みなさんこんにちは、食と農業問題担当の関根です。

桜前線は北海道へ届き、もう様々な生き物たちが夏に向かって活発に動き出していますね。

一方、ここ数年、カエルをあまり見かけなくなった、虫やミミズが少ない、夏秋にトンボの姿が減った...といったことを感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

自然の生態系にネオニコチノイド系農薬が与える影響が深刻だ、ということを示す新しい研究が最近相次いででてきています。

 

その一つが、ネオニコ農薬が広範囲に使われるようになってきて、生態系のサービス(たとえば授粉や、天敵として「害虫」を抑えるといったはたらき)を提供しているさまざまな生物やその多様性に深刻な影響を与えているという証拠が次々に上がってきている、という報告書。ヨーロッパのアカデミー科学諮問会議が4月8日に公表したものです。

この問題は、4月23日に参議院で開かれた「消費者問題特別委員会」でも取り上げられました。

 

質疑の様子はこんな感じです。

質問:参議院議員福島みずほさん(社民党)

「今年4月にEUの欧州アカデミー科学諮問会議が、「生態系サービス、農業、ネオニコチノイド」という報告書を出しました(注1)。ネオニコチノイド農薬が天敵などとして害虫の発生を抑えてくれる生態系システムを壊すために害虫問題を悪化させているという指摘もあります。

 

また、国際自然保護連合(IUCN)に助言する科学者グループが、ネオニコチノイド系農薬などの浸透性農薬の影響について世界的な総合評価書(注2)を発表しております。

環境省と農水省は、具体的にどういうことを検査、あるいは取り組んでいらっしゃるのか、教えてください。」

これに対して、環境省は、生態系に深刻な影響を及ぼしていることが「懸念される場合には」必要な対策を検討するとして、次のように答えています。 

回答要約:環境省 審議官 早水輝好さん 

「IUCNやEUからネオニコチノイド系農薬による生態系への影響についての指摘がなされていることは承知しております。環境省では2014年度から、ネオニコチノイド系農薬等が日本における生態系の重要な指標であるトンボの生息状況に及ぼす影響や陸域昆虫等に対する影響について調査研究をしております。調査の結果、生態系に深刻な影響を及ぼしていることが懸念される場合には、農水省とも連携いたしまして必要な対策を検討してまいりたいと考えております。(中略)

環境省は、特に農薬と生態系の関係について確認をしていく、非常に重要な役割だと思っておりますので、この農薬についてもしっかり調査をしてまいりたいと思っております。」

環境省が「承知している」といった報告書(注2)でも、「ネオニコチノイドとフィプロニルはすでに著しい被害を引き起こしており、土壌や植生、水系の幅広い生物種への深刻な危険要因となっており、各種の生態系サービスに影響を及ぼしている」と警告しています。

私たちの安全な食や健康なくらしも、そもそも健全な生態系があってこそ。

早急なネオニコチノイド規制、そして根本的な解決策として合成化学農薬に頼る今の農業から生態系に調和した農業への転換が必要です。

 

これまで、市民は20000を超える反対署名(2014年からの合計)や2000近いパブリックコメントを提出してきましたが、健康や食の安全責任のある厚生労働省も、農林水産省も、こうした声に一切答えようとしていません。ならば、国民をまもる法律をつくる責務のある国会議員に、早急に対策が始まるよう「子ども・ミツバチ保護法を求める署名」で一緒はたらきかけませんか?

子ども・ミツバチ保護法を求める署名】では、ミツバチの大量死や、子どもの健康への悪影響につながる可能性のあるネオニコチノイド系などの農薬の規制を求めています。グリーンピースは、ミツバチの恵みに支えられ、安全な食で子どもを健康に育める環境を目指しています。そのためには、大量の合成化学農薬に頼る今日の農業から、生態系に調和した農業へと転換することこそが、根本的なただ一つの解決の道です。

今、あなたの、ちからが必要です。

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注1)ヨーロッパのアカデミー科学諮問会議http://www.easac.eu/home/reports-and-statements/detail-view/article/ecosystem-se.html
注2)国際自然保護連合に助言する科学者グループ「浸透性農薬タスクフォース」の報告書要約が日本語になっていますが、まもなく全編の日本語版が出るそうです。