本報告書は、日本の文化的・社会的・経済的な状況を背景とし、特に弱い立場に置かれる女性や子どもに東京電力福島第一原発事故が与えた影響について、既存の研究からの視点と理論を紹介するものです。

東京電力福島第一原発事故からこれまで6年間の日本政府の対応が、数多くの人権侵害を引き起こし、特に社会的弱者であり、かつ放射能の影響をより強く受ける女性と子どもに深刻な被害を及ぼしたと指摘しています。

報告書の要旨

• 原発事故後、ドメスティック・バイオレンスと性的暴力の増加、正式な支援ネットワークの不足、避難所の管理と復興計画の策定に意見が反映されないこと、婚姻家庭では概して男性世帯主に対して賠償金が支給されること、パートナーとの別居と離婚、放射能という汚名による結婚差別などにより、女性は男性よりも著しく大きい事故の社会的、経済的、心理的、身体的代償を背負ってきた。

• 原爆の被爆者に関する疫学的研究などで、放射線被ばくによる健康リスクが、女性、乳幼児、子ども、胎児において、成人男性よりも高いことが確認されている。

• 正確で包括的な情報の入手についての女性と子どもの権利は、事故以降、繰り返し侵害されてきた。これは、日本が批准した数々の国際人権条約で規定された人権の侵害にあたる。

• 女性たちは沈黙する被害者にとどまることなく、大きな苦難の中でも、日本政府や東京電力への法的異議申し立て、原発再稼動反対の運動への参加、情報共有の仕組み構築、市民放射能測定所の設置などの活動を率いてきた。

>日本語版はこちらから(全54ページ)

>English version here(54 pages in total)

 

被ばくや避難生活を強いるような原発事故が二度と起きないよう、
起こさないようにするために、政府や原発を使う電力会社が
目を向けない現実を、国内外に伝え続けていくことが必要です。

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