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こんにちは。エネルギーチームの鈴木かずえです。

神戸製鋼のスキャンダルが、原発にも及んでいます。すでに福島第二原発やウラン工場で、品質データが改ざんされた製品が納品されていることがわかっています。

 (神戸製鋼不正を受けて、電力会社が調査結果を報告した「第4回主要原子力施設設置者の原子力部門の責任者との意見交換会」)

11月9日、電力会社が、原子力規制委員会に、神戸製鋼不正問題について、調査状況を報告しました。(資料

原発の重要な部分に神戸製鋼製品が使われているかどうかも明らかにせず、さすがの原子力規制委員会ですら、電力会社の報告を「非常に不満足」として、さらなる調査を求めました。

 

やっぱり使われていた

原子力規制委員からの質問を受けて、関西電力の豊松副社長(原子力事業本部長)が、関西電力の原発では、重要機器に神戸製鋼製品が使われていることをはじめて明らかにしました。

それは「不正のあった工場で作られたものではない」としていますが、報告書に書かず、報告の場で委員に詰め寄られるまで明らかにしなかった、そういう姿勢に問題があるのではないでしょうか?

神戸製鋼は、原発の安全上重要な機器の製品をたくさん作っています。

原発の安全上重要な機器に、神戸製鋼の製品が使われているかどうか、使われているならそれは何か、どこの工場でいつ作られたものか、その品質保証はどうなっているか、などを網羅的に文書で公開すべきです。

(フランス製品の不正に端を発した原発部品強度不足の問題では、原子力規制委員会は、まず、安全上重要な設備について、どこのメーカーの製品かを報告させました。)

 

 

不正40年。調査はたった1年分

電力会社からの報告ではまず神戸製鋼の調査を紹介し、「2016年9月 から2017年8月の間に出荷した製品」の調査では、不正品の原発関連への供給は、東京電力福島第二原発と日本原燃のウラン工場の二箇所のみで、両方とも未使用であること、供給品はこれまでの検査で問題がなかったことと、運転実績があることを根拠として「直ちに重大な影響を与える問題ではない」としています。

しかし、これでは、まったく安心できません。

不正40年 調査は1年分

不正が行われていたのは40年前からです。ここ1年の供給しか調査しないのは不十分です。

安全性保証できず

これまでの検査で問題がなかったことは安全性を保証するものではありません。また、「問題がなかった」という報告で済ますのではなく、これまでの検査結果を公開すべきです。

運転実績よりトラブルの検証を

「運転実績があること」は根拠にできません。大きな事故がこれまでに起こっていないのは「幸運」かもしれません。これまで起こっているトラブルの数々は欠陥があることが原因だったかもしれません。再検証が必要です。

 

電力会社は、とめて、調査を

 電力会社による自主調査は、まもなく再稼働が予定されている原発のみのようです。しかし、まず、今、動いている原発を最優先に調査すべきではないでしょうか。

このようなずさんな調査で「現時点において、本件は原子力施設に重大な安全上の影響を与え るものでないと考えている」とざっくりまとめてしまっています。ありえません。 

今、動いている原発

関西電力 高浜3、4号機

九州電力 川内1、2号機

まもなく再稼働が予定されている原発

関西電力 大飯3、4号機

九州電力 玄海3、4号機 

 

文書での調査指示を

それにしても、なぜ、「口頭での調査依頼」なのでしょうか。

グリーンピースでは、原子力規制委員会に、文書による調査指示を求めています。

報告を受けて、山中原子力規制委員は、「安全上重要な部分で神戸製鋼の部材が使われているかどうかを聞いた。その観点からの答えがない」と言いました。

口頭での調査依頼しかしていないことも、このようなボタンの掛け違いがおこる原因の1つではないでしょうか。

実際、原子力規制委員会が、口頭でどのような依頼をしたのかは、議事録もなく、市民は実際の依頼内容を「議事概要」でしか知るすべがないのです。その議事概要には、「今回の事案に関係した製品が納入又は使用されていることがわかれば速やかに当庁に連絡するよう伝達」となっているのです。

指示をしっかり文書でし、公開し、面談の議事録をとって公開すること。

それなしに、規制の透明性は確保できません。

文書による指示もなくては、規制の本気は電力会社に伝わりもしないと思います。

(本気なら、文書による指示をしてほしい!)

グリーンピース・ジャパンは、他NGOとともに、原子力規制委員会に対して、電力会社に、今、動いている原発を最優先に、とめて、調査・検査するよう文書で指示することを求めてます。(要請書はこちら

この声を大きくしたいです。

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【資料】11月9日の発言の概要を以下にまとめました。

九州電力中村原子力発電本部長による報告:

不正品の原子力施設での共有の有無

神戸製鋼が自主的な点検をして、10月はじめに不正品について公表。

これまで安全上問題となる事案は確認されていない。

525社のうち470社が安全確認して、神戸製鋼が公表。

原子力関連については東京電力福島第二と日本原燃への2件、いずれも未使用品。

不正が行われたことが確認された神戸製鋼の製品は、 現在供用中の原子力施設において使用されていない。

 

原子炉施設への安全性への影響

原子力施設の設計建設時の電力の品質管理で、原子炉冷却材圧力バウンダリや原子炉格納容器バウンダリといった安全上特に重要な設備に ついては、余裕を持った設計をしている。内作・据付時の寸法検査や耐圧漏えい、機能・性能確認に至るまで事業者立会で検査を実施している。

運転実績ということで、 使用前検査や定期事業者検査等により、各施設の安全機能並 びに健全性を確認していることに加え、これまで十分な安全運転実績を重ねている。

このようなことから、現時点において、今回の神戸製鋼所による不正問題については、原子力施設の安全性に対し、直ちに重大な影響を与える問題ではないと判断している。

 

電力自主調査の状況

新規制基準対応設備についての電力自主調査の状況。

再稼動に向けて使用前検査段階にある大飯3、4号と玄海3、4号の神戸製鋼の製品の健全性について、順次自主調査を行っているところ。

新規制基準対応として新規に設置した設備において、神戸製鋼所製品が使用され ている溶接部や一部の銅・アルミ製配管等について、電力とプラントメーカが神戸製鋼所関連の各工場に立入調査し、製品プロセスの確認やミルシートと元データとの照合をするなど、現時点で電力として実施可能な最大限の品質管理を実施すべく取り組んでいる。  

神戸製鋼所の幹部に対しても、数回にわたり直接状況を聞き取ることを実施、関連の立入調査の協力等も依頼している。

 

立入調査の例

神戸製鋼所の溶接事業部の茨城工場、品質マネジメント部に立入調査をして、品証の流れ、部品の流れの確認をした。

検査プロセスの確認ということで、データへの人の関与や、データベース管理状況の調査、判断などの独立性にポイントをおいて確認した。

溶接棒の流れでは、製造部門とは違う試験検査組があり、製品がでてきたら試共材をつくって検査をする。分析担当と機械試験担当がおり、メインは機械的に自動的に検査結果が出るようになっているが、一部化学分析については、二人で行い、結果をダブルチェックしている。

機械試験の結果については、測定したら自動的に機械に入り判定をすることになっている。

最終的には、承認は、別の部門のQ A担当がミルシートを発行していることを確認し、溶接部門で不正等は起こらないことを確認した。

システムの確認とは別に、電力が持っているミルシートと工場の元データを改ざんされていないかを確認することとしている。元データは3年とかである程度限られるが、一応あるものについては確認をやっている。

独立した手順で検査、確認がされて、改ざんの問題がある点は確認されなかった。

溶接部門については製造された溶接棒については、製品、品質に問題ないことを確認した。

現時点において、原子力施設に重大な安全上の影響を与えるものでないと考えているが、引き続き、神戸製鋼所の調査結果および外部調査委員会の調査結果を踏まえながら、電力として主体的に調査を行う。

溶接部門以外も、立入調査し、ミルシートがあるものに関してはチェックしていく。

新たに有意な事実が確認された場合等には、速やかかつ適切に対応してまいりたい。

規制委員:非常に不満足

山中原子力規制委員: 

報告に非常に不満足。

規制当局から尋ねたのは当該事業者が運用している安全上重要な部分で神戸製鋼の部材が使われてないかどうかを聞いた。安全上どうか、または、不正部品があるかどうかではなく、神戸製鋼製の部材が使われているかどうかを聞いたが、その観点からの答えがない。

素材メーカーで不正が発覚して一ヶ月。

重要な部材についてどういう部材が使われているかどうか把握されているはず。

その点をイエス、ノーで答えられないか

 

九州電力中村原子力発電本部長:

安全上重要な設備の主要な部分で神戸製鋼の部材は使われていない。

ただし、溶接棒で使われているために、溶接棒の検査をした。

部分的には、新規でつけたものでは窒素の管のマニホールドなどで銅製のものが使われていたが、今回不正があったようなところでの工場の品物は使われてないと確認している。

 

山中原子力規制委員:

確認だが、原子炉のPWRの1次系の圧力バウンダリに神戸製鋼の部品は使われていないということでいいか

 

豊松関西電力原子力事業本部長(副社長)

川内原発では使われていないケースもある。使われているケースはある。

それは配管とか、格納容器のテンドンというひっぱるやつ、そこには使われている。

それはかなり古い、建設して何十年も経っているから。それはそれでリストアップはできている。

それについては、不正のあった工場で作られたものではないという確認はできている。

その切り口からの説明もできるようになっている。

 

今、神戸製鋼が最近の1年間ぐらいに重点的に起こったという話しからスタートしているので、これ30年くらい前の話しなので、今、使っているやつ、新規制基準で改造した部分をまず、見に行くという観点で今調べている。

全体としてはこれくらいしか使っていないというのは、おさえている。

古いのでデータがないところは、その工場がどうか、という確認はしている。

 

山中原子力規制委員:

質問にストレートに答えていただきたい。こういうところに使われている、という。

安全上ただちに問題があるわけではないという見解でいるので、部材が使われているか、どこに、を把握する必要がある。そういうリストをきちんと出していただいてコミュニケーションとっていきたい

 

九州電力中村原子力発電本部長:

一部調査している。途中段階。

過去のデータまでさかのぼって調査しているので、分かり次第お示ししたい

 

伴原子力規制委員:

技術的な問題であると同時にコミュニケーションの問題

部材が圧力バウンダリとかに使われているかという、それは、調達管理がなされているなら、トレースできるという問いでもあった。それを答えてもらえれば、調達管理できていると判断できる。それができないと調達管理ができていないということになる。

 

山田原子力規制庁 原子力規制部長:

再稼働に向け使用検査前のプラントを順次自主調査となっているが、使用前検査対象の設備については、当然工事計画認可通りに作られているのが使用前検査を行う上での前提となるので、当然どういう材質のもので作られているのかが、事業者でちゃんと確認されているのでなければ、我々は使用前検査を行うことができないものであると考えている。

それに加えて原子炉等規制法上は、技術基準適合義務がかかっているので、材質上の問題が懸念されるということになれば、当然事業者として確認する必要があるものだと思っている。

保安活動を見る立場として我々はしっかりと対応していかきゃならないと考えているので

その旨で対応いただきたい。

 

豊松関西電力原子力事業本部長(副社長):

神戸製鋼が不正があったどうかを調べており、ほぼ出たかと。その範囲では、大事なところに使っている部材で問題があったわけではない。

今使っているのが大事だから先に話したが、こことここで使っているという整理はできる。

不正があったわけでも、不正があった工場からのものでもない、というのはわかっている。

それは説明したい。

 

伴原子力規制委員:

不存在証明を求められているような部分があるが、問いに対して直接的な回答をいただきたい。

どういう考え方でこういう順番で取り組んでいる、ここまでわかっている、という発信の仕方であれば、理解できる。お願いしたい。

以上

 

【資料】 神戸製鋼の原子力関連技術・製品(詳しくはこちらのパンフレット参照

PWR用上蓋や湿分分離加熱器(MSR)給水加熱器(FWH)等の熱交換器類

原子炉圧力容器上蓋など原子炉容器用部材をはじめ蒸気発生器用コニカルパーツ、チューブ・シート、また、鍛造品、軽水炉用ジルカロイ被覆管、燃料集合体用チャンネル

使用済燃料および放射性廃棄物の輸送・貯蔵容器(キャスク)の設計・製造、低レベル放射性廃棄物処理技術開発施設(LWTF)をはじめとして、気体・液体・固体状の各種廃棄物を対象とした処理設備・プラントの建設、日本原燃(株)六ヶ所再処理工場のチャンネルボックス等の放射性廃棄物の遠隔ハンドリングと処理・貯蔵システム

制御棒駆動用ステンレス鋼管、給水加熱器用ステンレス鋼管、蒸気タービンブレード材、チタン製冷却管、原子炉・炉内構造物や冷却水循環用ポンプ部品、各種熱交換器伝熱管用のフェロコチューブ、各種の原子炉機器に使用される厚鋼板、溶接材料

 

【資料】これまでの原子力規制・市民・国会のうごき

10月9日の週    原子力規制事務所経由で各事業者に対し、今回の事案に関係した製品が納入又は使用されていることがわかれば原子力規制庁に連絡するよう伝達

10月13日(金) 東京電力が、福島第二原発の在庫品に不正品あったと発表

10月17日(火) 関西電力、九州電力と面談の際、事実関係の確認含め調査を行うように依頼

10月18日(水) 四国電力と面談の際、事実関係の確認含め調査を行うように依頼

10月23日(月) 電力事業連合(電事連)に対し、事業者の調査状況を

11月9日の会合で報告するよう依頼(電事連は、検討すると返答)

10月24日(火) 23日の依頼への返答として、会合での報告を確定的な報告は困難と返答した電事連に対し、会合で調査状況を説明するよう依頼(電事連は、検討すると返答)

グリーンピースら6市民団体が、原子力規制委員長へ原発部品の検査・検証を求める要請書送付

10月25日(水)神戸製鋼と面談し、同社の不正問題への対応の説明を受ける。規制庁は、原子力関連製品に問題が確認された場合の情報提供を依頼(神戸製鋼は了解したと回答)

10月26日(木) 日本原燃、ウラン濃縮工場に不正品あったと発表

東京新聞(中日新聞、高知新聞など)がグリーンピースら6団体の要請を報道

10月29日(日)

脱原発をめざす首長会議が「原発関連施設に納入された神戸製鋼製品の検査などを求める緊急要請」を採択

10月31日(火)

グリーンピースが原子力規制委員長あての原発を止めて調べることを求める署名を提出

11月1日(水)逢坂誠二衆議院議員が「神戸製鋼所の製品のデータ改ざんに関する質問主意書」を提出

11月9日(木)第4回 主要原子力施設設置者(被規制者)の原子力部門の責任者との意見交換会にて、電力会社より神戸製鋼不正を受けての自主調査についてを原子力規制委員会に報告


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