グリーンピース、オバマ大統領の「核兵器のない世界」 ダブルスタンダードを批判~オバマ氏の広島訪問を受けて~

国際環境NGOグリーンピースは、本日26日、オバマ米大統領が27日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)終了後に広島の平和記念公園を訪問することを受けて、在任中のアメリカ大統領が初めて広島を訪れる歴史的な訪問として歓迎します。しかしながら、その一方で核保有を拡大するオバマ大統領の姿勢は“ダブルスタンダード”であると批判し、米国が「核兵器のない世界」実現のために大胆に取り組むことを求めます。

グリーンピース・ジャパン プログラム部副部長の高田久代は「オバマ大統領が広島を訪問し、71年前に起きた悲惨な原爆の実相を理解することを期待します。しかし、核兵器廃絶に向けた米国の大胆な取り組みなしには今回の訪問は意味がありません。米国は世界平和の構築を望むのであれば『核の遺産』を訪れるだけでは不十分です。オバマ政権は核保有能力拡大のために1兆ドルの予算をアメリカ連邦議会に提出する一方で、核不拡散のための資金を削減しています。核削減についてのノーベル平和賞受賞者としては、あるまじき姿勢です」と批判しました(注1)。

さらに米国は、沖縄の米軍基地問題にも言及する必要があります。沖縄に駐軍する海兵隊員や軍属による重大犯罪は後を絶たず、沖縄の人々との関係に深刻なひずみをもたらしています。

高田は「沖縄の米軍基地は過去の戦争の遺物です。8割の沖縄の人々の反対を無視して、辺野古に新たに軍事基地が建設されることは許されません。建設予定地の辺野古・大浦湾はジュゴンやウミガメを含む絶滅危惧種262種の棲みかであり、基地ではなく海洋保護区として未来に残すべきです。沖縄にさらなる軍事基地を建設することは東アジアにおける平和な未来をもたらしません。日米両政府は沖縄の人々の声を聞くべきです。そして新基地計画の中止を求めます」と訴えました。

米国科学者連盟(Federation of American Scientists)によると、米国はいまだに使用可能な核弾頭4,700発を保有しています(注2)。核軍縮を目的とした核拡散防止条約発効から40年以上経っても、米国、そして核兵器保有国は核兵器の備蓄に固執しています。

グリーンピースは核実験反対から1971年に誕生しました。核拡散防止は緊急課題であり、核兵器の廃絶なしに安定した社会を築くことはできません。