5月、田植えを終え、青空を映す田んぼでは、たくさんの生きものたちがすくすく育っています。害虫も、天敵も、そのどちらでもない数知れない生きものたちも。

5月20日、アメリカでネオニコチノイド系農薬を使った農薬製品12種類の登録(承認)が取り消されました。この12種類には、日本でも広く使われているネオニコ系農薬のクロチアニジンとチアクロプリドを使った製品も含まれます。

ミツバチが姿を消す原因:ネオニコチノイド系農薬

世界中でミツバチが減っていることをご存知ですか?その最も直接的な原因が、ネオニコチノイド系農薬と言われる神経への毒性の強い農薬です。

ハチは、ハチミツを作るだけではなく、私たちの食べ物の3分の1の受粉係。このままミツバチがいなくなれば、私たちの食の未来も危ぶまれます。

詳しくは:ミツバチがいなくなったら、いったいどうなるの?

EUではネオニコ3種全面禁止、フランスは全種廃止へ

今回アメリカで登録が取り消された農薬のは、市場に出回っているネオニコ系農薬製品のうちのほんの一部ですが、世界ではこうした規制が進んでいます。
EUでは2018年ネオニコ3種が全面禁止に、フランスでは2018年からネオニコの全種類が使用禁止になりました。

フランスでは、ネオニコ系農薬を使わなくても、収益や収穫を悪影響を及ぼすことなく、40%以上農薬を減らすことができる、という研究結果も出ています。

詳しくは:「農薬を減らしても生産性は下がらない」〜ネオニコ全廃に向かうフランスであらたな研究

今回の登録取り消しは、2013年に養蜂家や消費者団体、環境保護団体が、アメリカ環境保護局(EPA)を相手取って提起した裁判の結果です。原告は、ネオニコ系の59種類の農薬製品を登録してきたことが、絶滅危惧種保護法に違反していると主張していました。
2017年5月、米連邦地裁はこの原告の主張をみとめた上で、原告の養蜂家や市民団体、EPA、ネオニコメーカーのバイエルで和解協議をするよう命じました。

りんご園の花

協議の結果、ネオニコ系のクロチアニジン、チアメトキサムを使った農薬製品12種類の登録を取り消すことが合意され、今年5月20日から実施となったものです。

今回登録が取り消された農薬は、市場に出回っているネオニコ系農薬製品のうちのほんの一部ですが、この裁判のなかで、将来に影響する重要な決定がありました。たとえ

  • 裁判の過程で、農薬メーカーによる「養蜂家への被害と問題の農薬の間の因果関係を立証しいていない」という主張を退けたこと
  • ネオニコ系農薬(クロチアニジン、チアメトキサム)の登録(承認)の見直しの際に、絶滅危惧種の保護という観点からも検討されるようになったこと

日本でいちばんミツバチが死んでいるのは田んぼ

EUでは全廃となり、アメリカでも使用禁止へ少しずつ前進を続けている一方、日本ではまだ、ネオニコ系農薬の使用を禁止できていません。

日本で最もミツバチが死んでいるのは田んぼです。
斑点米の原因となるカメムシをころすためにネオニコ系農薬を空中散布しているからです。

でも斑点米はいまや機械で取り除くことができ、田んぼに大量に農薬をまく必要はありません。現在は斑点米の基準が厳しすぎるために米農家は使わざるを得ない、といいます。

農林水産省の懇談会で消費者団体の委員から提出された意見書

「できる限り農薬は使いたくない」それが、農家さんと私たち消費者の共通の思いです。農薬の使用を助長していた制度の見直しについて農林水産大臣が「2019年8月までに検討する」と発言しました。秋田県、岩手県などの米どころの自治体でも、制度を見直すよう国への意見書を決議しています。全国の農家や消費者が10年以上にわたって声を上げ続けてきたおかげで、政府も動き始めているんです。

 

この夏からは、いよいよ専門家による検討会が始まります。それにむけてあなたの声が必要です。

ミツバチの大量死を防ぎ、生物多様性をまもり、私たちのお米を安全にするために、署名であなたの思いをとどけてください

今、あなたのちからが必要です。

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Yearly Harvest at Ecological Rice Farm in Japan. © Viktor Cibulka / Greenpeace
より安全なお米まであと一歩!

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