何が起こったのか?

スリランカは史上最悪の環境災害に直面しています。首都コロンボ近郊の海岸に、何トンものプラスチックペレットが流れ着き、何キロも続く自然のままのビーチを破壊し、海の生きものたちを脅かしています。

このペレットは、レンズ豆ほどの大きさのマイクロプラスチックで、使い捨てのプラスチックパッケージを製造する際の原材料として使用されるものです。当局は、このペレットの毒性がどの程度であるかはまだ不明であるため、触れないよう人々に警告しています。

5月20日、シンガポール籍のコンテナ船「X-Press Pearl」がインドからシンガポールへ向かう途中、火災が発生しました。コンテナから硝酸が漏れ、それが貨物の化学反応を引き起こしたことが原因と考えられています。最終的に、船は全損となりました。

5月30日までに火災はほぼ収束しましたが、無数のプラスチックペレットが詰まったコンテナ8本が海中に落下し、ペレットが海流に乗って拡散しました。

コロンボの北に位置するサラックワビーチに打ち上げられた無数のプラスチックペレットの清掃作業  © Tashiya de Mel / Greenpeace

なぜ問題なのか?

なぜ、新しいプラスチックのペレットが、何百トンも世界の海を渡っていくのでしょうか?

プラスチックが大量生産されるようになってから70年足らずの間に、プラスチックは地球上のあらゆる場所に入り込み、環境や気候への影響がいたるところで見られるようになりました。

兵士やボランティアがスリランカの海岸で小さなマイクロプラスチックを取り除くために疲れを知らずに働いている映像は、私たちと地球の両方をむしばむ大量生産・大量消費のシステムの破綻を、象徴しているかのようです。

天然資源は、自然や人間の健康よりも、利益を最大化するために採取されます。

化石燃料企業と消費財企業は、利益を上げるために、自然環境や人体への影響を無視するかのように、使い捨ての経済モデルを推進しています。

スリランカは、史上最悪の環境災害に直面しています。首都近くの海岸に大量のプラスチック片が流れ着き、何キロも続く自然のままのビーチが破壊され、海の生きものたちが脅かされているます。© Tashiya de Mel / Greenpeace

この事故から何が言えるのか?

大手ブランドがプラスチックの生産量を増やし続けるということは、世界中のコミュニティの健康や生物多様性を破壊し、気候変動を加速させ続けることも意味しています。

時計の針は刻々と進んでいます。

「リサイクル」によるまやかしや、環境に良いことをしているように見せかけて消費を促進するグリーンウォッシュでは、環境危機に立ち向かうことは到底不可能です。

そして、今回のような環境災害に関しては、紛失したコンテナやその内容物、引き起こされた悪影響について、運送会社も責任を負う必要があります。プラスチックを環境危険物に分類し、IMDGコード(包装された危険物の海上輸送に関する国際コード)を割り当てて、そのように取り扱うことが必要です。

使い捨てプラスチックに依存しない社会へ

プラスチックは、海や廃棄物の問題だけではありません。気候や健康、社会的正義の問題でもあります。

コカ・コーラ、ネスレ、ペプシなど、使い捨てプラスチックに依存している大手消費財ブランドは、ビジネスモデルを見直し、環境に優しく、公正な未来を作るために、変化を求められています。大手ブランドは、使い捨てプラスチックから完全に脱却し、製品を届けるために持続可能な再利用(リユース)・詰め替え(リフィル)の仕組みを、世界規模で導入することが必要です。