国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、2019年11月5日、報告書『未来を捨てるまやかしの解決策〜企業のプラスチック汚染問題への対応』(日本語版)を発表しました。多国籍企業がプラスチック汚染危機への対応策とする紙製品やバイオプラスチックへの切り替え、ケミカルリサイクルの採用といった「まやかしの解決策」について、もっと懐疑的になるよう消費者に警告しています。 こういった対応策は、真の解決策である、リユース(再利用)とリフィル(詰め替え)の優先から私たちの注意を逸らしてしまいます。

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報告書の注目ポイント

まやかしの解決策」

  • 紙への切り替え:限られた森林資源にすでに与えている環境的な影響をさらに悪化させる可能性がある。
  • バイオプラスチックへの切り替え:コンポスト化(堆肥化)可能、生分解性、または植物などから作られているという主張は、環境に良いまたはプラスチック汚染を減らすという意味ではなく、森林減少や生息地破壊、そして新たなマイクロプラスチック汚染などに繋がる恐れがある。
  • リサイクルシステム:バージンプラスチックの需要を縮小するのに十分な量の回収、あるいは適切な廃棄の方法、いずれについても実現できておらず、大量に発生する廃プラスチックには対応できていない。「ケミカルリサイクル」技術は廃プラスチック需要を「固定化」するという危険性がある。

「大企業が優先すべきこと」

  • 削減を優先:使い捨て包装で販売される製品数の削減
  • 革新的な代替配送販売システムへの投資:リユースやリフィルができる、使い捨てに依存しないシステムに注力した解決策への投資
  • 透明性の確保:使い捨てプラスチックを含む製品数、組成、重量などプラスチックの使用状況を追跡し、毎年開示する

2050年までに、自然環境に120億トンの廃プラスチックが排出されると推定されていて、企業はプラスチックの脅威を認識しているはずです。それにもかかわらず、企業は紛らわしいマーケティング用語、持続可能という言葉、業界提携などを隠れみのにして、商品包装の真の影響を曖昧にし、消費者がプラスチックは改良されるというまやかしの約束を信じるよう仕向けています。


グリーンピースは、企業が地球環境の別の場所に害を与えるような一時しのぎの解決案に安易に手を出さないよう求めます。プラスチック汚染危機を解決するために、企業は製品がどのように消費者のもとに届けられるのかを再考し、再利用や詰め替え可能な配送(販売)システムに大幅な投資を行うよう働きかけています。

目次
Section 1 はじめに
Section 2 「紙製」に隠された問題
Section 3 誤った印象を与える「バイオプラスチック」― 最新の「グリーンウォッシング」
Section 4 プラスチックに運命を左右される現状のリサイクルシステム
Section 5 ケミカルリサイクル技術 ―「解決策」という名の有害技術
Section 6 結論:リユース(再利用)革命が必要