映画やテイクアウト体験で楽しくプラ問題学ぶーーINC5開催に合わせ体験型イベント開催、東京・目黒
韓国・釜山で開催中のプラスチック汚染対策に関する国際条約を議論する第5回政府間会合(INC5)に合わせて、プラスチックをめぐる環境問題について知ってもらおうと、国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都港区)は11月30日、東京・目黒のスペース中目黒で、プラ問題を学ぶイベント「親子でリユース買い物体験 ~使い捨てプラ時代からリユース時代へ~」を開催しました。参加した親子らは、プラ問題をテーマにした映画を鑑賞したり、持参したマイ容器やリユース容器レンタルサービスでランチをテイクアウトするなどして、楽しくプラ問題について理解を深めていました。
この日のイベントには親子連れら32人が参加。はじめに行われた映画鑑賞会では、プラスチック汚染をテーマにした米ドキュメンタリー映画『マイクロプラスチックストーリー ぼくらが作る2050年』(注1)が上映されました。ニューヨークの小学生がプラ汚染について知り、行動するまでの姿を追った内容で、参加者からは「洗濯で大量のマイクロファイバーが出たり、空気中にもマイクロプラスチックが存在していることに驚いた」「プラスチックは便利なのは事実。ただ分別やリサイクルなど、(プラ使用を減らすために)できることはあるんじゃないか」などの声が上がっていました。
映画鑑賞後、参加者は使い捨て容器を使わないランチのテイクアウトに挑戦。グリーンピースが作成した中目黒駅周辺グルメMAP(注2)を参考に、周辺の飲食店をめぐりながら、持参した容器で食べ物や飲み物の持ち帰りができるかを尋ねていました。
リユース容器レンタルサービスに対応しているヴィーガン料理店「レインボーバードランデヴー」では、来店した参加者が持参したリユース容器での持ち帰りをリクエストすると、快く対応。親子でイベントに参加したスタッフは、、今回レンタルサービスを利用するのが2回目だといい、「最初は戸惑ったが慣れると容器をずっと持ち歩かなくて済むのでとても便利。また使ってみたいです」と話していました。
参加者の中には、初めて持参容器でテイクアウトを体験したという人も多く、持ち帰ったカレーやサンドイッチを食べながら、「案外すんなりと持参した容器に入れてもらえた」「店舗の容器以外の持ち帰りを想定していない店もあった」などとそれぞれの結果を共有していました。参加者はランチマップにリユースOKだった店に黄色や緑の色をつけるなどしており、グリーンピースは後日、リユース容器に対応した店舗を反映して更新したマップを目黒区に提供する予定です。
グリーンピース・ジャパン、プロジェクト・マネジャーの高田久代は「マイボトルやマイタンブラーは日本の日常に徐々に浸透しつつありますが、飲料以外のリユース容器持参で買い物をすることはまだまだ一般的とは言えず、今回のイベントでは、これを楽しく体験する場を作ることを目指しました。リユース容器レンタルサービスを導入している店舗は非常に少数ですが、グリーンピースが実施したアンケートでは、これらのサービス利用者の92.6%が『また利用したい』と回答(注3)しています。使い捨てごみ削減の対策を個人の努力だけに委ねるのではなく、企業等が『リユース目標』を設定したり、テイクアウト用リユース容器レンタルサービスの段階的かつ大規模な導入などを進めることが必要です。そのためにも、現在、韓国・釜山で開催中のINC5で、プラ生産量の削減とともに使い捨てプラの段階的廃止について、実効的な合意がされることに期待します」としています。
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(注1)原題『Microplastic Madness』(2019年、アメリカ、76分)。ニューヨーク・ブルックリンの小学5年生たちがプラスチック汚染問題を学んでその根幹を探り、解決に向かって行動するまでの2年間を追った長編ドキュメンタリー映画。世界44の映画祭に出品され、8つの賞を受賞している。イベントでは、日本語吹替版本編に加えメイキング映像も上映した。
(注2)目黒区が公表している「目黒買い物ルール参加店」の情報も含め、グリーンピースが今回のイベントのために作成。作成にあたって、使い捨て容器削減の取組や課題について、区の担当課にもヒアリングを行っている。
(注3)プレスリリース「リユースサービス利用者『また利用したい』9割超、企業側のプラ汚染対策推進に期待」