こんにちは、グリーンピース・ジャパン、食と農業担当の石原です。
オーガニック食品は、体が農薬にさらされることを避けるのに有効なのでしょうか?
食や健康に関心のある人なら誰でも知りたいこの疑問を科学的に探るため、国内の2組の家族に協力してもらって、調査しました。
今年の夏、二家族にオーガニック食品のみの食事を10日間試してもらい、普通の食事と比べて尿中の農薬の数値に差が出るか専門機関が分析を行いました。さて、結果に差は出るでしょうか?

10日間オーガニック食品だけの生活にチャンレジ

今回のプロジェクトに参加したのは、ひるかわさん家族となかさん家族。どちらも普段はオーガニック食品は食べていません。

食事をオーガニックにしたことで、ふた組の家族にどんな変化があったでしょうか?10日間オーガニック生活を3つのポイントを紹介します。

1.農薬の数値が減った!

10日間オーガニックだけを食べたあとに採取した尿サンプルでは、農薬や農薬の代謝物の数値が大きく減っていました。

特に、子どもには大きな変化がありました。
たとえば神経系などに影響のある有機リン系農薬は、オーガニックに切り替えたことで96.53μg/Lから10.81μg/Lに、発がん性などが指摘されているグリホサートは、1.58μg/Lから調べきれないほど低い数値に減っています。

委託先の研究所でサンプルの分析を担当したトーマス・ゲーエン博士も「オーガニック食品へ食生活を切り替えることは、農薬に身体がさらされるリスクを避けるのに有効です」と述べています。
特に発達段階にある子どもは、農薬など有害化学物質の影響を受けやすいと言われています。
できるだけオーガニック食品をとることで、体が農薬にさらされるリスクを避けられる、ということが今回の調査結果からわかりました。

2.オーガニックは美味しい!楽しい!

どちらの家族もオーガニック食品は初めてでしたが、食べてみると味が濃くて美味しいと伝えてくれました。
家族からは「(オーガニックの野菜は)すごくおいしくて、味が濃い。例えば甘いものはすごく甘く、いつものものより甘く感じるし、しょうがだったら辛味とかがすごく強くて、何を食べても味が濃くておいしかった」という感想も。

またオーガニックに切り替えても食生活はあまり不自由にはならなかったようです。
子どもの1人に、毎日がオーガニック生活になって不安なことは?と質問したところ、「好きなカレーが食べられなくなること」と言っていました。

しかし、オーガニックでもカレー粉があることが分かり、家族は野菜からお米まですべてオーガニックのカレーを料理することができました。


(実際に調査に参加した家族がつくったオーガニックカレー)

他にもおそばやグラタンなど、オーガニックの食材でも様々な料理ができて、各家族とも毎日とても楽しそうに食事をしていました。
さらに、オーガニックに変えたことで「料理が楽しくなった」「食材の変化で家族の会話が増えた」といったポジティブな変化がありました。
例えば、家族で餃子を作ろうとしたときに、市販でオーガニックの餃子の皮がありませんでした。そこで、皮から餃子を作ることにしたら、とても楽しかったと伝えてくれました。

このように、家族が食事をオーガニックに切り替えることで実感した良さは、農薬数値の変化だけではありませんでした。

3.「オーガニック生活、できるところから始めたい」

オーガニック生活終盤に、調査に参加した家族にこれからの食生活について質問したところ、こんな感想をくれました。
「すぐにすべて切り替えることができたら良いなとは思いますが、やっぱりすぐには変えられないので、美味しかった枝豆とか、トマトとか、少しずつオーガニックの食材を買いたいなと思います」
確かに、今回は農薬の数値を調べる特別な調査なので、普段の生活で私たち消費者が、全ての食材をいきなりオーガニックに変えることは難しいかもしれません。

しかし、まずは手軽にできるところからオーガニック食品を取り入れ始めてみてはどうでしょうか?
例えば、栄養素がたっぷりで、お弁当にも彩りを加えてくれる、ほうれん草。
実は、2015年に政府によってネオニコチノイド系農薬の残留農薬基準が大幅に緩和され、日本では幼児が40g食べるだけで急性中毒を起こす恐れがあるとされるレベルです。
ほうれん草など一部の商品からオーガニックを取り入れてみてはどうでしょうか?

Yearly Harvest at Ecological Rice Farm in Japan. © Viktor Cibulka / Greenpeace
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