メキシコ湾のアラクラネス礁の魚とサンゴ

東京都心部では年々早くなっている桜の開花宣言があり、花粉症に悩まされる人たちの声も一層大きく聞こえてきた3月。東日本大震災、福島第一原発の事故から12年となる月でもありました。2023年3月は環境にとってどのようなことがあったでしょうか。

日本と世界のニュースをまとめます。

▼この記事を読むとわかること

>グローバル:海を守るための「海洋保護条約」が国連で合意
>日本:川崎市が東京都に続き太陽光義務化へ
>アフリカ:「化石燃料汚職に反対!」エネルギー代表者会議での抗議行動
>グローバル:TikTok運営会社が100%再生可能エネルギーへのシフトを約束
>ヨーロッパ:欧州司法裁判所が石炭発電所の規制緩和を違法と判決
>ローカルな変化と、グローバルなシステムチェンジを

グローバル:海を守るための「海洋保護条約」が国連で合意

2023年3月4日、ニューヨークで各国地域の政府がついに「海洋保護条約」に合意しました。

どこの国にも属さない公海における生物多様性の保護と、持続可能な利用を目指すことが世界的に約束されることになります。

メキシコ湾のアラクラネス礁の魚とサンゴ
メキシコ湾のアラクラネス礁の魚とサンゴ。(2010年11月)

世界の海の30%を保護区にするために、海洋保護条約の実現を目指して活動してきたグリーンピースと、世界各国から集まった約500万人以上もの人々の声が、条約の合意を後押しし実現させた海を守るための大きな前進です。

現在は世界の海の1%にしか満たない海洋保護区を、30%へと大きく広げるために、各国がこの条約を正式に採択し、批准、発効に踏み切るよう見守り、背中を押しましょう。

日本:川崎市が東京都に続き太陽光義務化へ

神奈川県川崎市で3月17日に、新築建物への太陽光パネル設置の義務化を謳う条例改正案が可決、成立しました。

川崎市は昨年12月に条例を成立させた東京都に続いて、太陽光パネルの義務化を条例に採用した二番目の都市となります。

ソーラーパネルを囲んで笑顔の大人と子どもたち
店舗の屋根に設置するソーラーパネルを見ているコミュニティショップ「えすぺり」の店主大河原さんと近所に住む子どもとグリーンピースのスタッフ。福島県三春町(2016年1月)

東京都でも、川崎市でも、太陽光の条例の成立にはグリーンピースが事務局を務める市民グループ「ゼロエミッションを実現する会」がパブコメや勉強会を通して大きく貢献しました。

市民の声が反映された自治体からの変化、全国への広がりが期待されます。

アフリカ:「石炭汚職に反対!」エネルギー代表者会議での抗議行動

3月7日に、アフリカ、ケープタウンの国際コンベンション センターで行われたエネルギー代表者会議で、グリーンピース・アフリカのメンバーが抗議行動を行いました。

メンバー6人は、グウェデ・マンタシェ大臣が開会の辞を述べようとする中、Bluetoothのスピーカーとバナーを使って抗議の意を表明。

マンタシェ大臣の前で、「石炭=汚職」と書かれたバナーを掲げるグリーンピース・アフリカのメンバーたち
開会の挨拶をしようとするマンタシェ大臣の前で、「石炭=汚職」と書かれたバナーを掲げるグリーンピース・アフリカのメンバーたち。(2023年3月)

活動家たちはマンタシェ大臣が、化石燃料産業と共謀し、再生可能エネルギーのプロジェクトを阻止していると訴え、南アフリカ政府の石炭に依存した政策、それに伴う継続的な汚職こそが、南アフリカを現在の壊滅的な電力危機に陥らせていると指摘しました。

グリーンピース・アフリカは、南アフリカ政府が再生可能エネルギーへの公正な移行を迅速に進めること、再生可能エネルギーを導入することに同意するよう要求しています*

グローバル:TikTok運営会社が100%再生可能エネルギーへのシフトを約束

TikTokを始めとするソーシャルネットワーキングアプリを運営する中国のインターネット企業「バイトダンス」が、2030年までに使用するエネルギーを100%再生可能エネルギーにすること、そして、同じく2030年までに温室効果ガスの排出量を90%削減し、実質ゼロとすることを約束しました。

巨大な太陽の人型絵文字
ギリシャのサラミス島の高校で、生徒たち200人が巨大な太陽を作った。サラミスの自治体は太陽光の導入を決め、学校の屋根にはソーラーパネルが設置される。(2019年5月)

グリーンピース・イーストアジアが2022年に発表した中国のクラウドプロバイダーを分析したレポートで、気候への貢献と再生可能エネルギー利用において、ワースト企業の一つにランクされていたバイトダンスの歓迎すべき選択です。

グリーンピースは、数年前からバイトダンスに再生可能エネルギー100%へのシフトを約束するよう呼びかけてきました*

ヨーロッパ:欧州司法裁判所が石炭火力発電所の規制緩和を違法と判決

欧州連合司法裁判所で、ブルガリア政府がEUの法的規制値を超えて石炭火力発電所の大気汚染基準に規制緩和を行っていることが法律違反であると判決が下されました。

バルカン半島最大の石炭発電所であるマリッツァイースト第二発電所
バルカン半島最大の石炭発電所であるマリッツァイースト第二発電所。(2021年6月)

2018年の末に、ブルガリア政府はバルカン半島最大の石炭発電所であるマリッツァイースト第二発電所で、より大量の石炭を燃焼できるようにするための規制緩和に許可を出し、同発電所はEUで法的に許容されているほぼ2倍となる二酸化硫黄の排出が許されていました。

グリーンピース・ブルガリアを含む環境団体が、この規制緩和に対して起こした訴訟が、欧州の最高裁判所で勝利を収めた流れです。この判決が石炭消費の多い地域の大気汚染を緩和させることが期待されています*

ローカルな変化と、グローバルなシステムチェンジを

2023年の3月は、「海洋保護条約」のような国際的な変化から神奈川県川崎市の太陽光義務化条例の成立まで、環境にとって歓迎すべき前進が多くありました。

4月には統一地方選挙が行われますが、国際的な連携とあわせて、ローカルから仕組みを変えていく各自治体での動きが、環境に大きく力強く貢献します。

グリーンピースは、各自治体から変化を起こす市民グループの活動から、日本発信で世界へと繋がるさまざまなプロジェクトまで、ローカルに、そしてグローバルに行動しています。

ぜひ私たちと一緒に、一歩から始まる変化を起こしてください。

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