(写真:川内原発をバックに)© Masaya Noda / Greenpeace

みなさんこんにちは。マモさんことエネルギー担当関口です。

お待たせしました!今日は久々に「初めてでもわかるマモさんの解説シリーズ」です!

(写真:マニラ出張を機にヒゲ生やしました。どうですか?)

巨大地震がいつ起こっても不思議でない と言われている日本。巨大地震が起こった時、原発は大丈夫なのか? 気になって夜も眠れない感じの私です。

最近あった2つの裁判の結果があまりにも違いすぎて、戸惑ってもいる私です。

 

福井県高浜原発の裁判では、原発の地震に対する規制基準は信頼できないし、これでは安全は確保できません!と結論を出しました。

一方、鹿児島県川内原発の裁判では、原発の耐震安全性については、最新の科学的知見に照らしてみても、十分納得行くものだ!というのです。

(写真:高浜原発再稼働差し止め決定の歴史的瞬間)

180° 真逆のような裁判の決定が続き、ホントはどうなんだろう?と思っているヒト、多いのではないでしょうか?

かくいう私も・・・ ということで、勉強してまいりました!

て どこで?

時は4月27日、場所は東京・外国人記者クラブで行われたある記者会見。会見にのぞんだのは、地震学者で福島第一原発の事故調査委員会メンバーでもあった石橋克彦教授と、原子力エンジニアとして原発に勤務、原発メーカーでマネージャ職まで務めた経歴を持つ佐藤 暁さん。

地震学と原発技術という、それぞれの専門分野から、原発の基準地震動の問題について解説してくださいました。

 
(写真:元原子力エンジニア、現原子力コンサルタントの佐藤 暁氏)

まずは佐藤さん。

「海外での取り組み例と比べても、九州電力の川内原発再稼動申請の内容は不十分。海外の原発の方がよっぽどいろんな要素を考慮に入れて高い耐震基準を設定しようとしています。(あくまで日本と比べてですが)」

え!? またもや日本基準<国際基準ですか? と思ってしまいます。(この点についてはこちらもご参考に)

続けて

「例えば、原発の安全に大きな影響を与える種類の揺れをもたらす恐れがある地震源を、検討対象から外してしまっています。過去の原発事故では、このような地震が大きな被害を実際にあたえているのです。」

なぬ!? なんで影響をおよぼす可能性がある震源を検討しないのでしょうか? 可能性のあるものは全部検討材料に加えてもらわなきゃ安心できないでしょう。

「これ(低振動数・長周期領域の地震という)が検討から外れることで、配管やクレーン、タービンとか、いろんな機器に大きな損害が出る恐れが出てきます。作業のタイミングによっては、本当に危険な状況が起きることだってあり得るんですよ。」

あー。それは本当にシビアな目で見て安全性の検証をしてほしいです!

 

(写真:地震学者、石橋克彦教授)

続いて石橋さん。

「原子力規制委員会は、川内原発の耐震安全性評価を決められた手続きに沿ってやっていません。自分たちで法的な規制条件を破っている。ハッキリ言えば法令違反です!」

なんと!? こりゃ大問題のようです。どういうこと?

「本当は、耐震設計のために地震動の基準を決めるには、色んな震源(いわゆる○○プレートなど)の影響を十分に検証しなくちゃならない。」

そりゃそうですね!

「川内原発のある地域に大きな影響がありそうな地震には、(1)内陸地殻内地震、(2)プレート間地震、(3)海洋プレート内地震という、3つがあるんですが、九州電力では、(1)以外は、そんなに大きな地震にならないから検討する対象からはずしていい。と 言っているのです。規制委員会もそれを承認している。」

でも、東日本大震災の時に、東北沖であんな大きな地震が起きるなんて、専門家でも想像もしてなかったそうじゃないですか! そんな大きな地震にならないなんて、誰が言えるんでしょう?

さらにさらに怖い話が!

「(2)プレート間地震によって起きると言われている有名な地震は、南海トラフ地震です。内閣府の想定ではマグニチュード9とも言われている。可能性としては、川内原発で想定している地震規模よりも遥かに大きい地震が原発を襲うことも否定できない。こういった地震が検討から外されているんです。」

あーもう。地震学者の石橋さんがこう言うのを聞くと、やはり納得の行くものとは言いがたく・・・最新の科学的知見が反映されているとは言えない感じプンプンです。

 

(写真:外国人記者クラブでの記者会見の様子)  

今回の記者会見は外国人記者クラブというところで、海外メディアの方々が多く来ていました。プレゼン後の質問では、「何でこういう状況で申請が承認されてしまうのか理解しがたい!何でですか?」という感じの質問されていました。海外の目から見たらそう思うでしょう。

石橋さんへの質問に、こんなのがありました。

「あなたは、2007年の柏崎刈羽原発以降、原発の耐震安全性の問題について声を上げ続けています。そして、その声はまだ聞かれていないように感じる。なぜ、それでもあなたは続けるのですか?」

石橋さんはこう答えました。

「私が声を上げ続ける中で、東日本大震災が起こり、福島第一事故が起こった。非常に残念でなりませんでした。私は無念さを感じ、ひどく落ち込みました。だからこそ、もう二度と、それを繰り返したくないのです。もう二度と、自分自身がまたもう一度失望するのはいやなのです。」

「私には、大自然の神様が我々日本人に対して、地震と原発の問題について段階的に警告を発しているように思えてならないのです。基準地震動を超えた地震に見舞われつつ大事故に至らなかった2003年の事例、そして大きな事故に至った2007年の柏崎刈羽原発、そして2011年。自然はまだそれでもどこか手加減してくれている。段階的に進む警告に耳を開かないならば、もっとひどいことが起こりうる。そう思うのです。私は、日本の人たちにもっと自然の声に耳を傾けてほしい。そう思って活動しているのです。」

 

「川内原発に大きく影響するほどの大規模な地震が起きる可能性は低い」として検証する対象を限定する九州電力と、

「大きな被害をもたらす地震が起きる可能性がある。起こらないという予測はできない」とする地震学者と技術者。

 

あなたは、どちらの声により耳を傾けますか?

 

4月28日、グリーンピースではこの記者会見に登壇した原子力コンサルタント、佐藤 暁さんに委託して

レポート『川内原発における耐震性評価の問題:国際基準と日本基準』

を発表しました。かなり専門的な内容ですが、内容を平易にまとめた要旨も収録されています。ご興味のあるかたはぜひこちらからご覧ください。

*英語版はこちら

 

(写真:佐藤氏著 グリーンピース委託レポート)

専門家の話を聞いてみても、やっぱりグリーンピースは再稼働にNo!

ぜひ、あなたもご一緒に声をあげてください。「とめよう再稼動」オンライン署名はこちらから。すでに署名にご参加の方も、ぜひ拡散をおねがいします。

グリーンピース・ジャパン

ライターについて

グリーンピース・ジャパン
グリーンピースは、環境保護と平和を願う市民の立場で活動する国際環境NGOです。世界中の300万人以上の人々からの寄付に支えられ、企業や政府、一般の人々により良い代替策を求める活動を行っています。ぜひ私たちと一緒に、行動してください。

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