地球温暖化を抑えるには? 消費者パワーの使い方【気候アクションガイド #02】
気候変動や環境問題のために「何かしたい」と考える人のためのアクションガイドです。第2回では、消費者としてのわたしたちの「パワー」の使い方をお伝えします。
記録的な暑さや豪雨による洪水。温暖化が進むにつれて、極端な気象が増え、その影響は私たちの暮らしや社会にも広がっています。
「気候危機をとめるために何かしたい」という気持ちがあっても、「何から始めたらいいんだろう?」と立ち止まってしまう方も多いのではないでしょうか。
このアクションガイドは、気候変動や環境問題のために「何かしたい」と考える人のためのシリーズです。全6回、テーマごとに情報をわかりやすくまとめています。第2回では、消費者としてのわたしたちの「パワー」の使い方をお伝えします。
二酸化炭素を最も多く出しているのは?
気候変動の最大の原因は、人間活動による温室効果ガスの排出です。では、その代表格である二酸化炭素は、どこから出ているのでしょうか。
日本が1年間に出す二酸化炭素は9億7,100万トン(2024年度)。内訳を見ると、消費者としてかかわる私たちが、どこに気をつけ、働きかけていくべきかが見えてきます。
日本の部門別二酸化炭素排出量の割合
日本全体の二酸化炭素排出量の内、40.4パーセントを発電所などの「エネルギー転換部門」が排出しています。続いて、24.4パーセントを工場などの「産業部門」が、18.6パーセントを自動車などの「運輸部門」が排出しています。

今後、日本全体の電力需要はさらに増加すると予測されている中で、企業や産業界が脱炭素に向けて積極的に行動を変えていくことが、とても重要であることがわかります。
出量に占める割合の多い部門、発電、産業、交通のあり方を変えるため、私たちにできるアクションを順番に紹介していきます。
※この割合は、発電で出た二酸化炭素を電気を「つくる側」の排出として数えたものです(電気・熱配分前)。電気を「使う側」の各部門に割り振って数える方法(電気・熱配分後)もあり、その場合は産業部門34.4%、運輸部門19.3%、業務その他部門16.7%、家庭部門15.1%となります(出典:環境省「2024年度の温室効果ガス排出・吸収量について」)
市民パワーで発電を変える
エネルギーをつくる(発電)ための二酸化炭素排出が、日本全体の炭素排出量に大きな割合を占めていることがわかりました。しかし、私たち市民の力で、発電による二酸化炭素排出を減らすことはできるのでしょうか?
答えは、「はい、できます!」
私たちの消費者としての力を使って発電方法を変える2つの方法を紹介します。
1. 家庭の電気を再エネに変える
現在、日本で私たちが日々使っている電気の多くは、石炭や石油、天然ガスなどの二酸化炭素を多く排出する化石燃料のエネルギーに依存しており、その比率は7割近くを占めています。

一方で、太陽や風、水など、自然によって繰り返し補充される「枯渇しない」エネルギーである再生可能エネルギー(以下、再エネ)は発電時に二酸化炭素をほとんど排出せず、かつ国内で生み出せる国産エネルギーです。
ここで重要になるのがパワーシフト。パワーシフトとは、持続可能な社会を目指し、化石燃料や原子力を中心とした電力から、市民や地域が主体となり太陽光や風力など再エネへと電力(パワー)のあり方を変えていく取り組みです*。
各家庭でも、使用している電気を再生可能エネルギーに切り替える「パワーシフト」が意外と簡単に行えます。
2016年から、日本でも電力小売全面自由化によって、一般家庭も電力会社を選べるようになりました。また企業や事業所などもパワーシフトが可能です。
▶︎電気をかえよう! パワーシフトのやり方【気候アクションガイド #03】を読む
2. お金の流れを変える
お金の流れを使って、エネルギーのあり方を変えることも効果的です。
ESG投資、ダイベストメント
投資をする人たちが、化石燃料の採掘や火力発電を事業の柱とする企業、あるいは新たな炭鉱・油田の開発を計画している企業から投資を引きあげ、環境・社会・倫理に配慮した経営をする企業へと投資先を移すことで、化石燃料産業にお金を集まりにくくすることができます。この動きを積み重ねれば、化石燃料からの再エネシフトを加速化させることに繋がります。
銀行を通じての働きかけ
投資をしていなくても、銀行にお金を預けていれば、あなたはすでに間接的な投資家です。預金は銀行を通じて、どこかの企業に貸し出されているからです。
⬜︎ 利用銀行の投資先を調べる
『化石燃料ファイナンス報告書2026』によると、2025年に世界の銀行が化石燃料産業に提供した資金は9,060億ドル。このうち日本の3メガバンクは、三菱UFJ(MUFG)が世界3位、みずほが4位、三井住友(SMBC)が9位と多くの資金提供を行っています。
⬜︎ お客様相談窓口に意見を伝える
「化石燃料産業への投融資をやめてほしい」という意思を伝える。銀行にとって、預金者からの意見は無視することのできないシグナルです。
⬜︎ 預け先を変える
化石燃料への投融資方針は各行が公表しており、環境NGOによる比較・評価も公開されています。調べたうえで、納得できる銀行を選ぶという選択があります。
クルマ社会を変える
産業部門の次に二酸化炭素排出量が多い運輸部門。なかでも自家用乗用車による排出が全体の44.7パーセントを占めています。

さらに、旅客輸送の交通手段のなかで、一人を1キロ運ぶのに出る二酸化炭素が最も多いのが自家用車です。

通勤や通学、買い物、通院、趣味、娯楽などで必要となる毎日の移動を少し見直すことが、気候や環境を守るための大きな一歩になります。
生活スタイルや住む地域にあわせて、以下の選択肢から、自分にあったアクションを行ってみましょう。
⬜︎ 歩く、自転車を使う
目的地までの距離が短い場合には、積極的に歩いたり、自転車を使ったりするのがおすすめ。健康促進にも繋がり、渋滞の緩和にも役立ちます。
⬜︎ 公共交通機関を使う
一般的に輸送量当たりの二酸化炭素排出量が低い鉄道やバスなどの公共交通機関を利用することも、排出量削減に貢献します。長距離の移動では運転の負担がなくなるメリットもあります。
公共交通機関へのアクセスが難しい地域に住んでいる場合には、ぜひお住まいの自治体に、コミュニティバスやグリーンスローモビリティ、デマンド型交通といった新しい移動サービスの導入を働きかけてみましょう。
⬜︎ 電気自動車を利用する
移動のためには自家用車が欠かせないという方も、次の買い替えのタイミングでガソリン車から電気自動車への乗り換えを検討してみてはいかがでしょうか。
ガソリン車は、製造、使用、廃棄すべての段階で温室効果ガスを排出しますが、電気自動車は走行中の排出量がありません。製造から廃棄までのライフサイクル全体で比較した場合、電気自動車の排出量が、ガソリン車を大きく下回ることがわかっています。
▶︎持続可能なモビリティを推進する取り組みについてくわしく知る
一票を投じるように買い物をする
日本の二酸化炭素排出のうち、24.4パーセントを占めるのが産業部門です。企業の生産は消費者が何を買うかに左右されています。

買い物は投票。ものを買うときに、できる限り二酸化炭素を排出せずに作られた製品や、気候変動対策を推進している会社の製品を選ぶことが大切。環境に配慮する企業を応援することができます。また、買う量そのものの見直しも非常に重要です。
具体的にはどのようなことができるでしょうか。「使い捨てを減らす」、「グリーンウォッシュを見抜く」、「食べるものに気を付ける」これら3つの項目に分け、できるアクションをみていきましょう。
1. 使い捨てを減らす
使い捨ての問題は、ごみを増やすということだけではありません。
そもそも、使い捨てプラスチックは化石燃料からできています。プラスチックのライフサイクル全体で出る温室効果ガスは年間18億トン、世界の排出量のおよそ3.4パーセントにあたります。使い捨てを減らす選択は、化石燃料の需要そのものを減らすことにつながります。

⬜︎ ものを大切に使う
大量生産、大量消費の歯車に組み込まれないライフスタイルの実践です。気に入ったものを修理、修繕して長く使うことは、暮らしを豊かにしてくれます。
⬜︎ 過剰包装の商品を選ばない
たくさんのごみを出してしまう過重パッケージの商品でなく、できるだけ裸売りや量り売りできるお店を選んでみましょう。
⬜︎ 企業に意見を送ってみる
お客様相談窓口やSNS、商品アンケートなどを使って、「商品は気に入っているけれど、包装を減らしてほしい」などの意見を伝えてみましょう。実際にその商品を買っている人からの声は、企業にとって無視できないデータです。
⬜︎ マイバックやマイボトルを使う
カフェやコンビニ、スーパーで、容器やレジ袋をもらわない買い物をしてみましょう。一回あたりは小さくても、積み重ねが大事。店員やスタッフの人とのコミュニケーションは企業への「使い捨てを好まない人がいる」というメッセージ発信にもなります。
⬜︎ プラスチック条約の署名に参加する
世界各国の政府が進める「国際プラスチック条約」の締結。グリーンピースはこのプラスチック条約を、より実効的な内容にするために署名を集めています。グリーンピースを通して、使い捨てプラスチック以外の選択肢を増やすシステムチェンジを後押ししよう。
▶︎署名への参加はこちらから
2. グリーンウォッシュを見抜く
グリーンウォッシュとは、企業や団体が実際以上に環境への配慮をアピールし、消費者や投資家に誤解を与えて利益を得る行為を指します。根拠や実態がともなわない「見せかけの環境配慮」を見抜き、本当に環境に配慮した製品やサービスを選んで応援しましょう。グリーンウォッシュを見抜くためのポイントをチェック!

⬜︎ 科学的根拠に基づいた信頼に足る情報源からの情報収集
日常的に、信頼できる情報源を活用することで、環境リテラシーを高め、欺瞞や誇大広告に気づきやすくなります
⬜︎ 企業が公開している情報を確かめる
気になる企業や商品があれば、公式ホームページなどで環境影響についての情報を公開しているか、製造工程を含むライフサイクル全体での評価をしているかなどを確かめてみましょう。
⬜︎ 環境NGOなどの発信や情報ネットワークを利用する
グリーンピースをはじめ、独立した活動で、企業などに提案や提言を行う環境NGOが発信する、調査や分析から割り出した企業の評価は信頼できる評価基準になります。
3. 食べるものに気をつける
畜産業から出る温室効果ガスは、世界の排出量の約12%(FAO)に上ります。牛のげっぷに含まれるメタン(100年で比較すると二酸化炭素の約27倍の温室効果)と、放牧地や飼料用作物のための森林減少が主な原因です。

⬜︎ お肉を食べない日をつくる
週に一度でも肉を食べない日を設けることで、その分の排出、放牧や飼料のために切りひらかれる森を減らすことに貢献できます。
⬜︎ 食べきれる量を買う、注文する
食品の損失と廃棄は、世界の温室効果ガス排出の8〜10%(IPCC)にあたります。食べ残さないことは効果の高いアクション。
⬜︎ 旬の食材を選ぶ
季節ごとの旬の野菜や果物を選ぶことには、温室栽培のものに比べて、エネルギー消費や二酸化炭素排出を大幅に抑える効果があります。旬の食材は比較的安く手に入り、栄養価も高い場合が多いです。
一緒に活動しませんか?
一人ひとりのアクションも集まれば企業をも変える大きな力になります。気候アクションは一人で終わらせないことがとても大切です。
もっと大きな変化をもたらすアクションに挑戦したい、そんな気持ちが生まれたら、グリーンピース・ジャパンが事務局を務める「ゼロエミッションを実現する会」(以下、ゼロエミ)で一緒に活動しませんか?

ゼロエミは、気候危機回避のために自分の住む自治体の脱炭素をめざす人々がお互い助け合うコミュニティです。
具体的には、気候変動問題に対して、市民から自治体・議会へのアプローチを行っています。自分の住んでいる自治体からの脱炭素をめざす人々が意見交換をしながら、いろいろなアクションを展開しています。
「まずはどんな会なのか、知りたい」という方は、ぜひホームページ、またはインスタグラムをのぞいてみてください。参加を考える人は、はじめてゼロエミに参加する人向けのオンラインオリエンテーションに出てみよう!
寄付は最強のアクション!
一人ずつのアクションが、そのまま個別に終わってしまった場合、すでに地球規模となって加速を続ける気候変動に変化をもたらすことはできません。
気候変動を止めるためには温室効果ガスの排出量を大幅に削減する必要があり、それには政府の削減目標や企業の脱炭素方針などをより野心的な方向へと動かす必要があります。そのためにグリーンピースなどの環境団体は、決定を後押しする調査や提言、市民の声の可視化、メディアへの働きかけを行っています。
寄付はこうした活動の規模を大きくしたり、参加する人を増やしたりすることで、政策決定者やリーダーたちに「本気の気候変動対策」を求める声の大きさを知らしめます。
「寄付をする」ことがみんなのアクションをつなぎ、大きな力にまとめ、効果的に政策決定者に届けることを助けています。▶︎寄付が最強のアクションである理由【気候アクションガイド #00】