スマホを見るたび新型コロナウイルスの話であふれるいま、ちょっとでも明るいニュースを聞きたいと思うのは私だけではないはずです。

今週、私たちが待ちに待っていた明るいニュースが舞い込んできました。みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)*1が、新しい石炭火力発電のプロジェクトに融資しないこと、そして森林破壊ゼロ方針*2を適用すると決めたのです!

大量のCO2を排出する石炭火力発電は、気候変動の最大の要因の一つ。そして、森林が炭素を豊富に大地に溜め込んでいるので、森林を破壊することも温室効果ガス放出の原因となります。みずほFGの発表は、気候変動の影響から私たちの暮らしを守るために、そして森で暮らす動物たちを守るめにも、とても重要なことです。

そして、グローバル気候マーチに参加していた全国のみなさんやNGOにとって、「私たちの声が届いた…!涙」と思えるうれしいニュースですよね!

*1 https://www.mizuho-fg.co.jp/release/pdf/20200415release_jp.pdf
*2 NDPE方針: No Deforestation森林破壊ゼロ, No Peat泥炭地開発ゼロ and No Exploitation搾取ゼロ方針 http://japan.ran.org/?p=1604

どうして銀行の融資が大切なの?

ここで、銀行の役割を整理してみましょう。

みなさんご存知のように、銀行は私たちの社会でとても重要な役割を果たしています。お金を預かったり、ローンを組んだりして私たちの日常生活を支えるだけでなく、企業の事業にも投融資をしています。その中には残念ながら、地球環境に大きなダメージを与えるものもあります。

グリーンピースでは特に、石炭火力発電から自然エネルギーへ投資をシフトすることを求めて活動してきました。

日本の3つのメガバンクであるみずほフィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)は、世界で、石炭産業に関連する企業への融資が世界トップ3です。CO2の排出を減らして気候変動を抑えるには、石炭などの化石燃料から、自然エネルギーへ移行することが欠かせません。しかし、銀行が化石燃料事業に資金提供を続ける限り、その移行の実現は困難です。

7年前から加速した銀行の”脱石炭”

世界的に見れば、みずほFGの決定は、特に新しいことではありません。7年前の2013年に、世界銀行が石炭事業への投融資を止めることを決めた時からこのトレンドが加速しました。その後、100以上の金融機関が、気候変動を悪化させる石炭関連事業や企業への投融資をより厳しく制限するようになりました。

この動きには、NGOや市民の声が大きな役割を果たしています。

グローバル気候マーチの学生たちも、みずほ銀行の前で、気候変動を止めるように直接メッセージを発信していました。

グリーンピースも、世界中のオフィスが協力して、銀行などの金融機関が化石燃料事業に投融資するのを止めるように働きかけることで、”脱石炭”の流れに貢献してきました。

銀行と話し合いを重ねたり、銀行の株主総会に参加したり、銀行へ影響力を持つ大きな金融機関へ働きかけたり、銀行の石炭への投融資について調査して報告書を発表しました。

だから、私たちにとってもとびきりうれしいニュースなのです。

大きな前進…にも抜け穴がある?

みずほFGの新しい方針は、大きな前進です。しかし、まだ弱点があります。

みずほ銀行は、新しい石炭事業への投融資を止めることを約束していますが、この方針には例外がある可能性があり、一定の条件のもとで石炭事業に関連している企業への投融資を続ける可能性もあります。

そして、みずほFGが新しい方針を発表してからわずか1日後、三井住友FGも、石炭に関する新しい方針を発表しました。

しかし、残念ながらこちらは、みずほFGの方針にも劣るものでした。

新規の石炭火力発電所への支援は原則行わないとしているものの、超々臨界圧(USC)技術といわれる石炭火力発電や、二酸化炭素回収・貯蔵(CCS)やカーボンリサイクルに資する技術開発などの複数の例外を示しており、 既存の事業も除外されます。つまり、新規の石炭火力発電事業に、今後も資金を提供する余地が残されていることになります。

みずほFGや三井住友FG、そして三菱UFJフィナンシャルグループの方針についての議論はまだ続きます。

今年の夏のみずほ銀行の株主総会では、日本初の気候変動に関する株主提案が提出されます。

そして、三菱UFJフィナンシャルグループが動き出すかにも注目です。

メガバンクがお互いを触発しあって、さらに先進的な方針を出していくことで、日本や海外で、地球環境を守る経済が発展していくことを期待したいですね。

これから私たちにできることは?

みずほFGが新しい石炭事業への投資をやめたことは、私たちが声を上げることで変化を起こせるという証明でもあります。これから私たちができることをいくつかご紹介します。

みずほFGに感謝を伝える:気候変動を止めるために行動してくれたことに感謝を伝え、これからさらに積極的に行動することを期待していると、Twitterで伝えましょう

三井住友と三菱UFJにもメッセージを送る:三井住友三菱UFJのTwitterから、みずほFGに続くように伝えてみましょう

(銀行の株を持っていたら)株主総会に参加する:グリーンピース・ジャパンも最小限の株を保有しているので、参加します。日にちと開催方法はまだ未定ですが、これから一緒に準備しませんか?

株を買う:今後銀行の方針に影響力を持つために、これから株を買うこともできます。株主になると、化石燃料事業への投資を止めることを求めた株主提案などに投票することができます

銀行を変える:石炭事業に投資していない銀行にお金を預けてみませんか?銀行を変えるときは、その銀行になぜ変えるのかを伝えることで、より大きな影響を与えることができます