気候変動や環境問題のために「何かしたい」と考える人のためのアクションガイドです。第3回は、「パワーシフト」と呼ばれる電気の切り替えについてご紹介します。

記録的な暑さや豪雨による洪水。温暖化が進むにつれて、極端な気象が増え、その影響は私たちの暮らしや社会にも広がっています。

「気候危機をとめるために何かしたい」という気持ちがあっても、「何から始めたらいいんだろう?」と立ち止まってしまう方も多いのではないでしょうか。

このアクションガイドは、気候変動や環境問題のために「何かしたい」と考える人のためのシリーズです。全6回、テーマごとに情報をわかりやすくまとめています。第3回は、自宅など身近な場所での効果的なアクションとして「パワーシフト」と呼ばれる電気の切り替えについてご紹介します。

▶︎今すぐできる最も力強い気候アクションについて知る

パワーシフト(電気の切り替え)とは? なぜ電気なのか

気候危機を止めるためにとても効果的なアクションのひとつに、電気を再生可能エネルギー(以下、再エネ)に切り替える「パワーシフト」があります。

なぜ電気の切り替えが効果的なのでしょうか。地球温暖化の主な原因は、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスです。日本では、その多くが発電などのエネルギー分野から排出されています。

日本に住む私たちが使っている電気の約3分の2は、二酸化炭素を多く排出する火力発電(石炭、LNG、石油、その他の火力)によって生み出され、電力需要に占める再エネの割合は約24パーセントにとどまります。

日本全体の電源構成
日本全体の電源構成(2025年速報)(出典:ISEP環境エネルギー政策研究所(電力調査統計などよりISEP作成))

二酸化炭素の排出量を減らしていくためには、火力発電によって作られる電気の使用を減らしていく必要があり、そのためにできることとして、「自宅の電気を再生可能エネルギー(以下、再エネ)由来のものに切り替える」ことは強い効果を持つのです。

パワーシフト・キャンペーン「未来をつくる電気の選び方」
電力や社会のあり方を変えよう(出典:パワーシフト・キャンペーン「未来をつくる電気の選び方」 )

毎月払っている電気代を再エネを重視する電力会社に切り替えれば、自分が使う電気にともなう二酸化炭素排出量を減らしつつ、再エネを後押しすることができます。

パワーシフト・キャンペーン「未来をつくる電気の選び方」
電力会社の選択を通じたお金のながれで再エネに力を入れる電力会社を応援できる(出典:パワーシフト・キャンペーン「未来をつくる電気の選び方」 )

自宅の電気を再エネに切り替える「パワーシフト」3ステップ

「手続きが大変そう」と思う人が多いかもしれませんが、実はとても簡単です。

  ①電力会社を選ぶ

  ②今の電気料金明細、検針票を用意する

  ③WEBか電話で申し込む

手続きはこの3ステップのみ。工事は原則不要で、切り替えの連絡も新しい電力会社が代行してくれます。

「①電力会社を選ぶ」ためには、「パワーシフト・キャンペーン」で紹介している再エネを重視する電力会社一覧をぜひ参考にしてください。きっとあなたにぴったりな電力会社が見つかりますよ!

日本地図版電力会社紹介
日本地図版電力会社紹介(出典:パワーシフト・キャンペーン 「パワーシフトな電力会社」)

しっかり調べてからチャレンジしたい方は、下のアイコンからダウンロードできるパワーシフトのガイドを読んでみよう!

電気を切り替えようアイコン

実際にパワーシフトをやってみた!

実際、WEB申し込みでパワーシフトをやってみたら、どれくらい時間がかかる? どんな用意がいる? 具体的なことがわかる手続きの流れを実際やってみながら紹介する動画です。ぜひ参考にしてください。

アパートやマンションなどでも、電気料金の明細書の契約者名が自分である場合には切り替えが可能です。

また、自治体によっては、多くの人が共同で購入することで需要の規模を大きくし、電力会社から割安で電気を購入する「共同購入」の取り組みが行われている場合も。以下のサイトから自分の街で共同購入の取り組みが行われているかをチェックすることができます。選択によっては今の電気代よりも安くすることができる可能性も!

学校、職場、自治体の電気を再エネに切り替える「パワーシフト」3ステップ

自宅以外の場所でのパワーシフトにも挑戦! 職場や学校、住んでいる自治体の施設などで、再エネ由来の電気への切り替えを提案してみましょう。

  ①現在の契約先電力会社を調べる

  ②契約を担当している人や責任者を調べる

  ③提案する

切り替えを勧めるためには、今どこの電気会社と契約しているのかを知って、契約を決定する権限を持つ人に選択肢を知らせることが最初のステップ。

もしもうまくいかなかったら、「ゼロエミッションを実現する会」に相談して、仲間と一緒に考えることもできます。

パワーシフトは、二酸化炭素排出量の削減ができ、気候や環境に貢献できるだけでなく、「社会的責任を果たせる」、契約内容によっては次に紹介する再エネのメリットを活かせるなど、多くの利点があるため、職場や学校、自治体にとって大きな意義のある提案です。

実際にパワーシフトしたお店や企業の声

これまでも大規模なオフィスビルや工場では電力会社を選んで契約することができましたが、現在では、電力自由化によって、家庭や、小規模な店舗などでも電気を自分の理想にあわせて電気を選べるようになりました。

お店や企業も続々とパワーシフトを始めています。パワーシフトを実践した企業やお店を応援することでも、パワーシフトを後押しすることが可能です。

ナチュラルコスメブランドLUSHの店舗
ナチュラルコスメブランドLUSHの店舗。本社兼工場、広島本通り店、池袋駅前店、静岡店、心斎橋店、SPA新宿店でパワーシフトを行っている。Photo by Mike Mozart of TheToyChannel and JeepersMedia on YouTube

パワーシフトなお店や企業のパワーシフトした理由や実際してみてどうだったかといった声をチェックしてみましょう。

電気を再エネに切り替える「パワーシフト」のメリット

パワーシフトのいいところは、気候変動対策になるというだけではありません。家族や学校、職場、自治体などで「なぜパワーシフト?」と聞かれた時に紹介できる再エネの脱炭素以外のいいところをさらに4つ紹介します。

ソーラーパネルのイメージ
  1. 地産地消で自給率アップ
    日本はエネルギーの8割以上を海外からの化石燃料に頼り、燃料の輸入に年間約24兆円(2024年度)を支払っています。国内でつくられる再エネを増やすことは、自給率を高めて、お金を地域で循環させることにつながります。
  2. 電気代が安い
    太陽光や風力は、いま世界で最も安く、最も速くつくれる電源になっています(IRENAなど)。再エネが増えるほど、燃料価格の高騰に左右されにくい電力システムに近づきます(電気料金は各契約プランによって異なります)。
  3. 安定を確保でき、災害時に強い
    再エネの出力は天候で変動しますが、現在は蓄電池の進化や地域間の電力融通などで調整しながら安定して使う技術が発達しています。さらに、自家消費型の太陽光発電は災害への備えにもなります。停電しても、日中の発電中であれば、自立運転モードに切り替えて専用コンセントから電気を使えます(多くの機種で合計1500ワットまで。手動切替の必要あり)。
  4. 平和的なエネルギー
    再エネは、ほとんどの国、地域でそれぞれに適したかたちで得ることができるため、特定の場所に偏って埋蔵されている化石燃料と違い、資源の獲得競争や紛争の火種になりにくいエネルギーです。

仲間を見つけませんか?

「もっと、気候変動対策に深く取り組みたい」、「仲間と一緒に問題解決に取り組んでみたい」、「もっと何かしたい!」そんな方は、気候変動問題に対して取り組んでいる団体を見つけて、参加してみましょう。

グリーンピース・ジャパンが事務局を務める「ゼロエミッションを実現する会(以下、ゼロエミ)」は、気候危機回避のために自分の住む自治体の脱炭素をめざす市民のプラットフォームです。

ゼロエミの仲間

ゼロエミは、一緒に活動する仲間を募集しています。

気候変動問題に対して、市民から自治体や議会へのアプローチを行っています。今まで取り組んだことのない方でも大丈夫! ゼロエミには、たくさんの仲間がいて、気候危機回避のために頑張る人をサポートできます。

「まずはどんな会なのか、知りたい」という方は、ぜひホームページやインスタグラムをのぞいてみてください。参加してみたいなと思う人は、以下のボタンよりはじめてゼロエミに参加する人向けのオンラインオリエンテーションに出てみよう!

寄付は最強のアクション!

一人ずつのアクションが、そのまま個別に終わってしまった場合、すでに地球規模となって加速を続ける気候変動に変化をもたらすことはできません。

気候変動を止めるためには炭素排出量を大幅に削減する必要があり、それには政府の再エネ導入目標や企業の脱炭素方針などをより野心的な方向へと動かす必要があります。そのためにグリーンピースなどの環境団体は、決定を後押しする調査や提言、市民の声の可視化、メディアへの働きかけを行っています。

寄付はこうした活動の規模を大きくしたり、参加する人を増やしたりすることで、政策決定者やリーダーたちに「本気の気候変動対策」を求める声の大きさを知らしめます。

「寄付をする」ことがみんなのアクションをつなぎ、大きな力にまとめ、効果的に政策決定者に届けることを助けています。▶︎寄付が最強のアクションである理由【気候アクションガイド #00】