アマゾンを破壊する世界最大の食肉企業「JBS」とは?気候変動にも深刻な影響
この投稿を読むとわかること
南米アマゾンの森林破壊を牽引してきた最大の企業とされる「JBS」。違法伐採された土地から牛を調達するこの巨大な食肉メーカーを、グリーンピースは長年告発してきました。

世界的に肉を食べる人口が増え、畜産は拡大の一途を辿っています。このままでは畜産だけで、2030年までに気温上昇を1.5℃に抑えるために残された温室効果ガス排出量のほぼ半分(49%)を使い果たすと予測されています。*
ブラジルは牛肉と飼料用大豆において世界有数の生産国です。その大規模なアグリビジネスは、気候とアマゾンの生態系に危機をもたらし、先住民族や地域住民に犠牲を強いてきました。世界最大手の食肉メーカーである「JBS」は、アマゾンの破壊に最も加担した企業とみなされています。

アマゾンでの違法な伐採と牧畜の横行
ブラジルを拠点として約20カ国で事業を展開し、190カ国以上で製品を販売するJBS。* 1日あたり約7万5,700頭の牛を処理する能力を持ち、売上高は約862億米ドル(約12兆円)に上ります(2025年度)*。数万の牧場から調達する同社の方針は、アマゾンの未来に直結すると言っても過言ではありません。

グリーンピースは2009年の報告書で、JBSを含むブラジルの食肉大手が、アマゾンの違法伐採や強制労働に関わる牧場から牛を調達していることを暴露しました。(※) その後、JBSを含む4社が森林破壊や強制労働、先住民の土地の収奪と結びついた牛の調達をやめると約束。しかしJBSは、いまもアマゾンを破壊し続けています。
2008年以降、JBSの直接的なサプライチェーンを通じた森林破壊の規模は、20万ヘクタール以上に及びます。さらに違法伐採地の牛でありながら、別の牧場を経由することで合法を装う「牛ロンダリング」取引は、控えめに見積もっても150万ヘクタールに上るとされ、これは東京都の約7倍もの面積に相当します。*
※ グリーンピース・インターナショナルによる報告書「Slaughtering the Amazon」(2009年)および 「How JBS is still slaughtering the Amazon」(2020年)
ブラジルのアマゾン地域:牧草地と農地の割合が目立つ

広大な土地の焼失と、石油大手に匹敵するメタン排出量
JBSはアマゾンで火災が多発する地域の周辺で操業しています。グリーンピースが分析したところ、2019〜2024年の間、アマゾンにあるJBS食肉処理場の半径360km圏内では、日本の総面積の約8割に匹敵する約3,050万ヘクタールもの広大な土地が焼失していました。*
この調査結果で、JBSがいまなお不法な森林伐採や火入れを行った牧場から牛を調達し続けていることが暗に示されました。そこで生産された牛肉や皮革製品は、ブラジル国内に出回るだけでなく、中国、北米、欧州など世界各国へ輸出されていきます。
JBSの大規模な牛肉生産は、温室効果ガスも驚くほど排出しています。グリーンピースの調査で、同社による年間のメタン排出量は、石油大手シェルとエクソンモービルの2社を合わせた排出量に匹敵することがわかりました。JBSは「2025年までに違法伐採ゼロ」と「2040年までにネットゼロ」を掲げていますが、実際の進展は乏しく、2024年にはニューヨーク州司法当局が「売上増加のために気候変動目標を掲げて消費者を欺いた」として提訴しています。

過去に汚職スキャンダルも明らかになっている同社は、2025年にニューヨーク証券取引所への上場と、オランダへの本社移転を行いました。事業拡大を見据えた動きですが、グリーンピースは排出量増加と環境破壊を助長しかねないとして、この動向に警告を発しています。
グリーンピースは引き続きJBSに対し、①森林破壊や人権侵害に結びつく企業との取引の中止、②先住民の権利を守ること、③サプライチェーンの完全な透明性などを求めています。
