化石燃料産業を擁護しようとする政治家(わざわざいう必要はないと思いますが、トランプ大統領とか…)がいる一方、世界中では静かなる革命が起きています。
2003年以降、それまで世界の主要なエネルギー源だった石炭にさよならする人々がこれまでになく増えています!発電などのために石炭を燃やすことは、人間の生活の中で二酸化炭素量を排出する最大の原因です。また、石炭を採掘することは温室効果ガスであるメタンを地上へ排出することにつながります。
ではなぜ、エネルギー業界を牛耳ってきた石炭が未来のエネルギーとなり得ないのでしょう? グリーンピースとCoalSwarm*がおこなった調査にその答えがあります。
*CoalSwarm: 米国で150以上の提案された石炭火力発電所を文書化するために、ジャーナリストと活動家による非公式な取り組みとして、2007年に始まった団体(公式ホームページより)。

1. 完全に石炭火力発電をやめる政府の数、これまでにない勢いで増加中!

2030年までに石炭火力発電を廃止している、もしくはそれまでに具体的な廃止の目標を立てると見込まれる国や地域、都市は23にのぼります。2014年以前では、完全な脱石炭を決める地域はありませんでした。それを考えると、2017年現在までの3年間で大きな変化があったことがよくわかりますよね。

「石炭は風と共に去りぬ」と掲げ、石炭積載船を止めようとするグリーンピースのアクション 2016年 オランダ  「石炭は風と共に去りぬ」と掲げ、石炭積載船を止めようとするグリーンピースのアクション 2016年 オランダ

2. 中国の主要都市とインドが脱石炭へ方向転換!

G7諸国のうち3カ国が脱石炭の方向を決めました。また、イタリアも2025年までに脱石炭に移行することを発表しました*1。

 

3. 石炭ビジネス事業者の25%が、事業撤退を決定!

こういった国が脱石炭をするということは370近くの石炭火力発電所が閉鎖、もしくは建設すらされないことを意味します。これは、イギリス6つ分の電力量、そして廃炉になったり計画中止となった発電所の資産は50兆米ドルに相当します。

4. アメリカでは今年中に14の石炭火力発電所が閉鎖

これは、トランプ大統領の石炭産業をまもろうとする意図に関わらず閉鎖されます。
ホワイトハウス前でのKeep it in the Ground(石炭は埋まったままに)アクション 2016年 ワシントンD.C.

ホワイトハウス前でのKeep it in the Ground(石炭は埋まったままに)アクション 2016年 ワシントンD.C. 

5. 石炭火力を止めるために行動する市民の数、これまでにない勢いで増加中!

イギリス・キングスノースのデモ、アメリカ国内のBeyond Coal(「Let’s Turn, Not burn−燃やすのではなく自然エネルギーを」という標語がすてき!)の運動から、北京のアーティスト、インド・デリーの環境アクティビストまで、世界中の人々が、汚染を広げる石炭から、クリーンで再生可能で手頃な価格の自然エネルギーを求めて行動しています。

それに比べて、日本はというと…

日本は2017年現在、40基以上の石炭火力発電所の新規建設計画がすすんでいます*2。

しかも、インドネシアをはじめとする東南アジア諸国に石炭火力発電を輸出しています。さらに、日本の政府が100%出資している金融機関JBIC(国際協力銀行)は、2003年から2016年までに東南アジア地域(主にベトナム、インド、インドネシアなどの)への石炭火力事業24件に出資をしています*3。

脱石炭の世界のトレンドに対して、まさに時代に逆行している状況です。

でも、人々が声を上げているという点では日本も負けてはいません。

千葉県や神奈川県などの東京湾沿岸地域や仙台で市民たちが立ち上がり、各地域で活動をしています*4。
袖ヶ浦の新しい石炭火力発電計画に反対する住民みなさんと、住民の呼びかけに賛同して集まった人々

 千葉県・袖ヶ浦の新しい石炭火力発電計画に反対する住民みなさんと、住民の呼びかけに賛同して集まった人々

そう、今こそ化石燃料の時代に終止符を打ち、そこで働く人たちや地域コミュニティが自然エネルギーに転換できるよう、一緒に行動しましょう。

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*1:http://af.reuters.com/article/commoditiesNews/idAFS8N1KP009

*2:http://sekitan.jp/plant-map/
*3:http://sekitan.jp/jbic/finance
*4:http://sekitan.jp/local-movement/
ブログ ラウリ・ミルヴィエルタ(グリーンピース東アジアエネルギーアナリスト)
*日本に関する部分は、グリーンピース・ジャパンが追記しました。

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