写真:東電福島第一原発

 

国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区、以下グリーンピース)は、本日7月23日、東京電力福島第一原発の敷地内にたまる汚染水についてオンライン署名キャンペーン『放射能汚染水を海洋放出しないで』を開始しました(注1)。

 

■100万トンの汚染水

東京電力福島第一原発の敷地内には、放射能で汚染された水(汚染水)がたまり続けており、核種除去設備(ALPS)で処理した水など合計で100万トンを超えています。ALPSによる処理では、トリチウムは取り除けませんが、東電は62種類の放射性核種を基準値以下に抑えると説明していました。しかし、2018年9月、東電はALPSで処理した水のうち、84%が基準を満たしていないと明らかにしました。

 

■狙われる海洋放出

国は、これらの汚染水について、比較的コストが抑えられる海洋への放出を有力な選択肢として検討してきました。しかし、2018年8月に開かれた公聴会(注2)では、海洋放出に対して反対意見が多数を占めました。処理水が基準値以上の放射能を含んでいること、それを東電が市民にわかりやすい形で情報公開してこなかったことなども問題視されました。10月上旬からのIMO(国際海事機関)会合での議論も注目されます。

 

グリーンピース・ジャパンのエネルギー問題担当、鈴木かずえは「海洋への放出は、海洋環境を汚染し、漁業者にも大きな打撃を与えます。すでに事故により甚大な被害を受けている被災者の方々に、汚染水の海洋放出によって追い打ちをかけるようなことがあってはなりません。海洋放出はせず、陸上で保管し、平行してトリチウム分離技術を開発しなければなりません。米国などにはトリチウム分離施設が存在します。すでに実用されているこれらの技術を参考に、日本でも分離技術を開発すべきです」と述べました。

 

注1)オンライン署名キャンペーン「放射能汚染水を海洋放出しないで

東電福島第一原発の放射能汚染水について、以下を汚染水処理対策委員会委員長に求める署名。1.放射能汚染水の意図的な放出は行わないこと。2. 放射能汚染水は長期保管とし、並行してトリチウム分離技術を開発適用すること。

注2)多核種除去設備等処理水の取扱いに係る説明・公聴会

 

参考:ブログ「東電が汚染水を海に流してはいけない4つの理由」