自動車メーカーなどの運輸セクターは、全世界のCO2排出量の約16%を占めています。これは、ひとつのセクターとしては非常に大きな割合を占めており、一刻も早くカーボンゼロを達成するため、業界をあげての環境対策が必要です。

実際に今、自動車メーカーはどれほどの環境対策を行っているのでしょうか? グリーンピースは、日本のメーカー2社を含む、世界で最も売れている4つのブランド:トヨタ、ホンダ、ヒュンダイ・キア、フォルクスワーゲンについて、主要な市場(中国、欧州、米国)のCO2排出規制にどのように対応しているかを調べました。
ジャカルタのラッシュ時の交通渋滞

自動車メーカーなどの運輸セクターは、全世界のCO2排出量の約16%を占めています。これは、ひとつのセクターとしては非常に大きな割合を占めており、一刻も早くカーボンゼロを達成するため、業界をあげての環境対策が必要です。

実際に今、自動車メーカーはどれほどの環境対策を行っているのでしょうか? グリーンピースは、日本のメーカー2社を含む、世界で最も売れている4つのブランド:トヨタ、ホンダ、ヒュンダイ・キア、フォルクスワーゲンについて、主要な市場(中国、欧州、米国)のCO2排出規制にどのように対応しているかを調べました。

調査対象とした期間は、地域別にそれぞれ、中国(2016年〜2020年)、欧州(2016年〜2019年)、米国(2017年〜2019年)です。

日本では夏の大雨・洪水の災害化が当たり前になりつつあります。

調査でわかったダブルスタンダードの実態

大手4社は、排出ルールの最も厳しい欧州では基準をクリアしていたものの、規制の弱い中国では違反率が高く、ダブルスタンダード(二重基準)が存在することがわかりました。

トヨタ自動車は、2017年から2019年にかけて、中国の燃費基準に違反しましたが、同期間に欧州と米国では基準を満たしていました。

中国の排出基準が欧州ほど厳しくないことを考慮しても、2017年から2019年にかけて、中国の主要合弁会社のトヨタ車の年間CO2排出量は、欧州のトヨタ車の排出量よりも平均して30%以上多いこともわかりました。

主要メーカーの環境への取り組みは、全市場でCO2を削減するための最善策を尽くすよりも、各国の規制に適合することを優先し、場合によっては基準を十分に満たしていませんでした。

なぜ気候対策に地域差があるの?

2016年以降、自動車メーカーの合弁会社のほとんどが、中国の燃費基準を満たす技術を持ち、欧州ではそれを使用していたにもかかわらず、中国では基準違反をしてきました。より基準の厳しい欧州や米国では基準をクリアできているのに、なぜ中国ではできないのでしょうか。

背景としては、中国では基準違反に対する金銭的な罰則がないこと、また、SUVなどの燃費効率の悪い大型車が人気ということが影響していると考えられます。しかし、気候変動を止めるためには、環境基準の厳しさにかかわらず、すべての市場で最高の基準と技術を使用し、CO2を大幅に減らしていく対策が求められています。

日本でも若い世代が気候変動ムーブメントの中心に。

自動車メーカーに伝えよう

私たちの日々の暮らしを支えている車。これからも使い続けるためには、自動車メーカーには世界中で気候対策を加速してもらう必要があります。

カーボンゼロ達成に向けた自動車メーカーへの提案:

  • すべての市場の環境規制を満たし、欧州以外の市場でもCO2削減を強化すること
  • 2030年までにガソリン車を段階的に廃止するとともに、世界の市場で最高の低燃費技術を採用すること
  • 自然エネルギーのインフラ整備と調達を行うとともに、電気自動車のバッテリーをリサイクル・リユースして、環境への影響を最小限に抑えること

皆さんも#DriveChangeキャンペーンに参加し、自動車メーカーに気候対策の強化を呼びかけませんか?

※ 調査の詳細は下記の資料をご参照ください。

報告書『Countdown to Zero』(英語版)

報告書の要約(日本語版)