[Next100 PROJECT – スタッフVoice vol.9 ] グリーンピース・ジャパンのスタッフ、一人ひとりの考えや今までの背景を紐解き、新たなビジョンとして策定した「地球の恵みを、100年先の子どもたちに届ける。」への思いをご紹介します。9回目は、グリーンピース・ジャパンの人事(People&Culture)マネージャーを担当している吉江猛さん、頭文字をとってTyさん(たい)のインタビューです。

外資系企業での人事の経験は、非営利団体でも活かせる

グリーンピース・ジャパンは環境保護に取り組む国際NGOであるとともに、スタッフにとっては勤務先でもあります。民間企業と同様に、総務や人事、経理といった部署もあれば、そういった業務を担うスタッフもいます。これまで長く民間企業で人事の経験を積んできたTyさんは、非営利団体でそのキャリアを活かそうと転職してきました。

「10年ぐらい前に見た新聞記事が、転職の一番のきっかけです。民間企業で広報部長をしていた女性が、世界の子どもを救う国際的なNGOに転職したというインタビューでした。企業で培った経験を社会的にインパクトのある組織で活かす道があることを知って、自分の人生の第二のステージにと見据えました」

ITや医療機器などさまざまな業種の外資系企業で勤務してきたTyさん。人事のマネージャーを募集していたグリーンピースにとってぴったりの人材でした。とはいえ、民間企業と非営利団体では異なるところがあるのでは? と想像しますが、「どんな業種でも人事のセオリーはまったく同じ」とTyさんは笑顔で語ります。

Tyさんが異なる点として挙げたのは、民間企業であれば短期的な結果に目を向けざるをえない点です。利益をあげるためには、短期的な結果でも判断をくだし、ときに人員削減をよぎなくされることもあるからです。

非営利団体は、ビジョンに向けてミッションを遂行していくことが求められます。グリーンピースであれば、地球の恵みを100年先の子どもたちに届けること。そのために気候変動を悪化させず、生物多様性をまもることをめざしています。それらは決して短期間で達成できることではありません。スタッフ一人ひとりができるのは、日々活動を積み重ねていくだけ。そんな姿勢がTyさんにとって魅力的に映ったのです。

「利益のためだけでなく、社会をよりよく変えていくために一致団結して活動する人たちのために働くのは、有意義なことだろうと思いました」

みんなでひとつのヴィジョンに向かっているから、言いたいことを言い合える

Tyさんはこれまで外資系企業で勤務していたこともあり、海外から来ているスタッフが多いグリーンピースの環境や組織文化に馴染みやすかったと言います。基本的にスタッフはカジュアルな服装で勤務しているので、「みんな、スーツを着ていないなとは思った」と笑いますが、日本の企業にありがちな形式ばったところがない点を高く評価しています。

「職位を超えて言いたいことを言えるのがとてもいいと思います。思ったことをちゃんと言える環境がつくられているんですね。スタッフ間のミュニケーションツールであるSlackを使って、それぞれの業務をシェアすることも多いので、みんなで同じ方向を向いて進んでいこうというカルチャーがあります」

グリーンピースの人事部が目指すのは、人を管理することではなく働きやすい環境や文化をつくること。人事(Human Resource)ではなく、People&Cultureと呼ぶのはそのためです。そういった人事に関する考え方や施策は、これまでTyさんが勤務していた大きな外資系企業と変わらないように感じたそうです。時代に合わせてキャンペーンにも先進的な手法を取り入れるグリーンピースらしさが、こういった面にも現れているのでしょう。

人生の第二のステージをグリーンピースで始めたTyさんが考える、「あなたが望む100年後の理想の未来の姿とは?」

「現在は富も資源も偏在しているので、あるものを分かち合って、全員が享受する社会になっていてほしいですね。階級や階層、分断するもののない社会をめざして取り組むことが、環境問題を解決することにもつながるのではないかと思います」

グリーンピースで人事の経験を活かすことで、理想の未来へ近づいていく。よりよい社会のために貢献する方法は、人それぞれにいろいろな形があります。そんな可能性が、Tyさんの生き方から伝わってきました。

吉江 猛 人事部

1980年に高校生交換留学プログラムに応募し、米国インディアナ州の篤志家の元で現地校に通った。一年間滞在後、日本の高校、大学を卒業し公立高校の教諭として勤務した。1990年にロータリー財団奨学生として再渡米してカリフォルニア州の教育学大学院にて教育学の修士号取得。その後は国際的な飲料メーカー、IT企業、医療機器、情報提供企業などの米国系と欧州系の外資系企業にて人事マネジャーを歴任。2022年1月よりグリーンピース・ジャパンの人事マネジャーとして勤務を開始し、東アジアのグリーンピース事務所4拠点(香港、北京、ソウル、台北)とのコラボレーションを図りながら人事政策の立案・実行などに携わる。趣味は映画鑑賞とベランダ・ガーデニング。

[Next100 PROJECT – スタッフVoice]
vol.1グリーンピース・ジャパン事務局長、サム・アネスリー
vol.2コミュニティアウトリーチ担当、儀同千弥
vol.3気候変動・エネルギー担当、ダニエル・リード
vol.4プラスチックキャンペーンプロジェクトリード、大館弘昌
vol.5気候変動・エネルギー担当、鈴木かずえ
vol.6オンラインコンテンツコーディネーター、林恵美
vol.7プログラム部長 高田久代
vol.8リレーションシップマネジャー 石川せり
vol.9人事部 吉江 猛


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