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こんにちは! エネルギーチームの鈴木かずえです。

「関西電力の高浜原発1、2号機(福井県)古すぎです。廃炉にしてください」と求める裁判を、グリーンピース・ジャパのシニア・グローバル・エネルギー担当のケンドラ・ウルリッチとともに傍聴してきました。ケンドラも私も、裁判の原告になっています。

初めての口頭弁論であるこの日のために、約3週間にわたって全国からの応援の”顔”を集めてきました。集まった応援の”顔”は、1607。この裁判の原告は76名ですが、これだけの人が応援してくれているのだと思うと、本当に勇気付けられます。参加してくださった皆さん、本当にありがとうございます。

全国からの応援の気持ちとともに、入廷

法廷に入るのは、すごく久しぶりでドキドキしました。

写真撮影や携帯電話の使用もできません。

なので、法廷の中に、全国からの応援を詰め込んだバナーを持って入りたかったけれど、もちろん、NG。

でも、みなさんからの気持ちはしっかり持って、入廷しました〜♪

厳かな法廷

法廷の壇上には3人の裁判官。その向かい両側の向かって左に原告側の弁護士、右側に被告(国)側の弁護士が座ります。中央に机とマイクがあります。(絵を描いてみました)

国側の机の席に座っていたのは、中年男性一人と、若い男性二人。その後ろに女性を含む3〜4人が座っていました。

原告側は、北村弁護団長、藤川弁護団事務局長ほか、後ろの席にも弁護士、原告 が20人以上ぎゅうぎゅうになって座わりました。

傍聴席にもギッシリ原告、そして報道関係者が座っています。

傍聴席は80席くらいだったのでしょうか。席が限られていたため、傍聴は抽選となり、はずれた方もたくさんいました。

立法も行政も原子力ムラに飲み込まれている今、原発を止めるのは司法しかない

最初に、北村弁護団長が、この裁判を始めるにあたっての思いを訴えました。

行政も、立法も、原発を止めない以上、止めるのは、司法しかないと語りかけました。

続いて、弁護団の弁護士が東京電力福島原発事故以降にできた新規制基準の不備、想定する地震の揺れが過小評価されていること、老朽化の問題など訴えのポイントを説明していきます。

とくに私たちが問題視しているのが老朽化の問題。

40年ルール

老朽原発でもあった東京電力福島原発の事故を受けて作られた「運転期間40年を超えた原発は廃炉」という40年ルール。

40年ルールは厳格に適用されるべきであり、すでに40年が経過している高浜原発1、2号機が、果たして本当に十分な安全性を備えているのか、災害の防止上支障がないといえるのか、厳格に審議してもらいたいのです。

ケーブル問題

また、新規制基準では、原発の電気ケーブルは難燃性ケーブルにすることを求めています。ところが、高浜原発1、2号機について、原子力規制委員会は、難燃性ケーブルへの交換ではなく、「防火シート」などによる対策を認めたのです。これは、実験での検証も行なわれておらず、違法であると言わざるをえません。

最後に、4人の原告が、この裁判を起こした思いを裁判官に伝えました。(原告の意見陳述より抜粋)

阪上さん: 規制は電力会社のいいなりやめて、事故収束を再優先に

「1995年から「福島老朽原発を考える会」を結成し、東京電力福島原発事故以降は「原子力規制を監視する市民の会」を作って原発の危険性を訴え、規制行政の監視活動を続けてきました。

危険性を訴えてきながら、事故を許してしまい、非常に残念であり、悔しい思いです。

原子力規制委員会を傍聴する中で、規制が電力会社の言いなりになっていることを目のあたりにしてきました。

福島原発事故は収束していません。それどころが、溶融炉心の処理、汚染水対策、汚染廃棄物の取り扱い、被害者への賠償と生活支援等々、どれをとっても問題は山積で、ある意味で、事故は拡大の過程にあるともいえます。収束作業にこそ時間と人材を割いて、犠牲者が増えることを防いで欲しいと強く思います。それらも済まないままで再稼働をするというのは、余りにも反省を欠く行為だと思います。」

  

小野さん:福島から岐阜に避難、同じ被害を出さないで

「福島県にいたときは、実家で作ったお米や野菜、近所からもらう山菜で日々食事をしており、スーパーで買うのはお肉などごく限られたものだけ、お水も庭先の井戸水でした。

その幸せな暮らしが東京電力福島原発事故で一変しました。避難先で娘はいじめにあい、故郷の親戚とも軋轢が生まれ、ストレスで前歯が一度に5〜6本抜け落ちました。同じ被害を二度と出さぬよう、老朽原発の廃炉を裁判所から命令を出してもらうことを心から願います。」 

東山さん:声出せぬ原発依存の地元、廃炉で明日が開ける

「私は、高浜原発から4キロのところに住んでいます。50年前、関西電力が高浜に原発をつくるという話がでたとき、原発の寿命は20年、長くて30年と言い、事故は起きないと宣伝しました。

その宣伝に対し不安や疑問だと声を出した人の家に大勢の人が押し掛け怒号をあげ吊るし上げをする、商売をしている人はあらぬ噂を広げられ倒産寸前にまで追いやられる。その様な状況の中、建設が始まったのです。そして町は、原発に頼らなければ暮らしていけない町へと変えられてしまいました。今、老朽原発の高浜1、2号を廃炉することで明日の見通しが立つ時だと確信しています。」

草地さん:原発130キロの風下の名古屋で知った守るべき日常の大切さ

「私は、原発から130キロ、偏西風の風下の名古屋に住む、娘と息子を持つ母親です。東京電力福島原発事故で、守るべき日常の大切さを思い知り、目が覚めました。たった一度の事故で、誰もが望む当たり前の幸せを奪うことは、到底許されることではありません。原発を稼働させないでほしい、廃炉にしてほしいというのは、主義や理念ではありません。私たちの心の底からの切実な願いです。」 

なお、今回、提訴時には、運転期間延長が認可されていなかったので、認可禁止を求めましたが、

現在では、すでに認可されていることから、訴えを「認可取り消し」に変更します。

国からの反論は、その変更がなされた後から始まります。

「応援!フェイスプロジェクト」、大歓迎を受ける

第1回口頭弁論の後の報告会で、グリーンピースが呼びかけ、1607人からの応援をいただいた「応援!フェイスプロジェクト」をあらためてご紹介し、たくさんの拍手をいただきました。

原告に加わっているグリーンピース・ジャパンのケンドラも「アメリカでも、草の根市民と優秀な弁護士がタッグを組んで原発をとめた。日本でもきっと止めることができます!」と挨拶しました。

ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました。原告は76人だけれど、横断幕つくりを呼びかけたことで、たくさんの人にこの裁判を知っていただくことができました。 

次回は10月、引き続き応援を

次回の口頭弁論は、10月26日となりました。

今後とも、どうぞ、この訴訟にご注目、ご支援ください。

この裁判を支える会が発足しています。支える会では、会員も募集しています。

全国どこからでも応募できます→こちらから 

グリーンピース・ジャパンでは、老朽原発を止めるために裁判がとても有効と考え、原告となってこの裁判に協力しています。

老朽原発を延長させることなく閉鎖したアメリカの事例や、老朽原発の原子炉圧力容器にヒビが入った欧州の事例、裁判の経験などをこの訴訟に活かせたら…と考えています。

引き続き、ご参加、応援をお願いします! 

消費者の力でも、原発に頼らない社会を

原発をなくすために必要なのは、全国で起きている原発を再稼働させないための裁判はもちろんですが、わたしたちの誰でもできることがあります。

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