に、世界を再び乗せることです。そのためにも日本を含む各国は、上記の選択肢に合意するよう、交渉に取り組まなければなりません」


以上


(注1)UN, “New collective quantified goal on climate finance. Streamlined compilation of proposals serving as transition to Presidency draft decision text, including options emanating from the Ministerial consultations”

(注2)UN, “Matters relating to the global goal on adaptation. Proposal by the President”