国際環境NGOグリーンピース・インターナショナル(本部)は本日2月2日、鹿児島県トカラ列島の宝島などの海に油のようなものが漂流しているという報道(注1)をうけ、下記の声明を発表しました。

グリーンピース・インターナショナル サイエンスユニットのポール・ジョンストン
「英国立海洋学センターのシミュレーションモデル(注2)で、宝島はよりリスクの高い地域と予想されており、現時点で宝島付近の海に漂流している油は、報道資料を見る限り、沈没した石油タンカー『Sanchi』による可能性が高いです。それはおそらく、海水と混ざり乳化した燃料油、もしくは、コンデンセートに含まれる重い残留物と思われます。しかし、これが石油タンカー『Sanchi』のものかどうか証明するには、”指紋認証”のように、タンカー沈没地点で浮遊している燃料油の採取サンプルと照合分析をしない限り、確かめるのは不可能です。海洋哺乳類やウミドリは、漂流している油に曝露するリスクが高く、魚も汚染される可能性があります。

今後、事故の規模やその影響を測るために、視覚的かつ科学的な監視体制を強化する必要があります。そして、流出油が陸地に漂着することを防ぐために、機械による回収法をとることが最優先です。流出油に化学分散剤を用いることは最後の手段で、避けなければなりません。化学分散剤と蒸気による除去作業は、実際には有毒性やその影響を拡大させてしまう傾向があるためです。

海岸を汚染する流出油を除去するためには、機械による回収が最もダメージが低い方法です。グリーンピースは、日本政府がいますぐ除去作業に着手することを提起します。除去作業にあたる全ての人々は、経皮または呼吸による有毒物質への曝露を防ぐために適切な防護具を装着しなければなりません」

注1)鹿児島テレビ「十島村の宝島に油のようなものが漂着」(1月29日)

朝日新聞「油状固まり7キロ、鹿児島・宝島に タンカー事故関連か」(2月1日)

注2)英国立海洋学センター「Sanchi Oil Spill ocean model simulation」(1月16日)

*2018年1月15日にグリーンピースが発表した事故の概況についての報告書

国際環境NGOグリーンピース・ジャパン