地球温暖化を抑えるには? 地域と自治体に働きかける【気候アクションガイド #04】
気候変動や環境問題のために「何かしたい」と考える人のためのアクションガイドです。第4回は、あなたの暮らすまち「自治体」への働きかけについてです。
この投稿を読むとわかること
記録的な暑さや豪雨による洪水。温暖化が進むにつれて、極端な気象が増え、その影響は私たちの暮らしや社会にも広がっています。
「気候危機をとめるために何かしたい」という気持ちがあっても、「何から始めたらいいんだろう?」と立ち止まってしまう方も多いのではないでしょうか。
このアクションガイドは、気候変動や環境問題のために「何かしたい」と考える人のためのシリーズです。全6回、テーマごとに情報をわかりやすくまとめています。第4回は、あなたの暮らすまち=「自治体」への働きかけについてです。
あなたの声でまちの気候対策を変えよう
気候アクションガイドでは、気候危機の状況や、気候危機を回避するために効果的な、一人ひとりができるアクションを紹介しています。第4回では一歩踏み込んで、あなたが暮らすまちの気候変動対策をチェックしてみましょう。
自分の「自治体」がどんな目標を掲げ、どんな取り組みを進めているのか。 「もっと対策を進めてほしい」「この目標で十分なのかな?」と感じることがあれば、市民として声をあげることができます。
あなたの声がきっかけとなって自治体の政策や制度が変われば、その変化は地域全体、ひいては社会全体へと広がっていきます。
「自治体に働きかける」と聞くと、少しハードルが高く感じるかもしれません。そこで今回は、自治体への働きかけ方について、私たち個人でもできる活動をまとめました。





なぜ自治体への働きかけが重要なのか
パワーシフトや省エネ、マイバッグ持参など、環境に負担をかけず自然に優しい生活を実践することはとても重要なことですが、地球の気温が産業革命前と比較し1.5℃*近く上昇している現在、一人ひとりの取り組みだけでは気候危機を止めることはできません。
火力発電から再生可能エネルギーへの移行やCO2排出に対する課税など、今必要なのは、社会全体の仕組みとして温室効果ガスの排出を減らす仕組みや対策です。

その変化を生み出すことができる、身近な場所の一つが自治体です。
自治体は地域の温暖化対策の計画など、私たちの暮らしに直結するさまざまな施策を決めています。あなたの住むまちにも「温暖化対策実行計画」や「ゼロカーボンシティ宣言(2050年CO2排出実質ゼロ表明)」といった取り組みがあるはずです。
気候危機が深刻化する今、その目標や施策は十分なのか、必要であればさらに引き上げていくことが求められます。 まちの計画に住民として声を上げることで、自治体の脱炭素化を後押しし、気候変動対策を加速させることができるのです。
自治体へのはたらきかけ、どうやるの?
ではどのように声をあげていけばいいのでしょうか。
自治体への働きかけに、特別な知識や経験は必要ありません。ここでは、「調べる」→「見極める」→「伝える」の3ステップで、住んでいる自治体の気候変動対策を後押しする方法を紹介します。
STEP1 あなたの自治体の取り組みを調べてみる
まずは今、あなたの街でどんな気候変動対策を進めているのかを調べてみましょう。

✅CHECK|こんな資料を探してみよう
⬜︎「環境基本計画」の中の気候変動対策
⬜︎「地球温暖化対策実行計画」などの計画
⬜︎「ゼロカーボンシティ宣言」の有無
⬜︎ 再生可能エネルギー・省エネルギーに関する施策
⬜︎ 温室効果ガス排出量の削減目標
「自治体名+環境基本計画」「自治体名+温暖化対策」「自治体名+ゼロカーボン」などで検索すると見つかりやすいでしょう。見つからない場合は自治体サイト内検索を、それでも分からなければ担当窓口に電話やメールで問い合わせてみるのも一つの方法です。
STEP2 目標や施策が十分か見極める
自治体の計画書や宣言の内容を確認し、「気候危機を回避できるものになっているか」を見極めてみましょう。

✅CHECK|以下のポイントを確認してみよう
⬜︎ 2030年、2035年、2040年など、中間目標が設定されている
⬜︎ 温室効果ガス(CO2)の具体的な削減目標がある
⬜︎ 再生可能エネルギーの導入目標がある
⬜︎ 省エネルギーを進める具体的な施策がある
⬜︎ 目標を実現するための具体的な計画・施策が示されている
⬜︎「ゼロカーボンシティ」を宣言している
日本は現在、2035年度に2013年度比60%削減、2040年度に73%削減という温室効果ガス削減目標を掲げています。自治体の目標や施策が、こうした国の目標に向けて十分なものになっているか、比べてみるのもよいでしょう。
「目標はあるけれど、具体的な施策が少ない」「再エネや省エネについて、もっと取り組めそう」「2030年以降の目標が設定されていない」そんな気づきがあれば、それが自治体に働きかけるポイントになります。
STEP3 自分の自治体に声を届けてみる
「もっと踏み込んだ気候変動対策が必要だ」と感じたら、次は声を届ける段階です。一人ですぐにできるものから、少し準備が必要なもの、仲間と一緒に取り組むものまで、取り組みやすさの順に紹介します。

\すぐできること/
まずは、特別な準備をしなくても参加できるアクションから始めてみましょう。

⬜︎ 署名に参加してみる
すでにある、気候変動対策を求める署名に参加するだけでも自治体に住民の関心の高さを伝えられます。
⬜︎ パブリック・コメントを提出する
自治体が計画や条例などを策定・改定する際に、住民から意見を募集することがあります。自治体のウェブサイトなどで現在募集されているパブリック・コメントがないかチェックしてみましょう。長野県での事例のように実際に意見が反映されることもあります。
\少し準備して/
もう一歩踏み込んで、自分の意見や要望を自治体に直接届けてみましょう。

⬜︎ 選挙前の候補者に質問する
「再生可能エネルギーをどのように増やしていくのか」など、具体的な政策について考えを聞くことで、候補者の姿勢を知ることができます。アンケートをつくり、候補者の回答を比較するのもおすすめです。 ▶︎選挙と投票で気候政策を動かす【気候アクションガイド #06】を読む
⬜︎ 行政や首長に要望を出す
自治体の担当部署や首長に「こんな対策を進めてほしい」という具体的な要望を届ける方法もあります。他の自治体で実施されている取り組みや、導入してほしい制度などを添えるとよいでしょう。
\仲間と一緒に/
さらに大きな変化を目指すなら、同じ思いを持つ人と一緒に取り組んでみましょう。

⬜︎ 行政や自治体議員に情報を届ける
行政の担当者や議員は必ずしも温暖化対策の専門家とは限りません。「こんな方法や取り組みがある」と具体的な情報を届けることで、新たな政策を検討するきっかけになるかもしれません。継続的に情報を届けることも重要です。
⬜︎ 議会への請願・陳情を行う
意見や要望を文書で議会に提出する「請願・陳情」という方法もあります。要望をまとめ、議員に趣旨を説明するなどの準備が必要です。▶︎請願・陳情の出し方(ゼロエミッションを実現する会)
市民の声が県の目標を底上げした例
「自分が声をあげたところで、政策は変わらないのでは」と疑問に思う人もいるかもしれません。実際に、市民の声が自治体の施策を後押しした事例があります。
2021年、長野県では2030年度の温室効果ガス削減目標を2010年度比48%削減から60%削減へ引き上げました。
このとき、「ゼロエミッションを実現する会(以下、ゼロエミ)」のメンバーらは目標の引き上げを求めて働きかけ、パブリック・コメントには61人から180件もの意見が寄せられました。
もちろん、目標の引き上げは県による検討や専門家からの提案など、さまざまな要因が重なった結果です。それでも多くの市民が声を届けたことは、目標を引き上げる動きを後押ししました。
東京都国立市では、市民と専門家の声を聞き、2023年11月に政府や東京都よりもはるかに高い二酸化炭素と温室効果ガスの削減目標が示された地球温暖化対策実行計画素案を公表しました。
こちらも立役者は、ゼロエミ国立のメンバーでした。

一人の声では小さくても、仲間と声を集め、行政に届ける。その積み重ねが、自治体の政策を動かす力になるのです。
ゼロエミなら仲間といっしょにできる
「働きかけの手順があったとしても、声を届けることは勇気が必要だと思います。「一人では不安」「何をしたらいいかわからない」「同じ思いを持つ人と一緒に問題の解決に取り組んでみたい」と思われる方も多いのではないでしょうか。そんな方は、気候変動に対して取り組んでいる団体を見つけて、一緒に活動してみませんか?

グリーンピース・ジャパンが事務局を務める市民プラットフォーム「ゼロエミッションを実現する会」をご紹介します。
ゼロエミってどんな会?
「ゼロエミッションを実現する会」は、日本が掲げる「2050年までにゼロエミッション(CO2排出実質ゼロ)」という目標を自分たちが暮らす地域から実現していこうと活動する市民のプラットフォームです。最初は少人数で始まった活動ですが、次第に全国から参加希望者が集まり、今では全国の市区町村に活動を広げています。

自治体や議会に対して、気候変動対策の強化を求めたり、情報提供や意見交換をしたり、請願・陳情を提出したりと、さまざまな「自治体アクション」に取り組んでいます。専門家・NGO・行政・事業者とも連携しています。
初めてでも大丈夫な理由
もちろん、最初から気候変動や自治体制度について詳しくなくても大丈夫です。ゼロエミのメンバーは会社員や教師など、「普通の市民」として一歩を踏み出した人ばかり。 初めて請願・陳情に取り組む人向けの相談会やオリエンテーションも定期的に開催しているので、経験がなくても安心です。
「自治体にメールを送ってみたいけれど、何を書けばいい?」
「パブリック・コメントはどうやって提出するの?」
「議員に話を聞いてもらうには?」
「請願や陳情に挑戦してみたいけれど、一人では不安……」
こういった疑問も、経験のある仲間と相談しながら進めることができます。会議の多くはオンラインで開催されているため、どこからでも参加することができます。
「まずはどんな会なのか、知りたい」という方は、ぜひホームページ、またはインスタグラムをのぞいてみてください。まずはFacebookグループでの情報交換だけ参加するのも大丈夫。参加を考える人は、はじめてゼロエミに参加する人向けのオンラインオリエンテーションに出てみよう!
寄付は最強のアクション!
一人ずつのアクションが、そのまま個別に終わってしまった場合、すでに地球規模となって加速を続ける気候変動に変化をもたらすことはできません。
気候変動を止めるためには温室効果ガスの排出量を大幅に削減する必要があり、それには政府の削減目標や企業の脱炭素方針などをより野心的な方向へと動かす必要があります。そのためにグリーンピースなどの環境団体は、決定を後押しする調査や提言、市民の声の可視化、メディアへの働きかけを行っています。
寄付はこうした活動の規模を大きくしたり、参加する人を増やしたりすることで、政策決定者やリーダーたちに「本気の気候変動対策」を求める声の大きさを知らしめます。
「寄付をする」ことがみんなのアクションをつなぎ、大きな力にまとめ、効果的に政策決定者に届けることを助けています。▶︎寄付が最強のアクションである理由【気候アクションガイド #00】